令和8年6月3日、和歌山県の古座川水系古座川にレベル5の氾濫特別警報が発表されました。こうした災害が頻発する台風や豪雨のシーズンを迎え、万が一ご自宅が被害に遭ってしまった場合の備えが重要になっています。今回は、いざという時に慌てないよう、生活を立て直すために受けられる公的支援の給付や融資の制度を3つご紹介します。

1. ①被災者生活再建支援制度、最大「300万円」の給付!生活基盤を立て直す支援

自然災害により生活基盤に著しい被害を受けた世帯を対象に、住民の生活の安定と被災地の速やかな復興を目的として支援金が給付される制度です。都道府県が相互扶助の観点から拠出した基金を活用し、被災世帯の生活基盤の再建を支援します。

1.1 被災者生活再建支援制度に係る支援金の給付実績【2025年度】

内閣府「被災者生活再建支援制度に係る支援金の支給について」によると、直近の2025年度に発生した自然災害に対し、以下のような給付実績(2026年3月31日現在)が報告されています。

2025年8月6日からの低気圧と前線による大雨災害

  • 鹿児島県(霧島市、姶良市):既支給 35世帯 / 支援金支給額 2518万8000円
  • 福岡県(福津市):既支給 5世帯 / 支援金支給額 350万円
  • 熊本県(熊本市、八代市、玉名市、上天草市、宇城市、天草市、美里町、甲佐町、氷川町):既支給 75世帯 / 支援金支給額 6475万円
    (※この大雨災害の全体合計:既支給 115世帯 / 支援金支給額 9343万8000円)

2025年台風第12号による災害

  • 鹿児島県南さつま市:既支給 1世帯 / 支援金支給額 37万5000円

2025年台風第15号等による災害

静岡県牧之原市:既支給 150世帯 / 支援金支給額 1億5043万8000円

2025年台風第22号及び第23号による災害

  • 東京都八丈町:既支給 43世帯 / 支援金支給額 3100万円

2025年11月18日に発生した強風による災害

  • 大分県大分市:既支給 82世帯 / 支援金支給額 7962万5000円

2025年青森県東方沖を震源とする地震による災害

  • 青森県八戸市:既支給 3世帯 / 支援金支給額 225万円

1.2 支援金の金額

支給される支援金は、住宅の被害程度に応じた「基礎支援金」と、住宅の再建方法に応じた「加算支援金」の合計額となります。たとえば、住宅が「全壊」して新たに建設・購入する場合、基礎支援金100万円と加算支援金200万円の合計で、最大300万円の給付が受けられます。全壊だけでなく、大規模半壊や中規模半壊、半壊の世帯、長期避難世帯や解体世帯も広く支援の対象となります。

2. ②住宅の応急修理、最大「73.9万円」日常生活に必要な最低限を修理

災害により住宅が半壊、または準半壊(損害割合10%以上20%未満)し、自ら修理する資力のない世帯に対し、居室や台所、トイレなど日常生活に必要な最小限度の部分を市町村が応急的に修理する制度です。

修理前の被災状況の写真撮影1/2

修理前の被災状況の写真撮影

出所:内閣府防災情報のページ「9住宅の応急修理」

2025年度の一般基準では、「大規模半壊・中規模半壊・半壊」世帯に対して1世帯当たり73万9000円以内、「準半壊」世帯(損害割合10%以上20%未満)に対して35万8000円以内の範囲で修理が行われます。行政が直接修理業者に費用を支払う仕組みであるため、すでに業者へ支払いを済ませてしまった場合は対象外となる点に注意が必要です。

3. ③災害復興住宅融資、最大「5500万円」の融資!罹災した住宅の早期復興を支援

罹災した住宅の早期復興を支援するため、住宅金融支援機構を通じて低利な全期間固定金利の資金融資を受けられる制度です。

住宅を取り壊して建て替える・購入する際の「建設資金・購入資金」(上限5500万円)のほか、住宅の一部損壊といった被害でも利用可能な「補修資金」(上限2500万円)も用意されています。

3.1 他にも全壊した住宅の公費撤去もあり

生活を立て直すために受けられる公的支援の給付や融資の制度を3つ紹介しましたが、他にも全壊した住宅の公費撤去などがあります。住宅の解体や撤去は、原則として所有者の負担となりますが、全壊などの甚大な被害を受けた住宅については、市町村の災害廃棄物処理事業の一環として、公費負担による解体・撤去のサポートが受けられる場合があります。

4. まとめにかえて

自然災害によって住宅が被害に遭われた際、これらの公的支援制度は生活を立て直すための大きな支えとなります。しかし、災害後は不安な心理に付け込んだ住宅修理の悪質商法や便乗トラブルが多発するため、契約前に複数の業者から見積もりを取るなど慎重な対応が必要です。

また、過去の災害例が示すように、公的支援の給付だけでは実際の住宅再建費用に足りない現実もあります。行政の「公助」だけに頼るのではなく、日頃から保険や共済に加入するという「自助」による備えも合わせて見直しておきましょう。

参考資料

村岸 理美