遺族の生活を支える「遺族年金生活者支援給付金」が、2026年度4月分から月額5620円へと引き上げられます。生活費や教育費がかさむ中で心強い改定ですが、「子どもが3人いる場合、3人分もらえるの?」などの誤解も少なくありません。
本記事では、子どもが3人いる場合の遺族年金生活者支援給付の分け方について解説します。給付金の支給要件や支給額、子どもが給付金を受け取れないケースも紹介します。
1. 遺族年金生活者支援給付金、基礎年金と「同じ日・同じ口座」に振り込まれる
遺族年金生活者支援給付金は、遺族基礎年金を受給している人が支給要件を満たすと支給されるものです。一家の大黒柱を失うなどして所得が一定基準額以下の遺族の生活を支援することを目的としています。
給付金は遺族年金とは別に支給されますが、振り込まれるのは各基礎年金と同じ日、同じ口座です。遺族年金とは異なり、給付金の財源は国が負担します。
給付金は遺族年金と同様非課税で、所得税や住民税はかかりません。また、支援給付金は請求しないと受給できないことを覚えておきましょう。
2. 遺族年金生活者支援給付金、月額5620円←対前年度2.7%アップ「3つの支給要件」をみる
遺族年金生活者支援給付金を受給するための主な要件は、次の3つの要件をすべて満たすことです。
- 遺族基礎年金の受給者であること(遺族厚生年金のみの人は対象外)
- 前年所得が「479万4000円+扶養親族の数×38万円」以下であること
- 日本国内に住所を有していること(海外居住者は対象外)
年金事務所などで遺族基礎年金の請求手続きを行うと、年金相談員より給付金の請求案内があります。郵送で手続きする場合は、請求漏れがないように注意しましょう。
2026年4月からの給付金額は月額5620円で、前年度から2.7%引き上げられました。改定後の給付金を実際に受け取るのは、4月・5月分が振り込まれる6月15日です。
ここまで、遺族年金生活者支援給付金の概要や支給要件、支給額について解説しました。次章では、遺族基礎年金と遺族厚生年の受給者の違いと子どもが3人の場合の分け方、子どもが給付金を受け取れないケースを紹介します。
3. 遺族基礎年金と遺族厚生年金、知っておきたい2種類の「遺族年金」どんな人が対象になる?
遺族年金生活者支援給付金の支給要件については、遺族基礎年金の受給者に限定される点に注意しましょう。遺族基礎年金と遺族厚生年金は、支給要件が大きく異なるからです。
遺族基礎年金の受給者は、亡くなった人によって生計を維持されていた「子どもがいる配偶者」または「子ども」です。対象となる子どもは「18歳到達年度末までの子」または「20歳未満で障害等級1級・2級の状態にある子」です。子どもがいない配偶者は、遺族基礎年金を受給できません。
遺族厚生年金は、厚生年金加入者または加入者であった人が亡くなったとき、生計を維持されていた遺族(配偶者や子ども、父母、孫、祖父母のうち優先順位の高い人)に支給されます。配偶者が一番優先順位が高く、その次が子どもです。
保険料納付要件や生計維持要件なども必要ですが、亡くなった人の年金制度加入状況や家族状況によって受給できる年金を整理すると次の通りです。
(支給される遺族年金の種類)
(亡くなった人の状況)
- 子どもがいる
- 子どもがいない
- 国民年金のみ加入
- 遺族基礎年金
- どちらも支給されない
- 厚生年金加入中または
- 加入したことがある
- 遺族基礎年金と遺族厚生年金
- 遺族厚生年金
要件を満たす子供がいなければ、遺族基礎年金も支援給付金も支給されません。
4. 遺族年金生活者支援給付金、 「子どもが3人」どうやって分ける?
遺族年金の受給者となる配偶者がいない場合、子どもが遺族基礎年金や遺族厚生年金(亡くなった人が厚生年金加入中の場合など)、遺族年金生活者支援給付金を受給します。
子どもが複数人いる場合、子ども全員が遺族年金や支援給付金を受給します。子ども1人当たりの受給額は、遺族年金や支援給付金の支給額を子どもの人数で割った金額です。
受給する子どもが3人いる場合、1人当たりの支援給付金額は1873円(=5620円 ÷ 3人)となります。3倍の1万6860円とはなりません。
5. 遺族年金生活者支援給付金、子どもが「受け取れない」ケース
亡くなった人の配偶者がいる場合、要件を満たせば配偶者が遺族年金や支援給付金の受給者となるため、子どもは受け取れません。受給者となる配偶者がいない場合でも、次のケースでは支援給付金を受給できないので注意しましょう。
- 子どもが18歳到達年度末を経過した、または障害等級1・2級の子が20歳に到達した
- 子どもの前年所得が基準を超えた
- 子どもが結婚した
- 請求手続きを行っていない
支援給付金は請求しないともらえないことを覚えておきましょう。
6. おわりに
2026年(令和8年)4月(初回振込は6月15日)より、遺族年金生活者支援給付金は月額5620円に引き上げられました。支援給付金を受給するには「遺族基礎年金の受給者であること」などの条件を満たさなければなりません。
要件を満たす子供が複数人いれば、遺族年金や支援給付金の額は子どもの人数で頭割りして計算(3人なら1人当たり1873円)します。給付金は申請しなければ受給できないため、請求漏れがないように注意しましょう。
参考資料
- 日本年金機構「遺族年金生活者支援給付金の概要」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金」
- 日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」
- 日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」
- 日本年金機構「遺族年金を受けている方が結婚や養子縁組などをしたとき」
西岡 秀泰