4. 満期を待たない「途中売却」というアプローチも
米国債の運用ルートは「10年間じっと持ち続ける」だけではありません。
購入後にアメリカの金利が下がった場合、満期の前に途中で売却して利益を確定させるという選択肢もあります。
債券の世界には、「金利が下がると、債券の価格が上がる(金利が上がると、価格が下がる)」という絶対的なシーソー関係があります。
仮に購入後にアメリカが利下げに転じ、金利が下降した場合、保有中の「4.5%の債券」のドル建て価格は値上がりします。
このタイミングを狙って途中で売却すれば、「売却益(キャピタルゲイン)」を手にするチャンスが生まれます。
4.1 中途売却時は「その時の為替」に注意
ただし、途中で売却してすぐに日本円に交換する場合は、「その時点の為替レート」もセットで見て判断しなければいけません。
いくら金利低下によって「ドル建ての債券価格」が上昇していても、それ以上に急激な円高が進んでいれば、円に換えた段階で値上がり益が相殺されてしまう(あるいはマイナスになる)リスクがあるからです。
途中で抜ける場合は、「ドル建ての価格上昇」と「為替レート」の掛け算でトータルがプラスになっているかをシミュレーションし直す必要があります。
5. まとめ
1ドル159円のいま、仮に4.5%の米国債を購入した場合、満期償還時の為替レートの損益分岐点は以下の試算結果となりました。
- 利付債(単利)を選ぶ場合、10年後に約50円の円高(109円台)が進んでも、トータルの円建て収支はマイナスになりません。
- ストリップス債(半年複利)を選ぶ場合、複利効果のディフェンス力が加わるため、10年後に約57円の円高(101円台)、つまり「1ドル=100円の壁」の寸前まで円高が進んでも耐えられる計算になります。
現在の為替レート(159円)だけを見ると「円安で手を出しにくい」と感じるかもしれません。
しかし、4.5%という高い金利を10年間掛け合わせることで、「将来、かなりの円高が進んでもカバーできるだけの分厚いクッション」となります。
もちろん、10年後に1ドル=90円や80円といった、想定を超える超円高時代が到来する可能性もゼロではありません。
特定の投資を推奨するものではありませんが、この「金利」と「為替」の仕組みをご自身の許容できるリスクと照らし合わせ、冷静な投資判断の材料としてぜひご活用ください。
【免責事項】
- 投資にはリスクが伴います。
- 本記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
参考資料
和田 直子