6月は年金額改定や各種通知書の到着時期でもあり、老後のお金について改めて確認する人が増える季節です。

一方で、シニア向けの公的給付制度の中には「自動では支給されず、申請しないともらえない」ものも少なくありません。

特に、年金生活者支援給付金や加給年金、雇用保険関連の給付は、条件を満たしていても手続きをしなければ受給できないケースがあります。

物価上昇が続くなか、老後資金への不安を抱える世帯も増えているため、利用できる制度を事前に確認しておくことが大切です。

今回は、60歳・65歳以上のシニア世代が知っておきたい「申請型」の公的給付制度を5つ整理して紹介します。

※各制度の内容詳細については、日本年金機構・厚生労働省・ハローワークのHPなどで最新情報をご確認ください。

1. 老齢年金とは別に受け取れる「公的給付」5制度

年金以外に受け取れる給付金や手当は、老後生活を支える重要な制度です。ただし、多くの場合、所定の請求や届出が必要です。

たとえば老齢年金も、紙の年金請求書を提出する場合は、受給開始年齢の誕生日の前日以降に必要書類とともに年金事務所へ提出する必要があります。

請求しないまま5年を過ぎると、時効により受け取れない分が出る可能性もあるため注意が必要です。老後資金を考える際は、資産運用だけでなく、まず「自分が使える制度はないか」を確認することが大切です。

それでは、さっそく老齢年金とは別に受け取れる給付金や手当を確認していきます。まずは「老齢年金に上乗せできる可能性がある制度」です。

1.1 老齢年金に上乗せできる可能性がある2つの制度

加給年金:配偶者や子がいる人は確認したい

加給年金は、一定の条件を満たす老齢厚生年金の受給者に、配偶者や子がいる場合に加算される制度です。いわば年金版の家族加算に近い位置づけです。

主な確認ポイントは以下です。

  • 厚生年金の被保険者期間が原則20年以上あるか
  • 65歳未満の配偶者、または一定年齢までの子がいるか
  • 配偶者自身が一定の厚生年金や障害年金を受ける権利を持っていないか

2026年度の加給年金額は、配偶者と1人目・2人目の子が各24万3800円、3人目以降の子が各8万1300円です。

また、配偶者には受給者の生年月日に応じた特別加算が付く場合があります。加算には届出が必要とされているため、対象になりそうな人は年金事務所で確認しましょう。

老齢年金生活者支援給付金:低所得の年金受給者向け

老齢年金生活者支援給付金は、所得が一定以下の老齢基礎年金受給者を支えるため、年金に上乗せされる給付です。

対象は原則として、65歳以上の老齢基礎年金受給者で、世帯全員が市町村民税非課税であること、前年の年金収入とその他所得が基準以下の人です。このすべてを満たす必要があります。

老齢年金生活者支援給付金の支給要件2/6

支給要件

出所:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」

2026年度の給付基準額は月額5620円ですが、実際の金額は保険料納付済期間や免除期間により変わります。

日本年金機構の案内では、請求した月の翌月分からの支払いが原則とされているため、案内が届いたら放置しないことが大切です。

次に、60代以降も働く人が知っておきたい給付について3つの給付制度を紹介します。

1.2 60代以降も働く人が知っておきたい雇用保険の給付

再就職手当:早く再就職した人を後押しする制度

再就職手当は、雇用保険の基本手当を受ける資格がある人が、一定の支給日数を残して安定した職業に就いた場合などに受け取れる手当です。

支給額は、基本手当日額に支給残日数と給付率を掛けて計算されます。所定給付日数の3分の1以上を残して就職した場合は60%、3分の2以上を残して就職した場合は70%が目安です。

早く働き始めるほど有利になりやすい制度ですが、待期期間や就職経路、雇用見込みなど細かな条件があります。退職後に再就職を考える場合は、まずはハローワークへ相談してみるとよいでしょう。

高年齢雇用継続給付:60歳以降の賃金低下を補う制度

60歳以降も同じ会社や再雇用で働く場合、賃金が下がることがあります。

高年齢雇用継続給付は、60歳以上65歳未満の一定の雇用保険被保険者について、60歳到達時と比べて賃金が75%未満に低下した状態で働く場合に給付金が支給される制度です。

支給率は、60歳に達した日などが2025年4月1日以降の人は、各月に支払われた賃金の10%を限度とされています。2025年3月31日以前の人は15%が限度とされるため、該当時期によって扱いが異なります。

高年齢求職者給付金:65歳以上の失業時に確認

65歳以上で雇用保険に加入していた人が離職し、再就職の意思と能力がある場合は、高年齢求職者給付金の対象になる可能性があります。

主な要件は、離職日前1年間に雇用保険の被保険者期間が通算6カ月以上あること、失業の状態にあることなどです。支給額は、被保険者であった期間が1年未満なら30日分、1年以上なら50日分の基本手当の相当額とされています。

受給期限は離職日の翌日から1年です。求職申込みが遅れると、受け取れる日数が減る可能性があるため、退職後は早めにハローワークで確認しましょう。

2. 働きながら年金を受け取る人は制度改正にも注意

60歳以降に厚生年金へ加入しながら老齢厚生年金を受け取る場合、「在職老齢年金」により、年金の一部または全部が支給停止となることがあります。対象は老齢厚生年金で、老齢基礎年金は原則として対象外です。

2026年4月からは、賃金と老齢厚生年金の合計額に関する基準が月51万円から65万円へ引き上げられました。

基準額は毎年度見直されるため、働く時間を増やす、賞与が出る、再雇用契約を変えるといった場合は、年金額への影響も確認しておきたいところです。

3. 申請漏れを防ぎ、老後の家計を支える制度を活用しよう

今回の記事では、60歳・65歳以上の人が確認しておきたい代表的な給付金や手当についてお伝えしました。

60歳以降の家計では、年金、給与、退職金、資産運用益をどう組み合わせるかが重要ですが、今回取り上げた給付金や手当は、いずれも家計を大きく支える可能性があります。

  • 配偶者や子がいる人:加給年金
  • 年金収入が少ない人:老齢年金生活者支援給付金
  • 退職後に早く再就職する人:再就職手当
  • 60歳以降も賃金低下を伴い働く人:高年齢雇用継続給付
  • 65歳以上で離職した人:高年齢求職者給付金

対象になるかどうかは、年齢・雇用保険の加入状況・所得・世帯構成で変わります。老後資金に不安がある方は、まずは自分が利用できる制度がないか、確認しておくと安心です。

参考資料