4. 日本の株式市場は「金利のある世界」へシフトした
今回のフジクラの決算発表は、日本の長期国債の金利が何十年来の高水準を更新したというニュースと、まさに時期が重なっていました。
日本の10年国債利回りは、少し前まで0.2%を割るような超低金利が続いていましたが、足元では0.8%近辺まで上昇してきています。
泉田氏はこの状況を「株式投資の世界線が変わった」と表現します。いわゆる「失われた30年」と呼ばれた時代は、日本に金利が存在しない異質な期間であり、株式投資においても金利の影響をある程度無視することができました。
しかし、インフレが進行し、日銀が政策を転換した現在、日本市場は再び「金利を議論しなければならない環境」へと回帰したのです。
では、金利が上昇する世界において、投資家はどのように銘柄と向き合えばよいのでしょうか。泉田氏は、金利と企業の成長率を「天秤」にかける思考が不可欠だと語ります。
金利が上がったとしても、企業がそれを上回るスピードで利益成長率を高めることができれば、株価は上昇を続けることができます。
先ほどの公式で言えば、金利が上がって割引率(R)が9%になっても、企業の成長率(G)が8%に上昇すれば、差は1%に保たれ、PER100倍のバリュエーションは正当化されるからです。
これは、業績の数字だけを追いかけがちな初心者投資家にとって、重要な教訓となります。企業のビジネスモデルや決算の分析はもちろん重要ですが、それらを評価する際の「ものさし」となる金利の動向から目を離してはいけません。
常にマクロ経済の金利と、ミクロの企業成長率を両目で確認しながら投資判断を下すことが、プロの機関投資家のアプローチなのです。
※本記事は、泉田良輔氏の動画での解説を基に作成したものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株式投資には価格変動リスクが伴います。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。
フジクラの株価急落の背景にある金利とバリュエーションの深い関係性について、より詳しい解説や泉田氏の生のトーンを感じたい方は、ぜひ「イズミダイズム」の動画本編をご覧ください。
参考資料
- 株式会社フジクラ「2026年3月期 決算短信」
- 株式会社フジクラ「2026年3月期 決算説明会資料」
- 株式会社フジクラ「2028中期経営計画」
- 株式会社フジクラ「日米の投資方針に関するお知らせ」
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Youtubeチャンネル「イズミダイズム」
著者
金融・経済YouTubeチャンネル「イズミダイズム」
「イズミダイズム」は、株式会社モニクルリサーチが運営する金融・経済YouTubeチャンネルです。フィデリティ投信や日本生命でポートフォリオマネージャーや証券アナリストとしての勤務経験のある元機関投資家の泉田良輔が、プロの視点で金融や経済に関する様々なニュースの解説や、資産形成に役立つトピックをお届けします。新NISAの開始やインフレを背景に、個人の資産運用への関心が高まる中、機関投資家と個人投資家の「視点の違い」や、経済ニュースの裏側にある「構造」をロジカルに解説します。(最新更新日:2026年1月30日)
監修者
株式会社モニクルリサーチ
代表取締役/日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
株式会社モニクルリサーチ代表取締役。その他に株式会社モニクル取締役COO、株式会社モニクルフィナンシャル取締役COOも務める。東京科学大学大学院非常勤講師。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了(同研究科最優秀賞受賞)
1. 経歴
2013年に株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を原田慎司(現同社取締役)らとともに共同創業。2013年に個人投資家向け金融経済メディア「Longine(ロンジン)」を立ち上げ、編集長に就任。Longineの立ち上げの経緯はBloombergにおいて「体力勝負アナリスト辞めます、元外資マン個人に長期投資指南」として掲載され大きな反響を呼ぶ。投資情報のサブスクモデルを確立する。その後、株初心者向けネットメディア「株1」、2015年にはくらしとお金の経済メディア「LIMO」の前身となる「投信1」を立ち上げる。
それ以前は、日本生命・国際投資部で外国株式ファンドマネージャー、フィデリティ投信・調査部や運用部にて10年に渡ってインターネット、電機(半導体・民生・産業エレクトロニクス)、機械(ロボットやセンサー企業中心)といったテクノロジーセクターの証券アナリストや中小型株ファンドのアシスタント・ポートフォリオ・マネージャー(最年少で就任)として従事。
2. 専門・研究領域
慶応義塾大学商学部卒業。国際金融及びコーポレート・ガバナンスを専攻。アジア通貨危機、昭和金融恐慌などの金融パニックのメカニズムを金融政策や金融機関への規制の観点から研究。それらの内容は「昭和金融恐慌からの教訓 平成恐慌になにをどう生かすべきか」(三田商学研究学生論文集)として発表。
3. 著書
・『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資』(ダイヤモンド社)
・『テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図』(クロスメディア・パブリッシング)
・『銀行はこれからどうなるのか』(クロスメディア・パブリッシング)
・『Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない』(KADOKAWA)
・『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』(日本経済新聞出版社)
4. 寄稿や講演他
「日経BizGate」での連載「泉田良輔の新・産業鳥瞰図」や「現代ビジネス」、「東洋経済オンライン」、「プレジデント」などへの寄稿や対談も多数。対談記事例としては「【未来予想】ブロックチェーン革命が、「半沢直樹」の世界に終わりを告げる」や「【未来予想】アマゾンとビットコインが、次世代の「銀行」になる理由」(いずれもNewsPicks)、「米独に遅れる日本の自動運転、自動車も電機の二の舞に?」(週刊ダイヤモンド)。海外ジャーナリストからインタビューされることも多く、Financial TimesやThe Economist、Bloombergにおいて自動車や金融業界についての国内外産業動向コメントも発信している。
講演会や動画での情報発信も盛んに行っており、NewsPicksのTHE UPDATE、日経ビジネススクール、慶應丸の内キャンパス、慶應義塾SDM、アカデミーヒルズなどでも講義を行う。またNewsPicksのNewSchoolではプロジェクトリーダーとして「本当に初心者のための資産運用」を開催。
最終更新日:2026年2月21日