厚生労働省の発表によると、精神障害者保健福祉手帳の所持者が154万人超えとなっており、制度の重要性が高まりつつあります。

精神障害者保健福祉手帳は障害の程度により1級・2級・3級に分かれますが、具体的にどのような基準で判定されるのか、よくわからないという方も多いでしょう。

本記事では、精神障害者保健福祉手帳の各等級の認定基準や、手帳を保有することで受けられるサービスについて詳しく解説します。

1. 精神障害者保健福祉手帳、「1~3級の基準」対象の症状とは?

精神障害者保健福祉手帳とは、精神疾患により長期にわたって日常生活や社会生活に制限がある方を対象とした手帳です。手帳を取得することで、障害の程度に応じた適切な福祉サービスを受けられます。

1.1 対象となる精神障害の例

精神障害者保健福祉手帳はすべての精神障害を対象としており、例えば以下のようなものが該当します。

  • 気分障害(うつ病やそううつ病など)
  • 統合失調症
  • てんかん
  • 薬物依存症
  • 高次脳機能障害
  • 発達障害(ADHD(注意欠陥多動性障害)や自閉症、学習障害など)
  • その他の精神疾患(ストレス関連障害など)

こういった症状のある方が対象です。

なお、手帳の発行を受けるためには、その精神障害の初診日から6か月以上経過していることが要件となっています。

1.2 障がいの程度によって1~3級に分かれる

精神障害者保健福祉手帳は障がいの程度に応じて1級・2級・3級のいずれかに分かれます。

  • 1級:日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの(自力での生活が困難)
  • 2級:日常生活が著しい制限を受けるか、または日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
  • 3級:日常生活もしくは社会生活が制限を受けるか、または日常生活もしくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの

1級は、精神障害のため自力で生活することが困難な状態が該当します。

2級は、必ずしも支援を必要とするわけではないものの、日常生活や社会生活を送るうえで著しい制約がある状態が該当します。

3級は、精神障害がありつつも日常生活を自力で行えるものがある一方で、援助を必要としたり制限をかけたりする必要がある状態が該当します。

2. 精神障害者保健福祉手帳、所持者「154万人超」2級が最多

厚生労働省「令和6(2024)年度衛生行政報告例の概況(精神保健福祉関係)」によると、精神障害者保健福祉手帳の交付者数は年々増加傾向にあり、令和6年度には154万人超えという状況です。

精神障害者保健福祉手帳交付台帳登録数の年次推移2/4

精神障害者保健福祉手帳交付台帳登録数の年次推移

出所:厚生労働省「令和6(2024)年度衛生行政報告例の概況(精神保健福祉関係)」

  • 令和2年度:118万269人
  • 令和3年度:126万3460人
  • 令和4年度:134万5468人
  • 令和5年度:143万8093人
  • 令和6年度:154万7433人

令和6年度は、令和5年度より10万9340人増加しており、増加率は7.6%です。

また、障害等級ごとの発行数を見ると2級が最も多く、精神障害者保健福祉手帳発行総数の半数以上を占めています。

【等級ごとの発行数(令和6年度)】

  • 1級:13万9406人
  • 2級:89万7292人
  • 3級:51万735人

2級が大半を占めるということは、「必ずしも支援を必要とするとは限らないが日常生活が極めて困難」な方が多いことを示しているといえます。

ただし、手帳の発行数の増加率を比較すると、2級を抑え3級が最も大きい状況です。

【等級ごとの増加率(令和6年度)】

  • 1級:1.9%
  • 2級:7.2%
  • 3級:10.0%

「日常生活や社会生活に制限を受けたり、制限を加えたりする必要がある」方が増加傾向にあるといえます。

3. 精神障害者保健福祉手帳、暮らしを支えるサービス「全国一律」と「自治体独自」支援あり

精神障害者保健福祉手帳を持っているとさまざまな支援を受けられます。全国一律で行われている支援もあれば、自治体や事業者が独自に行っているものもあります。

3.1 全国一律に行われている支援

精神障害者保健福祉手帳保持者に対し、全国で画一的に行われている支援は以下の通りです。

精神障害者保健福祉手帳で受けられるサービス(全国一律)3/4

精神障害者保健福祉手帳で受けられるサービス(全国一律)

出所:こころの情報サイト「障害者手帳・障害年金」

【公共料金等の割引】

  • NHK受信料の減免
  • 税金の控除・減免

【所得税、住民税の控除】

  • 相続税の控除
  • 自動車税・自動車取得税の軽減(手帳1級の方)
  • その他

【生活福祉資金の貸付】

  • 手帳所持者を事業者が雇用した際の、障害者雇用率へのカウント
  • 障害者職場適応訓練の実施

手帳保有者向けに、公共料金の割引や税制優遇措置が設けられています。また、金融機関から資金を借りることが困難な場合、生活福祉資金による借入や相談支援を受けられます。

3.2 自治体独自や事業者による支援

自治体の中には、独自の支援を行っているところがあります。また、事業者による支援を受けられるケースもあります。

精神障害者保健福祉手帳で受けられるサービス(自治体・事業所独自)4/4

精神障害者保健福祉手帳で受けられるサービス(自治体・事業所独自)

出所:こころの情報サイト「障害者手帳・障害年金」

【公共料金等の割引】

  • 鉄道、バス、タクシー等の運賃割引
  • 携帯電話料金の割引
  • 上下水道料金の割引
  • 心身障害者医療費助成
  • 公共施設の入場料等の割引

【手当の支給など】

  • 福祉手当
  • 通所交通費の助成
  • 軽自動車税の減免

【その他】

  • 公営住宅の優先入居

自治体や事業所の中には、公共交通機関の運賃の割引や公共施設の入場料・利用料の割引などのサービスを行っているところがあります。また、福祉手当や通所の際の交通費の助成を行うなどで、障害者世帯の経済的な負担を軽減しているところもあります。

4. おわりに

精神障害者保健福祉手帳は、障がいの程度に応じて1級〜3級に分かれており、手帳の発行を受けることで状態に応じた適切な支援を受けることが可能です。

現在必要がない場合でも、ご自身や家族など身近な方が支援を要することになる可能性はゼロではありません。

いざというときに適切な支援を受けられるよう、制度の概要や具体的な支援を確認しておきましょう。

参考資料

木内 菜穂子