日本の平均給与は477.5万円――緩やかな上昇傾向の裏で、多くのビジネスパーソンが目標に掲げる大台が「年収700万円」です。

しかし、最新の国税庁のデータ(令和6年分民間給与実態統計調査)を解剖していくと、性別や年齢、選んだ業種によってその到達難易度には驚くほどの格差がある現実が見えてきます。

平均給与の推移(1年を通じて勤務した給与所得者)1/4

平均給与の推移(1年を通じて勤務した給与所得者)

出所:国税庁長官官房企画課「令和6年分 民間給与実態統計調査-調査結果報告-令和7年9月」をもとにLIMO編集部作成

単なる統計データの羅列にとどまらず、元銀行員の視点から見た「額面と手取りのギャップ」や「資産形成の落とし穴」まで、年収700万円の知られざるリアルな実態へ迫ります。

1. この記事の3つのポイント

  •  年収700万円超は全体の上位17.3%で、男女格差が大きい。
  •  男性は50代後半で到達するが、女性は横ばい傾向が続く。
  •  業種間の平均給与差は最大553万円と、業界選びが直結。

 

2. 【給与階級】年収700万円超に達している人の割合はどのくらい?

給与階級別分布グラフ(全体・男女別)2/4

給与階級別分布グラフ(全体・男女別)

出所:国税庁長官官房企画課「令和6年分 民間給与実態統計調査-調査結果報告-令和7年9月」をもとにLIMO編集部作成

世間一般で言われる年収700万円という基準は、日本の給与所得者の中でどのあたりの位置に相当するのでしょうか。

給与階級別分布のデータを確認すると、年収700万円超に該当する層(「700万円超」から「2500万円超」までの各階級を足し合わせた割合)は、全体で17.3%にとどまっています。

この結果から、年収700万円を超えている人は、全体の上位約17.3%にランクインするビジネスパーソンであると言えます。

さらに、この数値を男女別に切り分けて詳しく分析していくと、明確な格差が存在していることが浮き彫りになります。

男性の場合、年収700万円超に達している割合は25.9%に上ります。

その一方で女性のデータに目を向けると、年収700万円超の割合はわずか5.7%にとどまるのが現状です。

年収700万円というラインは、市場全体を見渡せる十分に「高年収層」と呼べる水準ですが、特に働く女性にとっては、依然として非常に高い壁として立ちはだかっていることがデータから読み取れます。

3. 【年齢別の推移】キャリアを重ねることで給与はどこまで上がるのか

一般的には、年齢を重ねて経験やキャリアを積んでいけば、それに伴って給与も連動して上昇していくものと考えられています。

昨今では大手企業を中心とした初任給の引き上げなどにより若年層の給与水準にも変化の兆しが見られますが、年齢階層ごとの平均給与データを細かく見ていくと、男女の描く軌跡は大きく異なっています。

男性の平均給与については、年齢の経過とともに着実な右肩上がりのカーブを描いていきます。

25〜29歳の段階では437.6万円ですが、30代、40代を迎えても順調に推移し、55〜59歳で734.6万円に達してピークを迎えます。この50代後半というタイミングで、男性の平均給与は目標となる700万円を突破する水準へと成長します。しかし、定年や役職定年を迎える時期にあたる60〜64歳になると、604.4万円へと急落する特徴も持ち合わせています。

対照的に、女性の年齢階層別データは全く違った推移を示します。女性の場合は25〜29歳で370.1万円となった後、55〜59歳の356.2万円に至るまで、すべての年齢層で350万〜370万円台の間を推移するのみで、ほとんど横ばいの状態が続きます。女性における平均給与のピークは45〜49歳の368.6万円であり、男性に見られるような50代にかけての大幅な上昇は確認できません。

このように、30代を迎えてからは年齢層が高くなるにつれて男女間の給与格差が広がり続ける構造になっており、年齢の上昇に伴う年収の伸びという恩恵は、男性主導のトレンドであることが伺えます。

和田 直子

データでは男性のピークは55〜59歳となっていますが、教育費や住宅ローンの負担が最も重くなるのは30代後半〜40代であることが多いのです。つまり、「お金が必要な時期」と「給与のピーク」にはタイムラグがあります。また、女性の給与が横ばい傾向である現実を踏まえると、一人の昇給だけに頼るのではなく、早い段階から共働きでのキャリアや家計のバランスをすり合わせておくことがリスクヘッジになります。

人生の支出の波を見据えた長期的な視点を持つことが大切です。