4. 【業種別の格差】選んだ業界でこれだけ変わる年収700万円への到達度

業種別平均給与ランキング4/4

業種別平均給与ランキング

出所:国税庁長官官房企画課「令和6年分 民間給与実態統計調査-調査結果報告-令和7年9月」をもとにLIMO編集部作成

年収700万円を目指すにあたって、どのような「業種」に身を置いて働くかは非常に決定的な要素となります。

データによると、最も平均給与が高い業種と最も低い業種の間に生じている差は、約553.1万円にも達しています。

全14業種が存在する中で、平均給与が高いトップ3の顔ぶれは以下の通りです。

  • 1位:電気・ガス・熱供給・水道業(832.4万円)
  • 2位:金融業・保険業(702.3万円)
  • 3位:情報通信業(659.5万円)

首位に立つインフラ産業は832.4万円と突出しており、2位の金融業・保険業も702.3万円を記録するなど、業種全体の平均の時点で目標となる700万円を超えています。また、男性の数値に限って抽出してみると、金融業・保険業が898.1万円、電気・ガス・熱供給・水道業が878.5万円と、900万円に近い高水準に達しています。

その一方で、平均給与が低い結果となったワースト3の業種は以下の通りです。

  • 12位:サービス業(389.1万円)
  • 13位:農林水産・鉱業(347.9万円)
  • 14位:宿泊業・飲食サービス業(279.3万円)

最下位の宿泊業・飲食サービス業は279.3万円にとどまっており、トップの業種と比べると大きな開きが存在します。これらの業種では、平均給与が300万円台以下に甘んじているのが冷酷な現状です。

現在働いている業種や、これから転職先として検討する業界がどこに位置しているかによって、年収700万円へ到達できる難易度は劇的に変わると言えます。

5. 元銀行員が紐解く:年収700万円の「手取りと資産形成」のリアル

和田 直子

銀行員時代、多くのお客さまの資産状況や融資の現場に携わってきましたが、年収700万円という節目には、データだけでは見えにくい「手取りのギャップ」と「支出のコントロール」という2つのポイントがあると感じています。

まず、年収700万円の実際の手取り額は、独身か扶養家族がいるかにもよりますが、一般的におよそ530万〜550万円前後と言われています。毎月の手取りに直すと30万円台後半に夏冬のボーナスが加わるようなイメージです。この水準になると税金や社会保険料の負担感も大きくなるため、「思ったよりも自由に使えるお金が少ないな」と感じる方も少なくありません。

また、融資の審査において年収700万円は「非常に安定した返済能力を持つ層」として評価されやすく、住宅ローンなどの借入可能額も広がります。ただ、ここに少し意識しておきたい盲点があります。現役時代、年収400万円台で着実に数千万円の資産を築いている方がいる一方で、年収700万〜800万円あっても貯蓄がなかなか増えないというご相談をいただく機会も度々ありました。

これは、収入の増加に合わせて住まいや車、外食、子どもの教育費などのランクを少しずつ上げてしまう「生活水準の膨張」が起きやすいためです。手取りが増えた分だけ支出も増やしてしまうと、どんなに高年収の業界で頑張っていても、手元にお金が残りにくくなってしまいます。

今回のデータが示す通り、どの業界を選ぶかで年収700万円への到達難易度は大きく変わります。しかし、その大台に達した後に本当のゆとりを生み出せるかどうかは、「いくら稼ぐか」だけでなく、「手元に残ったお金をいかに賢く資産に変えていけるか」というリテラシーが鍵を握っています。キャリアアップを目指して収入の天井を追うと同時に、手堅く守り育てる資産形成の視点も、あわせて大切にしていきたいですね。

 

参考資料

和田 直子