3. 先行銘柄対比での「整合性」は?
ルノーのR&IとJCR格付け「A-」は、先行した光通信債や名鉄債の「A」(R&I)/「A+」(JCR)に比べると1~2つ下に位置します。
また、同日に条件決定した、R&Iで同格・JCRで1ノッチ上のNECキャピタルソリューション4年債は、2.36%となりました。
■ルノー債(サムライ債)
- 年限:4年
- 格付:A- (R&I)/A-( JCR)
- 発行額:1000億円
- 利回り:3.02%(税引前)
- 条件決定日: 5月22日
■NECキャピタルソリューション債
- 年限:4年
- 格付:A- (R&I) / A (JCR)
- 発行額:100億円
- 利回り:2.36%(税引前)
- 条件決定日:5月22日
■名古屋鉄道債
- 年限:5年
- 格付:A (R&I)/A+(JCR)
- 発行額:100億円
- 利回り:1.947%(税引前)
- 条件決定日:3月6日
■光通信債
- 年限:4年
- 格付:A(R&I)/A+ (JCR)
- 発行額:910億円
- 表面利率:2.520%(税引前)
- 条件決定日:2月27日
新発社債の利回りが適切であるかを判断する際は、発行体の既発債や、格付けと年限が近い先行銘柄の水準と比較する手法が一般的です。今回のルノー債は期間4年、利率3.02%で条件が決定しましたが、この水準を最近の個人向け社債と照らし合わせてみましょう。
まず、格付けが1~2ノッチ上で期間が5年の名古屋鉄道債が1.947%であったのに対し、ルノー債は期間が1年短いながらも、それを1%以上上回る利回りを提示しました。
また、同じ4年債で発行規模も910億円と近い2月の光通信債(2.520%)と比較しても、ルノー債は0.5%のプレミアムを乗せています。投資家が心理的節目として意識する「3%台」を確保した点は、注目ポイントといえるでしょう。
さらに、同日にローンチしたNECキャピタルソリューション債(4年・2.36%)との比較においても、格付けの差を反映した0.66%の利回り差が設けられています。巨額の資金調達を成功させるため、上乗せ金利を提示した格好です。
「格付けが低い銘柄ほど、信用リスクを補填するための高い利回りが求められる」という投資の基本原則に照らせば、信用力が上の銘柄に対して明確な利回り差を示し、整合性の取れた仕上がりとなっています。
4. まとめ
ルノー第28回円貨社債は、グローバル企業の事業リスクを日本円建てで引き受ける「サムライ債」ならではの投資機会を提供しています。
上昇したベース金利や先行銘柄の水準に対し、格付け「A-」に見合った十分なリターンを提示しているかを精査することになります。
また、100万円という最低投資単位が、自身の資金計画や分散投資の観点から適正であるかの確認も欠かせません。
満期まで持ち切らずに途中で売却しようとした場合、市場金利の動向や発行体の信用状況によっては、債券価格が下落し元本割れとなるリスクも存在します。
「当面使う予定のない余裕資金か」「万が一の元本割れリスクや、債務不履行となるリスクを許容できるか」など、社債の仕組みと自身の投資スタンスを冷静に照らし合わせることが求められます。
購入を検討される際は、証券会社から交付される目論見書等で詳細な条件を必ず確認し、最終的な投資判断は自身の責任で行うことが重要です。
なお、今回はSMBC日興証券の単独案件のため、販売網が限定されています。あらかじめ口座の有無を確認する必要がある点には注意が必要です。
参考資料
- ルノー 発行登録追補書類
- NECキャピタルソリューション株式会社 当社初の個人投資家向け社債発行のお知らせ
- NECキャピタルソリューション株式会社 発行登録追補書類(株券等、社債)
- 名古屋鉄道株式会社 無担保社債の発行条件決定のお知らせ
- 株式会社光通信 無担保社債発行に関するお知らせ
※免責事項
本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の債券の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
募集要項の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください
高原 祥子
