1. バフェットはなぜ買った?インフレと商社株の好相性

インフレ環境下の利益拡大メカニズム1/4

インフレ環境下の利益拡大メカニズム

出所:イズミダイズムの解説を基に作成

株式投資の初心者が伊藤忠商事をはじめとする総合商社に興味を持つきっかけとして、投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェット氏による「日本の5大商社株のバスケット買い(複数銘柄のまとめ買い)」のニュースを思い浮かべる方も多いでしょう。

インタビュワーから「なぜバフェット氏はあのタイミングで商社株を買ったのか」という疑問が投げかけられると、泉田氏はこの背景にある「マクロ環境の変化」と「商社のビジネスモデル」の相性の良さを指摘します。

「世界中がインフレになるというマクロ環境になった時に、商社という業態を考えると、”取引をしてマージンをもらう部分”と”投資をしてその利益を取り込む部分”の2つの大きな収益源があります。物の値段が上がれば、マージンの比率が一定だとしても利益の絶対額が増えますよね」

つまり、商社が行っている取引の仲介ビジネスでは、取り扱う商品の価格が上がれば、そこから得る手数料(マージン)のパーセンテージが同じでも、手元に残る利益の金額は自然と大きくなるという構造があります。

さらに泉田氏は、日本経済の大きな転換点が商社にとって追い風になったと解説します。

「日経平均が6万円超えたじゃない。何がこの節目だったかっていうとやっぱりインフレなのよ」

長らくデフレが続いていた日本ですが、海外発のインフレや金利差による円安の影響を受け、国内の物価も上昇基調に転じました。このインフレ環境において、企業の売上や利益が増加しやすくなり、それが株高の原動力となっています。

その中でも商社は、利益が増えたからといって急激に従業員を増やさなければならないような労働集約型のビジネスではないため、増えた利益がそのまま最終的な利益(ボトムライン)に直結しやすいという強みを持っています。

泉田氏によれば、当時の株価水準が割安に放置されていたこともあり、バフェット氏にとって商社株は非常に魅力的な投資対象に映ったと分析しています。

「なので伊藤忠もいい会社なんだけど、今日紹介する伊藤忠だけじゃなくて他の商社も買ってるわけですよ。どっちかというと、この会社がいいというよりはこのセクターがいいっていう買い方なんだよね」

このように、特定の企業の強みだけでなく、業界全体がマクロ経済の波に乗れる構造を持っていたことが、商社株ブームの根底にあるのです。

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