新緑が目に鮮やかな2026年5月、新しい生活リズムにも慣れてきた頃でしょうか。ライフプランを改めて考える方も多いかもしれません。
特にセカンドライフを歩む方々にとって、お金に関する心配事は常に身近なテーマです。
「同世代の人はどれくらい貯蓄を持っているのだろう」「今の年金収入だけで、今後の暮らしは大丈夫だろうか」といった漠然とした不安を抱えている方も少なくないでしょう。
この記事では、70歳代の方々のリアルな貯蓄額や年金の平均受給額、そして毎月の生活費について、公的な最新データを基にわかりやすく解説します。
他の家庭の状況を知ることで、ご自身の家計を見直す良い機会になるはずです。ぜひ最後までお読みください。
1. 70歳代・二人以上世帯の貯蓄額はいくら?平均と中央値で見る金融資産の実態
J-FLEC(金融経済教育推進機構)が公表した「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」を基に、「70歳代・二人以上世帯の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)」の具体的な状況をグラフで見ていきましょう。
※ここでの金融資産保有額には、預貯金の他に株式、投資信託、生命保険などが含まれます。一方で、日常的な支払いや引き落としに使う普通預金の残高は対象外です。
J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、「70歳代・二人以上世帯」の平均貯蓄額は2416万円でした。しかし、この平均値は一部の富裕層によって引き上げられる傾向があるため、より実態に近いとされる中央値は1178万円となっています。
世帯ごとの貯蓄額の詳しい分布は以下の通りです。
- 金融資産を保有していない:10.9%
- 100万円未満:4.5%
- 100万円以上200万円未満:5.1%
- 200万円以上300万円未満:3.7%
- 300万円以上400万円未満:3.9%
- 400万円以上500万円未満:2.9%
- 500万円以上700万円未満:6.4%
- 700万円以上1000万円未満:6.7%
- 1000万円以上1500万円未満:11.1%
- 1500万円以上2000万円未満:6.7%
- 2000万円以上3000万円未満:12.3%
- 3000万円以上:25.2%
- 無回答:0.6%
「貯蓄が全くない」世帯が全体の10.9%を占める一方で、3000万円以上の資産を持つ世帯が25.2%にのぼります。このデータから、70歳代の二人以上世帯では、資産状況に大きな格差が生じていることがうかがえます。
また、100万円未満が4.5%、100万円から200万円未満が5.1%など、貯蓄額が比較的少ない層も一定数存在します。その反対に、1000万円から1500万円未満が11.1%、2000万円から3000万円未満が12.3%と、ある程度の資産を築いている世帯も多く見られます。
老後の貯蓄額は、現役時代の収入や働き方、退職金の有無、さらには健康状態といった様々な要因に影響されます。年金についても、加入状況や期間によって受け取れる金額は人それぞれです。
もし貯蓄が十分でない場合、年金収入だけで生活を維持するのは厳しいかもしれません。安心して老後を過ごすためには、各世帯の状況に応じた資金計画が不可欠です。
健康なうちは働き続ける、あるいは不動産や投資からの収入を得るなど、早めに対策を講じることが将来の安心につながるのではないでしょうか。
2. 厚生年金の平均受給額は月々どのくらい?男女差や分布状況をデータで確認
次に、厚生労働省が公表している「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、厚生年金の平均的な年金月額について見ていきましょう。
厚生年金の被保険者は第1号から第4号まで区分されていますが、ここでは民間企業などに勤務していた方が受け取る「厚生年金保険(第1号)」の年金月額に焦点を当てて紹介します。
※この記事で紹介する厚生年金保険(第1号)の年金額には、基礎年金である国民年金部分も含まれています。
2.1 【男女別】厚生年金の平均受給月額
- 〈全体〉平均年金月額:15万289円
- 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
- 〈女性〉平均年金月額:11万1413円
厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、男女で平均額には差があり、男性が約17万円であるのに対し、女性は約11万1000円となっています。
では、実際にどのくらいの金額を受け取っている人が多いのでしょうか。月額階級別の受給権者数は次の通りです。
2.2 受給額の分布は?月額階級別の受給者数
- ~1万円:4万3399人
- 1万円以上~2万円未満:1万4137人
- 2万円以上~3万円未満:3万5397人
- 3万円以上~4万円未満:6万8210人
- 4万円以上~5万円未満:7万6692人
- 5万円以上~6万円未満:10万8447人
- 6万円以上~7万円未満:31万5106人
- 7万円以上~8万円未満:57万8950人
- 8万円以上~9万円未満:80万2179人
- 9万円以上~10万円未満:101万1457人
- 10万円以上~11万円未満:111万2828人
- 11万円以上~12万円未満:107万1485人
- 12万円以上~13万円未満:97万9155人
- 13万円以上~14万円未満:92万3506人
- 14万円以上~15万円未満:92万9264人
- 15万円以上~16万円未満:96万5035人
- 16万円以上~17万円未満:100万1322人
- 17万円以上~18万円未満:103万1951人
- 18万円以上~19万円未満:102万6888人
- 19万円以上~20万円未満:96万2615人
- 20万円以上~21万円未満:85万3591人
- 21万円以上~22万円未満:70万4633人
- 22万円以上~23万円未満:52万3958人
- 23万円以上~24万円未満:35万4人
- 24万円以上~25万円未満:23万211人
- 25万円以上~26万円未満:15万796人
- 26万円以上~27万円未満:9万4667人
- 27万円以上~28万円未満:5万5083人
- 28万円以上~29万円未満:3万289人
- 29万円以上~30万円未満:1万5158人
- 30万円以上~:1万9283人
月額階級別の受給者数を見ると、最も人数が多いのは「10万円以上~11万円未満」の層で、約111万人がこの範囲に該当します。
その次に多いのが「11万円以上~12万円未満」で約107万人、続いて「17万円以上~18万円未満」が約103万人となっています。
3. 国民年金(老齢基礎年金)の平均受給額は?男女別の金額と分布を解説
続いて、厚生年金の加入期間がなかった方などが受け取る、国民年金(老齢基礎年金)の月額について確認します。こちらも厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考にしています。
3.1 【男女別】国民年金の平均受給月額
- 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
- 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
- 〈女性〉平均年金月額:5万7582円
3.2 受給額の分布は?月額階級別の受給者数
- 1万円未満:5万1828人
- 1万円以上~2万円未満:21万3583人
- 2万円以上~3万円未満:68万4559人
- 3万円以上~4万円未満:206万1539人
- 4万円以上~5万円未満:388万83人
- 5万円以上~6万円未満:641万228人
- 6万円以上~7万円未満:1715万5059人
- 7万円以上~:299万7738人
仮に「厚生年金を受給する夫(男性平均額)」と「国民年金を受給する妻(女性平均額)」という夫婦世帯の場合、二人分の年金受給額を合計すると月額22万7549円となります。
4. 65歳以上の夫婦二人暮らし、実際の生活費はどのくらい?
老後の生活には、一体どのくらいの費用がかかるのでしょうか。
総務省統計局の「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」から、65歳以上で無職の夫婦のみで暮らす世帯の平均的な家計収支を見てみましょう。
4.1 収入の平均は月額25万4395円
このうち、社会保障給付(主に年金)が22万8614円を占めます。
4.2 手取り収入(可処分所得)は月額22万1544円
(収入)25万4395円から(非消費支出)3万2850円を差し引いた金額です。
非消費支出の内訳は3万2850円で、以下の通りです。
- 直接税:1万2547円
- 社会保険料:2万296円
4.3 支出の平均は月額26万3979円
- 食料:7万8964円
- 住居:1万7739円
- 光熱・水道:2万3540円
- 家具・家事用品:1万1237円
- 被服及び履物:5354円
- 保健医療:1万7941円
- 交通・通信:3万1325円
- 教育:0円
- 教養娯楽:2万6538円
- その他の消費支出:5万1341円
- うち諸雑費:2万2047円
- うち交際費:2万3257円
- うち仕送り金:1135円
4.4 毎月の家計は赤字傾向に
- ひと月の不足額:4万2434円
※端数処理により計算が合わない場合があります
総務省統計局の同調査によると、毎月の実収入は平均で25万4395円です。しかし、ここから税金や社会保険料といった「非消費支出(3万2850円)」が引かれるため、実際に自由に使えるお金である「可処分所得(手取り額)」は22万1544円になります。
一方で、毎月の消費支出は平均26万3979円です。手取り額(22万1544円)からこの支出額を引くと、毎月4万2434円が不足することになります。
この不足分を、現役時代に築いた貯蓄などを取り崩して補填しているのが、現代のシニア世帯の現実的な姿といえるでしょう。
なお、この調査結果で住居費が1万7739円と非常に低く抑えられているのは、調査対象の多くが「持ち家」で家賃負担がない世帯であることを反映しています。
もし賃貸住宅に住んでいたり、住宅ローンの返済が残っていたりする場合、その費用が不足額にさらに上乗せされることになります。
老後の住まいをどうするかは、現役のうちから計画的に考えておくべき重要な課題です。
5. 働くシニア世代の現状:65歳以上の就業率は過去最高に
かつては定年年齢の目安とされた60歳を過ぎても、元気に働き続けるシニア層が増加しています。
2025年9月14日に総務省が発表した「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」を基に、65歳以上の就業率を年齢階級別に見ていきましょう。
5.1 【年齢階級別】65歳以上の就業率の推移
総務省の同調査によると、2024年における65歳以上の就業率は25.7%に達し、前年比で0.5ポイント上昇して過去最高を記録しました。年齢階級別の就業状況は以下の通りで、いずれも過去最高の水準となっています。
- 65歳以上:25.7%
- 65~69歳:53.6%
- 70~74歳:35.1%
- 75歳以上:12.0%
特に、65歳から69歳の層では半数以上が、70歳から74歳の層でも3人に1人以上が就業しています。このように、働き続けるシニアの割合は年々増加傾向にあります。
6. まとめ|平均データは“老後の現在地”を確認するヒントに
今回は、70歳代の貯蓄額、年金受給額、そして日々の生活費という、お金に関する平均的なデータを見てきました。
これらのデータとご自身の状況を比較して、「思ったよりも多いな」と感じた方や、「自分の家とあまり変わらない」と安心した方など、様々な感想を抱いたかもしれません。
特に貯蓄額は個人差が非常に大きく、また公的年金だけでは家計が赤字になるという現実は、多くの方にとって無視できない問題でしょう。
ここで大切なのは、平均値と比べること以上に、ご自身の価値観や人生設計に合った生活プランを立てることです。
この記事をきっかけに、一度家計の収支を丁寧に見直したり、今後の働き方について家族と話し合ったりするなど、具体的な行動を起こしてみてはいかがでしょうか。
※当記事は再編集記事です。
参考資料
- J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」
- 総務省「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」Ⅱ高齢者の就業
- LIMO「いまどき70歳代の「ふつう」を知る。貯蓄・年金・生活費の平均データを基に老後を考える」
筒井 亮鳳