6. 年金を受け取りながら働く人が知っておきたい「在職老齢年金制度」の仕組み

60歳以降も働き続ける人は、今後さらに増えていくと考えられます。

年金だけで老後の生活費をまかなうのが難しい場合、給与収入を得ながら暮らすことは、家計を安定させる有効な選択肢です。

一方で、老齢厚生年金を受け取りながら会社員などとして働く場合には「在職老齢年金制度」に注意が必要です。

在職老齢年金制度とは、老齢厚生年金を受け取りながら働く人について、賃金や賞与をもとにした報酬と年金額の合計が一定額を超えた場合に、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止される仕組みです。

ここで押さえておきたいのは、支給停止の対象となるのは「老齢厚生年金」であり、「老齢基礎年金」は対象外という点です。

つまり、働いて収入が増えたからといって、年金がすべて減額されるわけではありません。会社員や公務員として厚生年金に加入していた人が受け取る、老齢厚生年金の部分が調整の対象になります。

6.1 2026年4月から基準額は月65万円へ

在職老齢年金制度の見直しについて9/9

在職老齢年金制度の見直しについて

出所:厚生労働省「在職老齢年金制度の見直しについて」

在職老齢年金制度は、2026年4月から見直されました。

2026年4月から、年金の支給停止を判定する「支給停止調整額」が見直されています。2025年度は月51万円でしたが、2026年度からはこの基準額が月65万円となっています。

この改正により、給与や賞与をもとにした報酬と老齢厚生年金の合計が月65万円以下であれば、老齢厚生年金は減額されずに受け取れるようになります。

これまで「働きすぎると年金が減ってしまうのでは」と考え、勤務日数や労働時間を抑えていた人にとっては、働き方を考え直すきっかけになるでしょう。

特に、専門職や管理職、再雇用後も一定の収入がある人にとっては、年金の減額を気にせず働ける範囲が広がる可能性があります。

ただし、基準額が引き上げられても、すべての人に影響があるわけではありません。報酬と老齢厚生年金の合計がもともと月51万円以下の人は、今回の見直しによる直接的な変化は限定的です。

60歳以降の働き方を考える際は、給与収入だけでなく、年金額や税金、社会保険料も含めて家計全体で判断することが大切です。

2026年度からの基準額引き上げを踏まえ、自分の場合はどの程度働くと年金に影響が出るのか、あらかじめ確認しておきましょう。