「NISAで何を買えばよいかわからない」と悩む人は少なくありません。

全世界株式やS&P500などの株式型投資信託に人気が集まる一方で、資産を増やすだけでなく、大きく減らさない運用を重視したい人もいるでしょう。

そこで参考になるのが、公的年金の積立金を運用するGPIFの基本ポートフォリオです。

GPIFは、国内債券・外国債券・国内株式・外国株式に分散投資し、長期的な観点で年金積立金を運用しています。

本記事では、GPIFのポートフォリオをNISAで再現する場合の考え方を確認し、金融庁の「つみたてシミュレーター」を使って、毎月積み立てた場合の運用成果を試算します。

1. 【新NISAで運用】お手本にしたい!世界最大級の機関投資家「GPIF」とは?

NISAで運用する商品を考える際、参考になる考え方のひとつが「GPIF」のポートフォリオです。

GPIFとは「年金積立金管理運用独立行政法人」のことで、公的年金の積立金を管理・運用している機関です。

厚生労働大臣から寄託された年金積立金を運用し、その収益を国庫に納付することで、年金財政の安定に貢献する役割を担っています。

私たちが将来受け取る公的年金は、現役世代が納める保険料を高齢者の年金給付に充てる「賦課方式」を基本としています。

ただし、少子高齢化が進むなかでは、保険料収入だけで将来の年金給付を支え続けるのは簡単ではありません。

そこで、年金財政を長期的に安定させるために活用されているのが、これまで積み立てられてきた年金積立金です。GPIFは、この年金積立金を国内外の債券や株式などで運用しています。

GPIFの運用資産額は、2025年度第3四半期末時点で293兆4276億円です。

市場運用を開始した2001年度から2025年度第3四半期までの累積収益額は196兆3721億円、年率収益率は4.71%となっています。

1.1 GPIFの基本ポートフォリオは「4資産に25%ずつ」

GPIFの運用で特徴的なのが、国内外の債券と株式に分散する「基本ポートフォリオ」です。

2025年度からの5年間に適用される第5期中期目標期間の基本ポートフォリオでは、国内債券・外国債券・国内株式・外国株式の4資産に、それぞれ25%ずつ配分する形となっています。

GPIFは、年金財政上必要な利回りを満たしつつ、最もリスクの小さいポートフォリオを選定した結果として、この資産配分を採用しています。

GPIFがこのように複数の資産に分散しているのは、リスクを抑えながら安定的な運用を目指すためです。

複数の資産に投資することで、リスクを抑えながら期待収益率を上げる「分散投資効果」を用いて、基本ポートフォリオを策定しています。

2. 【新NISAで運用】「GPIF」の資産配分をNISAで再現するには?

では、GPIFの資産配分を個人がNISAで再現するには、どのような方法があるのでしょうか。

まず考えられるのは、4つの資産に対応する投資信託を組み合わせる方法です。

個別の株式や債券を直接買うのではなく、それぞれの資産に幅広く投資できるインデックスファンドなどを使えば、GPIFに近い資産配分を作りやすくなります。

  • 国内債券:国内債券型の投資信託
  • 外国債券:先進国債券型・全世界債券型などの投資信託
  • 国内株式:TOPIX連動型などの国内株式インデックスファンド
  • 外国株式:全世界株式・先進国株式・S&P500などの投資信託

例えば、毎月4万円を積み立てる場合、単純に考えれば国内債券1万円、外国債券1万円、国内株式1万円、外国株式1万円ずつ積み立てることで、4資産に25%ずつ投資する形に近づけられます。

2.1 「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の違いに注意

実際にNISAで再現する場合は、つみたて投資枠と成長投資枠の違いに注意が必要です。

つみたて投資枠で購入できるのは、金融庁が公表している対象商品の一覧に掲載された投資信託などです。

一方、成長投資枠では、上場株式やETF、投資信託、REITなど、つみたて投資枠より幅広い商品に投資できます。

NISAのポイント3/6

出所:金融庁「NISAを知る」

つみたて投資枠だけで再現する場合は、対象商品に含まれるバランス型ファンドを活用する方法が現実的です。

バランス型ファンドを使えば、1本で複数の資産に分散投資できます。個別に4本の投資信託を組み合わせるより管理しやすく、投資初心者でも始めやすい点がメリットです。

ただし、GPIFのように「国内債券25%、外国債券25%、国内株式25%、外国株式25%」と完全に同じ配分になるとは限りません。

よりGPIFに近づけたい場合は、各資産に対応する投資信託を自分で組み合わせる方法が有効です。この場合は、投資する商品を自分で選び、資産配分が崩れたときにリバランスする必要があります。

例えば、株式市場が大きく上昇すると、国内株式や外国株式の比率が25%を超えることがあります。そのままにしておくと、当初より株式の割合が高くなり、値動きの大きいポートフォリオになってしまいます。

3. 【新NISAで運用】GPIF風ポートフォリオで運用益シミュレーション!結果はどうなる?

ここからは、GPIF風のポートフォリオをNISAで再現し、毎月積み立てた場合にどのくらいの運用成果が期待できるのかを見ていきましょう。

今回のシミュレーションでは、GPIFの2001年度以降の年率収益率である4.71%を想定利回りとして使用し、以下の条件で試算します。

  • 想定利回り:年率4.71%
  • 積立方法:毎月一定額を積み立て
  • 毎月の積立額:1万円・3万円・5万円
  • 積立期間:10年・20年・30年

※あくまでもGPIFの過去実績であり、個人が同じ運用成果を得られるわけではありません。また、実際の運用では価格変動があり、毎年安定して4.71%ずつ増えるものでもない点には注意が必要です。

3.1 毎月1万円を積み立てた場合

まずは、毎月1万円を積み立てるケースです。毎月1万円であれば、家計への負担を抑えながら長期投資を始めやすい金額といえるでしょう。

毎月1万円を積み立てた場合4/6

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」をもとに筆者作成

毎月1万円でも、30年間続けると積立元本は360万円になります。年率4.71%で運用できた場合、運用資産額は約775万円となり、運用益は約415万円です。

毎月の積立額は小さくても、長く続けることで運用益の割合が大きくなっていくことがわかります。

3.2 毎月3万円を積み立てた場合

次に、毎月3万円を積み立てるケースです。NISAを使った資産形成では、毎月3万円前後を目安にする人も多いでしょう。

毎月3万円を積み立てた場合5/6

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」をもとに筆者作成

毎月3万円を30年間積み立てた場合、積立元本は1080万円です。年率4.71%で運用できた場合、運用資産額は約2325万円となり、運用益は約1245万円となります。

20年時点では運用益が約459万円ですが、30年では約1245万円まで増えます。積立期間が長くなるほど、元本だけでなく、運用益がさらに運用益を生む効果が大きくなります。

3.3 毎月5万円を積み立てた場合

最後に、毎月5万円を積み立てるケースです。家計に余裕がある世帯や、老後資金づくりを本格的に進めたい人にとっては、現実的な目標額のひとつになるでしょう。

毎月5万円を積み立てた場合6/6

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」をもとに筆者作成

毎月5万円を30年間積み立てた場合、積立元本は1800万円です。年率4.71%で運用できた場合、運用資産額は約3875万円となり、運用益は約2075万円に達します。

通常の課税口座で投資信託などを運用すると、分配金や売却益に20.315%の税金がかかりますが、NISA口座であれば非課税となります。

仮に2000万円を超える運用益が出た場合、課税口座とNISA口座では、最終的に手元に残る金額に大きな差が出ます。長期で積み立てるほど、NISAの非課税メリットを実感しやすくなるでしょう。

4. まとめにかえて

GPIFの基本ポートフォリオは、国内債券・外国債券・国内株式・外国株式にそれぞれ25%ずつ投資する資産配分です。

株式だけに偏らず、債券も組み入れることで、長期的に安定した運用を目指しています。

今回のシミュレーションでは、GPIFの2001年度以降の年率収益率4.71%をもとに試算しました。毎月3万円を30年間積み立てた場合、積立元本1080万円に対して運用資産額は約2325万円となり、運用益は約1245万円となる結果です。

ただし、GPIFの実績は過去の結果であり、将来の運用成果を保証するものではありません。また、個人がNISAで完全に同じ運用を再現できるわけでもないため、あくまでも参考として捉える必要があります。

NISAで資産形成を続けるうえでは、期待リターンだけでなく、値下がりしたときに続けられる配分かどうかも重要です。

GPIF風ポートフォリオは、株式と債券を組み合わせながら、長期で無理なく運用するためのヒントになるでしょう。

参考資料