風が心地よい5月中旬、日中は汗ばむ日も増えてきました。

次の公的年金の支給日は6月ですが、2026年度から年金額が改定されたことで、ご自身の暮らしにどのような変化があるのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。

特に、年金収入を主な支えとして生活している方にとっては、少しでも多く受け取れる制度があれば知っておきたいものです。

この記事では、公的年金に加えて支給される「年金生活者支援給付金」という制度に注目します。

どのような方が対象で、いくら受け取れるのか、そしてどんな手続きが必要になるのか、制度の基本をわかりやすく解説します。

ご自身がこの給付金の対象になるかを確認し、今後の生活設計を考える一助としてお役立てください。

1. 「年金生活者支援給付金」の基本的な仕組み

年金を受給している方々の生活を後押しするため、2019年に「年金生活者支援給付金制度」が開始されました。

この制度は、受給条件を満たす方に対し、2カ月に一度、公的年金の支給日にあわせて給付金を口座に支給するものです。

年金生活者支援給付金制度について1/8

年金生活者支援給付金制度について

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」

年金生活者支援給付金は3種類あり、受給中の基礎年金に応じて「老齢年金生活者支援給付金」「障害年金生活者支援給付金」「遺族年金生活者支援給付金」が設けられています。

それぞれの種類で定められた所得要件などを満たす基礎年金の受給者が、この給付金の対象となります。

2. 【種類別】年金生活者支援給付金の支給対象となるための条件

基礎年金を受給している方のうち、年金を含む収入や所得の合計が一定の基準額を下回る場合に、「年金生活者支援給付金」を受け取れる可能性があります。

ここでは、「年金生活者支援給付金」の具体的な支給要件を、3つの種類に分けて詳しく見ていきましょう。

2.1 老齢基礎年金を受給している方の支給要件

老齢年金生活者支援給付金の支給要件2/8

支給要件

出所:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」

まず、老齢年金生活者支援給付金の対象となるのは、以下の要件をすべて満たす方です。

  • 65歳以上で老齢基礎年金を受給していること
  • 同一世帯の全員が市町村民税非課税であること
  • 前年の公的年金などの収入金額(※1)とその他の所得の合計額が、昭和31年4月2日以降生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれの方は80万6700円以下であること(※2)

※1 障害年金や遺族年金などの非課税収入は計算に含みません。
※2 昭和31年4月2日以降生まれの方で合計額が80万9000円を超え90万9000円以下の方、昭和31年4月1日以前生まれの方で80万6700円を超え90万6700円以下の方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される場合があります。

2.2 障害基礎年金を受給している方の支給要件

障害基礎年金を受給されている方へ3/8

障害基礎年金を受給されている方へ

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」

以下の支給要件を両方満たしている場合、障害年金生活者支援給付金の対象となります。

  • 障害基礎年金の受給者であること
  • 前年の所得(※)が479万4000円以下であること(扶養親族の人数に応じて増額されます)

※ 障害年金といった非課税収入は所得の計算に含みません。

2.3 遺族基礎年金を受給している方の支給要件

遺族基礎年金を受給されている方へ4/8

遺族基礎年金を受給されている方へ

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」

下記の支給要件をすべて満たす方は、遺族年金生活者支援給付金の対象です。

  • 遺族基礎年金の受給者であること
  • 前年の所得(※)が479万4000円以下であること(扶養親族の人数に応じて増額されます)

※ 遺族年金などの非課税収入は所得の計算に含みません。

3. 年金生活者支援給付金で受け取れる具体的な金額は?

年金生活者支援給付金には「老齢」「障害」「遺族」の3種類があり、それぞれ公的年金に上乗せされる形で支給されます。

ここでは、具体的に受け取れる金額について見ていきましょう。

3.1 2026年度の給付額は3.2%引き上げ

2026年度の年金生活者支援給付金の額は、2025年度から3.2%の引き上げが決定しました。

年金生活者支援給付金の給付額5/8

年金生活者支援給付金の給付額

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」をもとにLIMO編集部作成

  • 老齢年金生活者支援給付金(基準額):月額5620円
  • 障害年金生活者支援給付金:障害等級1級は月額7025円、2級は月額5620円
  • 遺族年金生活者支援給付金:月額5620円

4. 年金生活者支援給付金を受け取るための申請手続き

この章では、年金生活者支援給付金を受け取るための請求手続きについてご説明します。

すでに公的年金を受給している方で、新たに給付金の対象となった方には、日本年金機構から請求書を兼ねたお知らせが届きます。

4.1 すでに基礎年金を受給中の場合

年金生活者支援給付金請求書の手続きフロー6/8

年金生活者支援給付金請求書の手続きフロー

出所:日本年金機構「年金生活者支援給付金手続きのご案内リーフレット」

  • 毎年9月の第1営業日から順次、「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が郵送されます。
  • 2025年1月以降に65歳になり、日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が届いた方は、電子申請も利用できます。
  • 電子申請を利用しない方は、請求書に必要事項を記入し、切手を貼って投函します。

なお、支給要件に該当するかどうかの確認ができない方には、「年金生活者支援給付金請求書(A4型)」と「所得情報等を確認するための所得状況届」が送付されることもあります。

次に、年金自体をこれから請求する方の手続きを見ていきましょう。

4.2 これから老齢基礎年金を請求する場合

老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ7/8

老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ

出所:日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ」

  • 65歳になる3カ月前に送付される「年金請求書(事前送付用)」に、給付金の請求書が同封されています。
  • 必要事項を記入し、受給開始年齢の誕生日の前日以降に、年金の請求書と一緒に年金事務所へ提出してください。

※障害年金や遺族年金の生活者支援給付金の対象者で、これから基礎年金を請求する方には、給付金の請求書は自動で送付されません。

年金の請求手続きとあわせて、ご自身で年金事務所や市区町村の窓口にて給付金の請求手続きをする必要があります。

4.3 給付金はいつ、どのように支給される?

年金生活者支援給付金は、公的年金と同じく偶数月の15日に支給されます。

15日が土日や祝日の場合は、その直前の金融機関営業日に前倒しで支給される仕組みです。

例えば、6月に支給されるのは4月分と5月分の給付金となります。

年金の受取口座と同じ口座に支給されますが、通帳には年金と給付金がそれぞれ別の項目で記帳されます。

5. 公的年金だけで生活するシニア世帯のリアルな実情

年金収入のみで暮らしている高齢者世帯は、実はそれほど多くないという実態があります。

厚生労働省が公表した「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によると、高齢者世帯のうち所得のすべてが公的年金・恩給である世帯は43.4%でした。

高齢者世帯の総所得に占める「公的年金・恩給」の割合別世帯構成8/8

高齢者世帯の総所得に占める「公的年金・恩給」の割合別世帯構成

出所:厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」II 各種世帯の所得等の状況

  • 公的年金・恩給が総所得に占める割合が100%の世帯:43.4%
  • 公的年金・恩給が総所得に占める割合が80~100%未満の世帯:16.4%
  • 公的年金・恩給が総所得に占める割合が60~80%未満の世帯:15.2%
  • 公的年金・恩給が総所得に占める割合が40~60%未満の世帯:12.9%
  • 公的年金・恩給が総所得に占める割合が20~40%未満の世帯:8.2%
  • 公的年金・恩給が総所得に占める割合が20%未満の世帯:4.0%

このデータを見ると、残りの56.6%の高齢者世帯は、公的年金や恩給以外の収入源で生活費をまかなっていることがわかります。

公的年金だけで生活を維持することが難しいケースも想定し、早いうちから老後の生活設計を立てておくことが重要といえるでしょう。

6. まとめ

今回は、公的年金に上乗せして支給される「年金生活者支援給付金」について、制度の仕組みや対象者、手続き方法などを解説しました。

この給付金は、年金収入が一定の基準を下回る方々の生活を支えるための重要な制度です。

特に物価の上昇が続いている状況では、少しでも暮らしの助けとなる制度を正しく理解し、活用していくことが大切になります。

対象となる可能性のある方には、日本年金機構から請求書が届きますので、見逃さずに手続きを進めましょう。

もしご自身が対象かどうか不明な場合や、手続きに不安を感じる場合は、お近くの年金事務所や「給付金専用ダイヤル」へ相談してみてはいかがでしょうか。

これからの季節を穏やかな気持ちで過ごすためにも、お金に関する情報をしっかり確認しておくことが大切です。

※当記事は再編集記事です。

参考資料

マネー編集部年金班