新緑が目に鮮やかな季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
2026年4月15日の年金支給日を迎え、ご自身の口座に振り込まれた金額を確認し、これからの生活設計について改めて考えている方もいらっしゃるかもしれません。
「周りの人は一体いくらくらい年金をもらっているのだろう」「自分の年金額は平均と比べて多いのか、それとも少ないのか」といった疑問は、多くの方が抱くものでしょう。
また、現役時代の働き方が老後の年金額にどう影響するのか、そして年金だけで生活している人はどのくらいいるのか、気になる点は尽きません。
この記事では、公的年金の基本的な仕組みから、厚生年金と国民年金の平均的な受給額、さらにはライフコース別のモデルケースまで、最新のデータを基に分かりやすく解説していきます。
1. 日本の公的年金はどのような仕組み?
公的年金は「2階建て構造」だと聞いたことがある人もいるでしょう。
これは、日本の年金制度が「1階部分にあたる国民年金(基礎年金)」と「2階部分にあたる厚生年金」から成り立つためです。
1.1 1階部分にあたる「国民年金」の概要
- 加入対象者:原則として日本に住む20歳以上60歳未満の全員
- 年金保険料:国民年金保険料は全員一律。ただし年度ごとに改定あり(2026年度月額:1万7920円)
- 受給額:保険料を40年間欠かさず納付すれば満額が受け取れる(2026年度月額:7万608円)
国民年金の加入者は第1号被保険者~第3号被保険者にわかれ、このうち第2号被保険者が後述する厚生年金に加入します。厚生年金保険料を支払う人は、別途国民年金保険料を支払う必要はありません。
また、第3号被保険者も保険料の納付義務がありません。
1.2 2階部分にあたる「厚生年金」の概要
- 加入対象者:会社員や公務員、またパートなどで特定適用事業所(※1)に働き一定要件を満たした人が国民年金に上乗せで加入
- 年金保険料:収入に応じて厚生年金保険料が変わる。ただし上限あり(※2)
- 受給額:加入期間や納めた保険料により個人差あり
※1 特定事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※2 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
2. 年金の支給日を確認できる「年金カレンダー」
公的年金は、原則として偶数月の15日に支給されます(15日が土日・祝日の場合は、その直前の平日)。年金は後払い方式で、前月までの2カ月分がまとめて支払われるという仕組みです。
2026年度の年金支給日と支給対象月を見てみましょう。
2.1 2026年度における年金支給日と対象月
- 2026年4月15日:2026年2月と3月分
- 2026年6月15日:2026年4月と5月分
- 2026年8月14日:2026年6月と7月分
- 2026年10月15日:2026年8月と9月分
- 2026年12月15日:2026年10月と11月分
- 2027年2月15日:2026年12月と2027年1月分
例えば2026年10月15日の支給日には、2026年8月と9月分の2ヶ月分が一度に支給されるということです。
給与を月に一度受け取っていた現役時代とは、家計管理のサイクルも変わってくるでしょう。
3. 厚生年金と国民年金の受給額に見られる個人差
老齢年金の受給額は、現役当時の年金加入状況により個人差が生じます。
厚生年金と国民年金の平均月額をみたのちに、受給額ごとの人数も見ることで、その個人差がどれほどかを見ていきましょう。
3.1 厚生年金の平均月額と受給額の分布
- 〈全体〉平均年金月額:15万289円
- 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
- 〈女性〉平均年金月額:11万1413円
※国民年金の金額を含む
厚生年金の受給額分布(1万円ごと)
- ~1万円:4万3399人
- 1万円以上~2万円未満:1万4137人
- 2万円以上~3万円未満:3万5397人
- 3万円以上~4万円未満:6万8210人
- 4万円以上~5万円未満:7万6692人
- 5万円以上~6万円未満:10万8447人
- 6万円以上~7万円未満:31万5106人
- 7万円以上~8万円未満:57万8950人
- 8万円以上~9万円未満:80万2179人
- 9万円以上~10万円未満:101万1457人
- 10万円以上~11万円未満:111万2828人
- 11万円以上~12万円未満:107万1485人
- 12万円以上~13万円未満:97万9155人
- 13万円以上~14万円未満:92万3506人
- 14万円以上~15万円未満:92万9264人
- 15万円以上~16万円未満:96万5035人
- 16万円以上~17万円未満:100万1322人
- 17万円以上~18万円未満:103万1951人
- 18万円以上~19万円未満:102万6888人
- 19万円以上~20万円未満:96万2615人
- 20万円以上~21万円未満:85万3591人
- 21万円以上~22万円未満:70万4633人
- 22万円以上~23万円未満:52万3958人
- 23万円以上~24万円未満:35万4人
- 24万円以上~25万円未満:23万211人
- 25万円以上~26万円未満:15万796人
- 26万円以上~27万円未満:9万4667人
- 27万円以上~28万円未満:5万5083人
- 28万円以上~29万円未満:3万289人
- 29万円以上~30万円未満:1万5158人
- 30万円以上~:1万9283人
月額1万円未満から30万円以上と、幅広い受給額に分布していることがわかります。
3.2 国民年金の平均月額と受給額の分布
- 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
- 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
- 〈女性〉平均年金月額:5万7582円
国民年金の受給額分布(1万円ごと)
- 1万円未満:5万1828人
- 1万円以上~2万円未満:21万3583人
- 2万円以上~3万円未満:68万4559人
- 3万円以上~4万円未満:206万1539人
- 4万円以上~5万円未満:388万83人
- 5万円以上~6万円未満:641万228人
- 6万円以上~7万円未満:1715万5059人
- 7万円以上~:299万7738人
国民年金の平均年金月額は全体で5万円台となりました。男性は6万円台、女性は5万円台と、ほんのわずかですが男女差が見られます。
ボリュームゾーンを見ると、多くの人が満額に近い年金額を受け取っていることがわかります。
厚生年金ほどではありませんが、国民年金においても月額1万円未満~7万円以上と個人差がみられます。
4. ライフコース別で見る厚生年金・国民年金の受給額モデル
年金には個人差があるからこそ、平均だけでは見えないものがあります。「将来、自分はどのくらいの年金を受け取れるんだろう?」と確認する一歩となるよう、ここではライフコースごとの目安額を紹介します。
厚生労働省が2026年1月23日に公表した「多様なライフコースに応じた年金額の例」から見ていきましょう。
本資料では、年金加入経歴を5つのパターン(男性2パターン、女性3パターン)に分類した年金額の概算が提示されています。
4.1 モデルケース1:厚生年金への加入が中心だった男性
《年金月額》17万6793円
- 平均厚生年金期間:39.8年
- 平均収入:50万9000円※賞与含む月額換算。以下同じ。
- 基礎年金:6万9951円
- 厚生年金:10万6842円
4.2 モデルケース2:国民年金(第1号被保険者)への加入が中心だった男性
《年金月額》6万3513円
- 平均厚生年金期間:7.6年
- 平均収入:36万4000円
- 基礎年金:4万8896円
- 厚生年金:1万4617円
4.3 モデルケース3:厚生年金への加入が中心だった女性
《年金月額》13万4640円
- 平均厚生年金期間:33.4年
- 平均収入:35万6000円
- 基礎年金:7万1881円
- 厚生年金:6万2759円
4.4 モデルケース4:国民年金(第1号被保険者)への加入が中心だった女性
《年金月額》6万1771円
- 平均厚生年金期間:6.5年
- 平均収入:25万1000円
- 基礎年金:5万3119円
- 厚生年金:8652円
4.5 モデルケース5:国民年金(第3号被保険者)への加入が中心だった女性
《年金月額》7万8249円
- 平均厚生年金期間:6.7年
- 平均収入:26万3000円
- 基礎年金:6万9016円
- 厚生年金:9234円
厚生年金の加入期間や現役時代の平均収入によって、年金月額は大きく変動します。
特に、現役時代に国民年金と厚生年金のどちらを中心に加入していたかによって、老後の受給額は大きく変わることが見て取れます。
5. 公的年金のみで生活する高齢者世帯はどのくらい?
今の高齢者世帯のうち、どれほどが「年金だけで」生活できているのでしょうか。
厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によると、高齢者世帯(※)の平均的な所得構成では63.5%を「公的年金・恩給」が占めており、次いで仕事による収入である「稼働所得」が25.3%、「財産所得」が4.6%となっています。
「公的年金・恩給を受給している世帯」に絞ると、収入のすべてが「公的年金・恩給」である世帯は43.4%となりました。
※高齢者世帯:65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の者が加わった世帯
5.1 総所得に占める公的年金・恩給の割合ごとの世帯数
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯:43.4%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が80~100%未満の世帯:16.4%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が60~80%未満の世帯:15.2%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が40~60%未満の世帯:12.9%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20~40%未満の世帯:8.2%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20%未満の世帯:4.0%
半数以上の世帯は、公的以外の何等かの収入で補填している実態がうかがえます。
6. まとめ
今回は、公的年金の仕組みや平均受給額、そして高齢者世帯の収入実態について詳しく見てきました。
データが示すように、年金の受給額は現役時代の働き方や加入期間によって大きく異なり、まさに「十人十色」です。
また、高齢者世帯の約半数は年金以外の収入も得て生活しているという事実は、セカンドライフの資金計画を考える上で重要なポイントと言えるでしょう。
平均額はあくまで一つの目安であり、ご自身の状況と照らし合わせて一喜一憂する必要はありません。
大切なのは、ご自身の年金見込額を正確に把握し、それを基に将来の生活を具体的にイメージすることです。
「ねんきんネット」などを活用して、ご自身の年金記録を確認してみてはいかがでしょうか。
そこから、ゆとりある老後生活を送るために、今からできる準備を少しずつ始めてみるのも良いかもしれません。
参考資料
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」
- 厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省「Ⅱ 各種世帯の所得等の状況」
マネー編集部年金班