4. 儲けの源泉は「システムサポート(SS)」にあり

このような顧客との関係性は、オービックの収益構造にも明確に表れています。

同社の事業は大きく分けて、システムを導入する「システムインテグレーション(SI)」と、導入後の保守や運用支援を行う「システムサポート(SS)」の2つが柱となっています。

セグメント別の売上高と営業利益4/4

セグメント別の売上高と営業利益

注目すべきは、システムを売り切るSI事業(売上552億円、営業利益329億円)よりも、継続的な支援を行うSS事業(売上715億円、営業利益528億円)の方が、売上も利益も大きいという事実です。

泉田氏は、このSS事業の強みについて次のように解説します。

「担当の人が1人いても、お客さんが3人いてそれが5人いても対応できるとかってなると、同じ固定費で売上が増えるから利益も増える。そういうことなんでしょうね」

システムサポートは、一度導入した顧客から継続的に収益を得る「ストック型」のビジネスです。担当者のノウハウが蓄積されれば、1人の担当者がカバーできる顧客数が増え、限界利益率が高まっていきます。

さらに、AIなどの新しいテクノロジーが登場して時代が変化することは、オービックにとってむしろ追い風になると泉田氏は指摘します。

「お客さん数変わらなくても提案できる機能が増えていけば、さっき言った付加価値だよね。増えていけば契約する単価も上がってくるじゃないですか。そこも上がるんで、この会社からすると時代の変化がある方が単価を上げやすい」

自社でIT人材を確保することが難しくなっている昨今、外部の専門家であるオービックに業務を委託し、自社のニーズに合わせてシステムを調整してもらうという需要は高まる一方です。泉田氏は、こうした「人を張って収益を稼ぐモデル」が、大塚商会などの寄り添い型ビジネスと通じるものがあると分析しています。

【動画で解説】オービック、AI時代にあえて「新卒主義」で利益率65.7%

5. まとめ:時代の変化を味方につけるビジネスモデル

IT業界全体がAIによる自動化や省人化へと向かう中、オービックは「新卒主義」で人を育て、その人の付加価値を高めるためにAIを活用するという独自の道を歩んでいます。

泉田氏は今回の分析を通じて、自身の認識もアップデートされたと語ります。

「今まで僕もAIを使うとなるといかに人を少なくするかということしか考えてなかったんですけど、AIを使って付加価値を高めて、人の価値を高めていくという使い方もあるんだなというのはすごく学びになりました」

AI時代において「新卒を採用しない」という企業が増えれば増えるほど、新卒主義を貫くオービックには優秀な人材が集まりやすくなる可能性があります。

自前で人材を育て、顧客に寄り添い、時代の変化に合わせて新たな付加価値を提案し続ける。このサイクルが回っている限り、オービックの驚異的な高収益体質は今後も維持されていくのかもしれません。

参考資料

  • オービック「2026年3月期 決算短信」
  • オービック「2026年3月期 決算説明会資料」
  • オービック「自己株式取得に係る事項の決定に関するお知らせ」
  • Youtubeチャンネル「イズミダイズム」