3. 産業用ロボットが活躍する「極限の現場」
もう一つの柱であるロボット事業では、モーションコントロールの技術を搭載した完成品としての「産業用ロボット」を展開しています。
その用途は非常に幅広く、自動車工場でのアーク溶接やスポット溶接、塗装作業から、食品工場でのハンドリング(商品の仕分けや箱詰め)まで多岐にわたります。
なぜ危険を伴う溶接作業の現場でロボットが使われるのか。泉田氏はその背景にある歴史的な役割について次のように触れました。
「今までロボットってやっぱり人ではできないこと、危険なことをやらせてきたっていう歴史があるので、今後どこまでロボットの適用範囲が広がるかっていうのを考えるのが、ロボットの普及を考えるときの1つのヒントになる」
火花が散る溶接作業のような危険な現場で、人間の身代わりとして導入されてきたのが産業用ロボットの始まりです。しかし現在、ロボットは「危険だから」という理由だけでなく、「人間には不可能な環境」でも活躍の場を広げています。その代表例が、半導体の製造工場です。
スマートフォンやパソコンに欠かせない半導体は、目に見えないほどの微細なホコリ(パーティクル)が付着するだけで不良品となってしまいます。
泉田氏は、機関投資家時代に工場見学を申し込んだ際のエピソードを交えながら、半導体工場の厳格な環境(クリーンルーム)について語ります。
「半導体の生産工場って埃をすごい嫌うんですよ。人が入るだけで歩留まりが落ちちゃうんですね」
歩留まりとは、生産された製品の中に占める良品の割合のことです。人間が工場内を歩き回るだけで、衣服の繊維や皮脂などが飛散し、歩留まりを低下させる原因となります。そのため、半導体工場では人間の立ち入りを極限まで制限しなければなりません。
「必要最低限の人しかまず生産工場に人いないんですね。じゃあどうやってるかというと、物を運ぶとき全部ロボットなんですよ」
このように、人間よりも清潔で精密に動けるという理由から、半導体製造装置向けの搬送ロボットの需要が急増しています。安川電機のロボットは、こうした「極限の現場」を支えるインフラとして機能しているのです。
【動画で解説】安川電機の業績を牽引する強みとは?
著者
金融・経済YouTubeチャンネル「イズミダイズム」
「イズミダイズム」は、株式会社モニクルリサーチが運営する金融・経済YouTubeチャンネルです。フィデリティ投信や日本生命でポートフォリオマネージャーや証券アナリストとしての勤務経験のある元機関投資家の泉田良輔が、プロの視点で金融や経済に関する様々なニュースの解説や、資産形成に役立つトピックをお届けします。新NISAの開始やインフレを背景に、個人の資産運用への関心が高まる中、機関投資家と個人投資家の「視点の違い」や、経済ニュースの裏側にある「構造」をロジカルに解説します。(最新更新日:2026年1月30日)
監修者
株式会社モニクルリサーチ
代表取締役/日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
株式会社モニクルリサーチ代表取締役。その他に株式会社モニクル取締役COO、株式会社モニクルフィナンシャル取締役COOも務める。LIMO&ファイナンス編集長。東京科学大学大学院非常勤講師。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了(同研究科最優秀賞受賞)
1. 経歴
2013年に株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を原田慎司(現同社取締役)らとともに共同創業。2013年に個人投資家向け金融経済メディア「Longine(ロンジン)」を立ち上げ、編集長に就任。Longineの立ち上げの経緯はBloombergにおいて「体力勝負アナリスト辞めます、元外資マン個人に長期投資指南」として掲載され大きな反響を呼ぶ。投資情報のサブスクモデルを確立する。その後、株初心者向けネットメディア「株1」、2015年にはくらしとお金の経済メディア「LIMO」の前身となる「投信1」を立ち上げる。2026年6月に専門家と実務家が情報発信をする金融経済ニュースサイト「LIMO&ファイナンス」を立ち上げ編集長に就任。
それ以前は、日本生命・国際投資部で外国株式ファンドマネージャー、フィデリティ投信・調査部や運用部にて10年に渡ってインターネット、電機(半導体・民生・産業エレクトロニクス)、機械(ロボットやセンサー企業中心)といったテクノロジーセクターの証券アナリストや中小型株ファンドのアシスタント・ポートフォリオ・マネージャー(最年少で就任)として従事。
2. 専門・研究領域
慶応義塾大学商学部卒業。国際金融及びコーポレート・ガバナンスを専攻。アジア通貨危機、昭和金融恐慌などの金融パニックのメカニズムを金融政策や金融機関への規制の観点から研究。それらの内容は「昭和金融恐慌からの教訓 平成恐慌になにをどう生かすべきか」(三田商学研究学生論文集)として発表。
3. 著書
・『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資』(ダイヤモンド社)
・『テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図』(クロスメディア・パブリッシング)
・『銀行はこれからどうなるのか』(クロスメディア・パブリッシング)
・『Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない』(KADOKAWA)
・『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』(日本経済新聞出版社)
4. 寄稿や講演他
「日経BizGate」での連載「泉田良輔の新・産業鳥瞰図」や「現代ビジネス」、「東洋経済オンライン」、「プレジデント」などへの寄稿や対談も多数。対談記事例としては「【未来予想】ブロックチェーン革命が、「半沢直樹」の世界に終わりを告げる」や「【未来予想】アマゾンとビットコインが、次世代の「銀行」になる理由」(いずれもNewsPicks)、「米独に遅れる日本の自動運転、自動車も電機の二の舞に?」(週刊ダイヤモンド)。海外ジャーナリストからインタビューされることも多く、Financial TimesやThe Economist、Bloombergにおいて自動車や金融業界についての国内外産業動向コメントも発信している。
講演会や動画での情報発信も盛んに行っており、NewsPicksのTHE UPDATE、日経ビジネススクール、慶應丸の内キャンパス、慶應義塾SDM、アカデミーヒルズなどでも講義を行う。またNewsPicksのNewSchoolではプロジェクトリーダーとして「本当に初心者のための資産運用」を開催。
最終更新日:2026年6月26日