6月15日は年金支給日です。6月から、2026年度基準の金額での年金支給が始まります。2026年度の国民年金は前年度から1.9%のプラスとなっています。

満額の年金、あるいは標準的な年金を受け取るには、どういった要件を満たす必要があるのでしょうか。この記事では、標準金額の国民年金・厚生年金を受け取れる人や年金の改定結果、受給見込額の確かめ方などを解説します。

1. 2026年度の年金額は1.9%・2.0%プラス!

2026年度の年金額は、以下のように改定されています。

1.1 国民年金

  • 2025年度:6万9308円
  • 2026年度:7万608円(前年度+1300円)

1.2 厚生年金

2026年度の厚生年金額2/4

2026年度の厚生年金額

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」をもとに筆者作成

  • 2025年度:23万2784円
  • 2026年度:23万7279円(前年度+4495円)

夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額

国民年金は前年度から1300円(1.9%)増加、厚生年金は前年度から4495円(2.0%)増加しています。金額は、以下のような数値を用いて決定しています。

  • 物価変動率:前年の消費者物価指数(CPI)
  • 名目手取り賃金変動率:CPIに直近3年度平均の実質賃金変動率を足した数値
  • マクロ経済スライド調整率:現役世代の保険料負担を抑制するための調整率

今回の年金改定では、物価変動率が3.2%、名目手取り賃金変動率が2.1%でした。物価のほうが賃金よりも高い場合、名目賃金変動率を改定率とするのがルールです。ここにマクロ経済スライドによる調整▲0.2%が加わり、1.9%の増額となっているのです。また、厚生年金のマクロ経済スライド調整率は▲0.1%となっており、2.0%の増額になっています。

上記の金額での年金支給が始まるのは、6月15日からです。年金は前2ヵ月分がまとめて支給される仕組みのため、次回6月は4月・5月分の年金が支給されます。4月に支給された分は前年度金額での支給であり、増額はされていません。

次章では、国民年金を満額受け取れる人の要件を見ていきましょう。

2. 国民年金「月7万円」受け取れるのはどんな人?

国民年金を満額の「月7万円」受け取るには、保険料を未納なく納める必要があります。国民年金には、原則20歳から60歳までの40年間加入します。加入期間中のすべての保険料を納めれば、満額の月額7万608円(※2026年度)を受給できる仕組みです。

学生時代に保険料の納付を猶予してもらう「学生納付特例」を使っている人は、卒業後に保険料を追納しないと、満額の年金を受け取れません。また、なんらかの理由で国民年金への切り替えが遅れてしまい、保険料の未納期間がある場合も、国民年金の一部がカットされてしまいます。

とはいえ、学生納付特例を利用した場合などは、保険料の追納をつい忘れがちです。そうした人は、以下のように年金額を増やす工夫をすれば、月7万円の年金を受け取れる可能性が高まります。

  • 付加年金:月額400円の付加保険料を支払って「200円×付加保険料月数」の分だけ年金を上乗せする
  • 繰下げ受給:年金の受給タイミングを遅らせる代わりに受給額を1ヵ月あたり0.7%増やす

参考までに、国民年金の平均年金月額を見てみましょう。

国民年金の平均年金月額3/4

国民年金の平均年金月額

出所:厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
  • 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万7582円

全体は約6万円となっており、満額より低い水準ではあるものの、多くの人が一定額の年金を受給していることがわかります。

次章では、厚生年金を満額受け取れる人の要件を見ていきましょう。

3. 厚生年金「月約24万円」受け取れるのはどんな人?

前述の2026年度の厚生年金の金額「23万7279円」は、夫婦2人分の国民年金(基礎年金)を含めた標準的な金額です。月約24万円の年金を受け取れるのは、どのような人なのでしょうか。

月約24万円という金額は、会社員の夫と専業主婦の妻という標準的な夫婦世帯をモデルにした年金額(夫婦2人分)です。厚生年金は、国民年金のように納めた保険料で金額が決まるわけではありません。厚生年金保険への加入期間や現役時代の給与・賞与の金額が受給額の根拠になるのです。

厚生労働省では、年金改定の際に厚生年金のモデル世帯として、夫が平均的な収入で40年間会社員として就業し、妻が専業主婦であった場合の年金受給額を公表しています。 

男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45.5 万円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」より引用

今回の23万7279円という金額は、このモデル世帯にならい、男性の平均標準報酬(賞与を含む月額換算)45万5000円で40年間就業した場合に受け取り始める「老齢厚生年金」と、夫婦2人分の「老齢基礎年金(満額)」を合計した給付水準をもとにしたものです。

参考までに、厚生年金の平均年金月額を見てみましょう。

厚生年金の平均年金月額4/4

厚生年金の平均年金月額

出所:厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 〈全体〉平均年金月額:15万289円
  • 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
  • 〈女性〉平均年金月額:11万1413円
    ※国民年金の金額を含む

 月約24万円のうち、約7万円(満額受給した場合)は配偶者の老齢基礎年金であることを考慮すると、夫自身が受け取る分の年金は約17万円となります。

男性の平均年金月額が約17万円(16万9967円)ですから、標準金額を受け取るには、男性の平均程度の収入と加入期間が必要になるといえます。

次章では、年金受給額の確かめ方を解説します。

4. 年金受給額の確かめ方

ねんきん定期便は、毎年誕生月に日本年金機構から送られるハガキ(35歳・45歳・59歳の節目の年は封書)で、年金の見込受給額や保険料納付額などが記載された書類です。50歳未満の人には、「これまでの加入実績に応じた年金額」が記載されます。

一方、50歳以上になると年金受給が近づくため、具体的な見込受給額が記載されます。「実際にいくら受け取れるのか」がより明確になるため、老後の資金計画を立てやすくなるでしょう。

なお、実際に手元に残るのは、ねんきん定期便に記載の金額から税金や社会保険料を除いた金額です。実収入はあくまでねんきん定期便の記載金額から数万円引いた金額だとおさえておきましょう。

また、Web上の「ねんきんネット」であれば、マイナポータルなどからいつでも最新の年金記録を確認できます。現状をよりリアルに知りたい人は、活用してみてください。

5. まとめ

2026年度は厚生年金・国民年金ともに金額が増加します。6月から、増額された金額での支給が始まる予定です。

満額・標準金額を受け取るには、保険料を適切に納めることや、夫婦モデルの場合は夫の平均標準報酬が45.5万円であることなど、一定の要件を満たさなければなりません。

満額・標準金額に届かない受給見込額であっても、貯蓄や労働収入などでカバーできれば老後生活も安心です。まずはねんきん定期便などで、年金の受給見込額を確かめてみるとよいでしょう。

参考資料