2026年の日本は、世界でも類を見ない速度で高齢化が進行しています。
総務省の人口統計によれば、高齢化率は年々上昇を続けており、国民のおよそ3人に1人が65歳以上という社会が目前に迫っています。
「人生100年時代」といわれる現代では、70歳を過ぎてからも20年、あるいはそれ以上、老後の生活が続く可能性があります。
この長い老後を安心して過ごせるかどうかは、現役時代に形成した資産や年金収入に大きく影響されることはいうまでもありません。
特に夫婦二人世帯の場合、年金収入を生活の基盤としながら、貯蓄をどのくらいのペースで取り崩していくかが重要な課題となります。
近年の物価上昇も相まって、「年金だけで暮らしていけるのか」「老後資金はいくら準備すれば安心なのか」といった不安を抱えている方も少なくないでしょう。
そこで注目されるのが、実際のシニア世代がどの程度の資産を保有しているかという点です。
平均値だけを見ると資産額が多く感じられることもありますが、資産の分布は世帯ごとに大きく異なるため、より実態に近い水準を把握するには中央値にも目を向けることが大切です。
この記事では、70歳代・二人以上世帯の貯蓄額について、平均値と中央値の両方からその実態を明らかにします。
あわせて、夫婦世帯における平均的な年金月額も確認し、現在のシニア世代がどのような家計状況で生活しているのかを考察します。
物価高が続くなか、これからの老後資金を考える上での参考にしてみてください。
1. 70歳代が抱える老後の不安、その具体的な内容とは
このような状況下で、70歳代の多くが将来の家計に対して強い不安を感じています。
J-FLEC(金融経済教育推進機構)の「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、70歳代の二人以上世帯のうち、およそ3割にあたる30.6%が「年金だけでは日常生活費程度もまかなうのが難しい」と回答しています。
「ゆとりはないが日常生活費程度はまかなえる(53.5%)」という回答と合わせると、8割を超える世帯が生活にゆとりを感じられていないことになります。
その背景には、日々の生活費や近年の物価上昇に対する懸念があります。
同調査で「年金にゆとりがない」と感じる理由を尋ねたところ、70歳代・二人以上世帯のおよそ6割(57.7%)が「物価上昇等により費用が増えていくとみているから」と回答しました。
さらに、70歳代は健康寿命(日常生活に制限なく過ごせる期間)の転換点を迎える年代でもあります。
年齢を重ねるほど医療機関を利用する機会が増え、将来的な医療費の自己負担増への警戒感や、配偶者や自身の介護が必要になった際の長期的な費用負担も、より現実的な問題として捉えられるようになります。
このように、日々の物価高が家計を圧迫することに加え、70歳代特有の「予測しにくいものの確実に近づいてくる医療・介護の支出」への不安が、老後資金に対する心配を一層大きくしていると考えられます。
