8. まとめにかえて:75歳以降の家計をどう見通していくか
ここまで見てきたように、後期高齢シニア夫婦の家計は、生活費・年金・貯蓄のバランスに大きな余裕があるとは言いにくく、多くの世帯で貯蓄を取り崩しながら生活を維持している状況が見られます。さらに、医療費や介護費が加わることで、将来の家計負担は一段と不透明になりやすくなります。
一方で、後期高齢者医療制度や高額療養費制度のように、医療費の負担を一定範囲に抑えるための公的制度も整備されています。こうした仕組みを理解しておくことで、「想定外の支出」への不安を必要以上に大きくせずに済むでしょう。
また、資産の中身を見ると、預貯金の割合が高く安全性はあるものの、物価上昇が続く環境では実質的な価値が目減りしていく可能性もあります。
そのため重要になるのは、単純に「いくら持っているか」ではなく、「その資産でどれくらいの期間生活を支えられるか」という資産寿命の視点です。
「人生100年時代」と呼ばれる今、長期化する老後に備えるためには、年金の受け取り方や医療制度も含めた総合的な家計設計が欠かせません。
現役時代からの準備に加え、公的制度をうまく活用しながら、長く安定した生活基盤をどう維持していくか。それが、これからの老後生活における大きなテーマになっていくでしょう。
参考資料
- 総務省「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」
- 総務省「家計調査 家計収支編 2025年〔二人以上の世帯〕」(第3-2表)
- 総務省統計局「家計調査 用語の解説」
- 内閣府「令和7年版高齢社会白書 第2節 高齢期の暮らしの動向」
- 内閣府「令和7年版高齢社会白書〈特集①〉高齢者の経済生活をめぐる動向について」
- 生命保険文化センター「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査」
- 厚生労働省年金局「令和年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省統計局「家計調査 貯蓄・負債編 2025年 〔二人以上の世帯〕」(第8-10表)
- 政府広報オンライン「後期高齢者医療制度 医療費の窓口負担割合はどれくらい?」
- 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
- 厚生労働省「後期高齢者の窓口負担割合の変更等(令和3年法律改正について)」