多くの負担を背負っているワンオペ妻にとって、夫の帰宅後はようやく2人で育児ができる貴重な時間。にもかかわらず、夫がなかなか家に帰ってこない家庭もあるようです。

とくにワンオペ妻が腹を立てているのは、「フラリーマン」の存在。仕事はとっくに終わっているのに、フラフラと寄り道をしてなかなか帰ってこない夫にストレスを感じているようです。

2019年にSMBCコンシューマーファイナンス㈱が実施した『30代・40代の金銭感覚についての意識調査2019』によると、「仕事が終わってもまっすぐ帰宅はせず、ブラブラ寄り道をしながら帰ることがある」と答えた割合は、男性が54.1%。女性が43.7%という結果でした。

また、「家事(または家事・育児)の負担は自分に過度に集中していると思うか」という問いに「非常にそう思う」「ややそう思う」と答えた女性は、76.0%となっています。

これらを踏まえると、退勤後に寄り道をする割合に大きな男女差はないものの、家事や育児の負担は女性に傾いているといえるでしょう。

転勤の理不尽なタイミング…

6月1日、大手化学メーカー「カネカ」に勤めていた男性が、育休明けすぐに転勤の内示を受け退職に至ったことをSNSに投稿し話題となりました。

これにより、「男性の育休取得問題」と「転勤問題」という2つの問題が同時に浮き彫りになりました。

そもそも転勤制度は「妻が家にいる専業主婦が前提」の制度です。近年共働き世帯は増加傾向にあり、時代に合っていません。また、終身雇用制度も見直されてきています。転勤の内示に従うことにメリットを感じる従業員は、少なくなっているのではないでしょうか。

労働政策研究・研修機構の『企業の転勤の実態に関する実態調査』(2016年)によると、「正社員(総合職)の転勤(転居を伴う配置転換)がどのくらいあるか」の問いに対して「正社員(総合職)のほとんどが転勤の可能性がある」が33.7%、「正社員(総合職)でも転勤をする物の範囲は限られている」が27.5%となっています。

これは正社員規模が大きくなるほど顕著で、正社員規模1000人以上の「正社員(総合職)のほとんどが転勤の可能性がある」は50.9%にもおよびます。また、拠点数が多いと転勤の可能性がある社員が多くなります。

共働き世帯の場合、単身赴任も選択の1つになります。しかしこれにより、片親の常時ワンオペ育児が確定するのです。

「男性の育休取得」がしにくい点も、ワンオペ育児をうむ原因の1つとなっています。

内閣府男女共同参画局が発表した統計によると、18年の男性の育児休業取得率は6.16%となっています(1日だけ育児休業を取得した割合も含む)。これに対して、女性の取得率は83.2%です。

まとめ

ワンオペ育児は、親だけではなく子どもにも悪影響があります。両親のどちらか一方に負荷がかかっていると、そのストレスが子どもに向かってしまう可能性も。

また子どもも1人ではなく、複数の人と関わった方が教育にいい影響を及ぼす場合もあります。

親であっても、子どもが小さくても1人の時間は必要です。

しかし夫が「家事・育児をなるべくしたい」と考えていても、男性の育休取得は困難な職場環境がまだまだ多く、突然の転勤などもあります。

夫婦の話し合いはもちろん、社会全体で「ワンオペ育児」の解消に向けて話し合っていくべきでしょう。

【参考】
『30代・40代の金銭感覚についての意識調査2019』SMBCコンシューマーファイナンス
企業の転勤の実態に関する実態調査』労働政策研究・研修機構
『「共同参画」2018年6月号』内閣府男女共同参画局

LIMO編集部