2026年度の税制改正により、住宅ローン控除制度にもいくつか変更点が生じています。これからマイホームの購入を検討している方には、控除の対象が広がる嬉しいニュースです。ただし、中には注意したいポイントもあります。

ここでは、住宅ローン控除の仕組みや今回の改正ポイント、控除額のシミュレーションについて元銀行員の筆者が解説します。記事の後半ではフラット35の変更点についても紹介しますので、住宅ローンを組む際の参考にしてください。

1. 【住宅ローン控除】最長13年間!ローン残高の「最大0.7%」税金から差し引かれる!

住宅ローン控除とは、住宅ローンを借りてマイホームを取得した際に、一定の条件を満たすことで受けられる税額控除の制度です。控除額は毎年の住宅ローン年末残高に0.7%を掛けた金額で、所得税(一部は翌年の住民税)から最長13年間にわたって差し引かれます。

省エネ性能の高い住宅ほど借入限度額が大きく設定されており、たとえば認定長期優良住宅・認定低炭素住宅であれば最大4500万円、子育て世帯・若者夫婦世帯はさらに上乗せがあり5000万円まで対象となります。

控除の適用を受けるためには、主に以下の条件を満たす必要があります。

  • 住宅取得後6ヶ月以内に入居していること
  • 住宅ローンの返済期間が10年以上であること
  • 床面積が40㎡以上であること(条件により50㎡以上の場合あり)
  • 合計所得金額が2000万円以下であること
  • 床面積の2分の1以上が居住用であること 

なお、2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅では、省エネ基準を満たさなければ住宅ローン控除を受けることができません。

2. 【住宅ローン控除】2026年度《中古住宅・コンパクト住宅》拡充!50㎡→40㎡など!

今回の改正で特に注目したいのが、中古住宅への優遇拡充とコンパクト住宅への条件緩和です。

2.1 <中古住宅への優遇拡充>

これまで中古住宅の控除期間は一律10年間、借入限度額は最大3000万円とされていました。それが、2026年度からは省エネ基準に適合する中古住宅の控除期間が13年間に延長され、借入限度額も最大4500万円まで引き上げられています。

新築住宅の価格が高騰するなかで中古住宅の購入を検討している方にとっては、制度面でのサポートが手厚くなったといえます。

2.2 <コンパクト住宅も控除対象>

これまで床面積の要件は50㎡以上が原則でしたが、2026年度からは40㎡以上に緩和されました。

所得1000万円超の人や子育て等世帯の上乗せ措置を利用する場合は50㎡以上が要件となりますが、単身世帯でコンパクトなマンションを選ぶ場合にも利用しやすくなった点は大きなメリットです。

2.3 2028年以降は省エネ基準がさらに重要に

今回の改正では、省エネ基準がさらに厳格化されている点にも注目が集まっています。

2028年以降に建築確認を受ける新築住宅については、ZEH水準を満たさない省エネ基準適合住宅は控除対象外となる見込みです。

また、土砂災害特別警戒区域などの災害リスクの高いエリア(レッドゾーン等)では控除が受けられなくなる可能性があるため、購入前のハザードマップ確認がより重要になります。

住宅ローン控除の適用条件まとめ1/1

住宅ローン控除の適用条件まとめ

出所:国土交通省「令和8年度住宅税制改正概要」

3. 【住宅ローン控除】ローン残高4000万円「控除はいくら?」シミュレーションで確認

住宅ローン控除の計算式は「年末残高(借入限度額以内)×0.7%」です。

たとえば、省エネ基準適合住宅を購入し、年末時点のローン残高が4000万円の場合は「4000万円×0.7%=28万円」が1年間の控除額となります。

ただし、控除額はあくまで「その年の所得税額」が上限です。所得税で控除しきれなかった分は翌年の住民税からも一部差し引かれますが、住民税の控除には上限があるため、所得税が少ない場合はフルに受けられないこともあります。

ご自身のケースでどれくらいの控除が見込めるか、事前にシミュレーションしておくとよいでしょう。

4. 【住宅ローン控除】住宅ローンを検討中の人は「フラット35」の改正もチェックしよう

住宅ローンの選択肢として、全期間固定金利の「フラット35」を検討している方もいるかもしれません。フラット35は住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する住宅ローンで、借入時から完済まで金利と返済額が変わらないことが特徴です。

フラット35でも2026年4月以降の借り入れ分より制度改正が行われており、これまで8000万円だった融資限度額が1億2000万円まで拡大されています。また、戸建て住宅における床面積の条件が70㎡から50㎡へと緩和され、より幅広い方が利用しやすくなっています。

5. 【住宅ローン控除】今年の改正ポイントを押さえて、賢くマイホームを選ぼう

2026年度の住宅ローン控除の改正は、中古住宅を選ぶ方やコンパクトな住宅を選ぶ方にとって選択肢が広がる内容となっています。一方で、省エネ性能による控除額の違いや、2028年以降の要件厳格化など、知らないままで住宅ローンを借りると思わぬ損につながることもあります。

これからマイホームの取得を検討している方は、今回の改正ポイントを押さえたうえで税制メリットを得られるかどうか確認してみましょう。

参考資料

椿 慧理