3. 地政学リスクを跳ね返す「オセアニア中心」の強み

足元の株式市場において、INPEXの株価は急伸しています。

その直接的な引き金となったのは、中東情勢の緊迫化による原油価格の高騰懸念です。しかし、INPEXの強みは単に「原油価格が上がれば儲かる」という単純な図式だけではありません。

株価・TOPIX・油価の推移比較(会社開示資料)2/4

株価・TOPIX・油価の推移比較(会社開示資料)

出所:INPEX「2025年12月期 決算説明会資料」(2026年2月12日)p.5

「この会社が持っているオイルガスの権益のところを見ると、その資産の分散、ポートフォリオがオセアニアを中心とした構成であるので、相対的にまず影響を受けにくいと会社は言っています。」

中東のホルムズ海峡が封鎖されれば、多くの企業がエネルギー調達に致命的な打撃を受けます。

しかし、INPEXの権益(資源を採掘する権利)はインドネシアやオーストラリアなどオセアニア地域に集中しています。

つまり、中東の地政学リスクの影響を直接受けにくい安全な供給網を持ちながら、グローバルなエネルギー価格上昇の恩恵は受けられるという、極めて有利なポジションにいるのです。

この期待感の強さは、実際の決算数値と市場の反応の「ギャップ」にも表れています。

INPEXが発表した2025年12月期の通期決算は、売上収益が前期比マイナス11.2%の2兆113億円、営業利益が同マイナス10.7%の1兆1354億円と、厳しい「減収減益」での着地となりました。

さらに、会社が発表した2026年12月期の業績予想も、売上収益がマイナス5.9%、営業利益がマイナス15.7%と、引き続き減収減益を見込んでいます。

普通なら株価が下落してもおかしくない決算内容ですが、市場の反応は異なります。

機関投資家やアナリストたちの予測(IFISコンセンサス)では、会社の税引前利益予想(1兆円)に対して、約21%も上振れする1兆2113億円が見込まれています。

会社側が保守的な前提を置いているのに対し、市場はすでに足元の原油価格上昇や地政学的な優位性を織り込み、業績の「上方修正」を期待して株を買っているのです。