3.3 誤解その3「支払った年金保険料は元が取れない」という考え方
公的年金は、自身で積み立てたお金を受け取るだけの貯蓄とは異なり、以下の3つの機能を備えた社会保険制度です。
- 老齢年金:長生きすることによる経済的リスクに備える
- 障害年金:病気やけがで働けなくなった際の生活を保障する
- 遺族年金:加入者が亡くなった場合に遺族の生活を支える
さらに、所得再分配機能も備わっており、現役時代の収入差がそのまま年金受給額の格差とならないように調整されています。
そのため、「支払った保険料の元が取れるか」という損得勘定だけで、この制度の本来の価値を測ることはできないのです。
4. 公的年金だけでは不十分?老後資金の準備を始めよう
この記事では、4月15日に支給される年金で「2カ月分60万円(月額30万円)以上」を受け取る人の割合について解説しました。
支給額60万円と聞くと高額に感じるかもしれませんが、公的年金は原則として偶数月に2カ月分がまとめて支給される仕組みです。
したがって、支給額が60万円の場合、1カ月あたりに換算すると約30万円ということになります。
しかし、月額30万円という年金額は、実際に受け取れる人がごく少数であるのが現状です。
厚生労働省の統計データによると、月額30万円以上の厚生年金受給者は全体の0.12%に過ぎません。
現役で働いている方にとって月収30万円は、必ずしも高収入とは感じられないかもしれません。
しかし、老後の年金収入として月額30万円以上というのは、かなり恵まれた水準に位置づけられます。
もし老後も現役時代と同等の生活レベルを維持したいのであれば、公的年金だけで足りるのか、不足額はいくらになるのかを試算し、早めに老後資金の準備を始めることを検討してみてはいかがでしょうか。
※当記事は再編集記事です。
参考資料
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省「令和6(2024)年財政検証関連資料①」
- 厚生労働省「令和6(2024)年財政検証関連資料②ー年金額の分布推計ー」
- 厚生労働省「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通しー令和6(2024)年財政検証結果 ー」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「知っておきたい年金のはなし」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
- LIMO「厚生年金、4月15日の支給日に「60万円(月額30万円)以上受給する人」の割合は何%?年金制度の《3つのよくある誤解》を解説」
鶴田 綾

