さて、海外の金価格(ドル建て)を国内価格(円建て)に算出する上で用いる為替レートは、直近で108円/ドル前後です。しかし、この為替レートは一時期に比べると円高であるため、円建て価格には不利に働きます。

実際、国内価格が1981年以降の最高値となった2015年1月の為替レートは118~119円/ドルでした。もちろん、この時の海外価格は約1,250ドルでしたから、今回は海外価格の上昇が円高デメリットを打ち消したと見ることはできます。

しかし、昨年8月以降の上昇率の差異(ドル建て+21%上昇、円建て+17%上昇、昨年8月よりも為替レートは4円の円高)を勘案すると、国内の金価格を押し上げる何らかのプラス要因があると考えていいでしょう。

それは何でしょうか? これも結論から言うと、消費増税の影響と考えられます。

金価格にも消費増税の影響、増税後の売却を見込んだ駆け込み需要も

国内の金価格、すなわち、金の売買で用いる価格は「消費税込み価格」を用います。現在は、税抜き価格に+8%を上乗せした価格ですが、これが10月から+10%の上乗せ価格になるのです。つまり、今買って10月以降に売却すれば、表面上は+2%分が“丸儲け”になる仕組みです。

ただ、実際には、買取り価格と売却価格には差異があり(これが取扱業者の手数料となります)、さらに、金価格自体が日々変動しているため、“丸儲け”というようなケースは稀です。

しかし、消費税が8%のうちに購入しておけば、この増税+2%分が売却時に有利に働くことは間違いありません。いや、有利どころか、大変大きなメリットになる可能性もあります。

現在の価格高騰が続けば増税分以上の利益を得る可能性も