4. 無理な出店はしない?着実な店舗拡大がもたらす安心感
最後に泉田氏は、山岡家の今後の成長を占う「出店戦略」について分析しました。
山岡家は現在、全国で195店舗を展開しています。来期は新たに15店舗の出店を計画しており、総店舗数を拡大していく方針です。
195店舗という規模のチェーン店が、1年間で15店舗を新たに出店するというのは、急拡大の部類に入るのでしょうか。
インタビュワーからのこの問いに対し、泉田氏は前期の出店実績を引き合いに出して解説します。
「去年は10店舗計画で8店舗の出店だったんで、計画未達とも言えるんだけど、慎重に物件を見てるのかなという気がしていて、15件はやりたいよって言ってる中で、ちゃんと物件が見つかるかどうかっていう話になるかなと思います」
前期は10店舗の出店を計画していましたが、実際に出店したのは8店舗でした。数字だけを見れば「計画未達」ですが、泉田氏はこの結果をネガティブには捉えていません。
むしろ、数字を作るために条件の悪い場所に無理やり出店するのではなく、採算が取れる良い物件を慎重に見極めている姿勢の表れだと評価しています。
「もう絶対計画通り何十店舗やんだっていう感じではないから、逆に言うと安心感あるね」
外食チェーンの歴史において、株価を意識するあまり無謀なペースで出店を繰り返し、結果的に店舗の質が低下して経営に行き詰まるケースは少なくありません。
山岡家のように、確かな需要(既存店の客数増)をベースに持ちながらも、出店に関してはコンサバティブ(保守的)な姿勢を崩さない経営は、長期的な目線を持つ投資家にとって大きな安心材料となります。
【動画で解説】山岡家、なぜ「100倍株」に?元機関投資家が切り込む
5. まとめ
今回の動画では、元機関投資家の泉田氏が丸千代山岡家の驚異的な株価上昇の背景と、直近の決算から読み取れる企業の強さを解説しました。
コロナ禍以降、深夜営業を取りやめる飲食店が増える中、山岡家はあえて「24時間営業」という他社とは異なる戦略を継続し、消費者のニーズをしっかりと捉えています。その結果が、既存店の客数増という力強い数字に表れていました。
また、来期の純利益マイナス予想という一見ネガティブな情報も、プロの視点で見れば税金のテクニカルな要因であり、本業の稼ぐ力は健在であることが分かりました。
慎重な出店戦略と合わせて、非常に地に足の着いた経営を行っている企業だと言えます。
参考資料
※リンクは記事作成時点のものです。
著者
金融・経済YouTubeチャンネル「イズミダイズム」
「イズミダイズム」は、株式会社モニクルリサーチが運営する金融・経済YouTubeチャンネルです。フィデリティ投信や日本生命でポートフォリオマネージャーや証券アナリストとしての勤務経験のある元機関投資家の泉田良輔が、プロの視点で金融や経済に関する様々なニュースの解説や、資産形成に役立つトピックをお届けします。新NISAの開始やインフレを背景に、個人の資産運用への関心が高まる中、機関投資家と個人投資家の「視点の違い」や、経済ニュースの裏側にある「構造」をロジカルに解説します。(最新更新日:2026年1月30日)
監修者
株式会社モニクルリサーチ
代表取締役/日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
株式会社モニクルリサーチ代表取締役。その他に株式会社モニクル取締役COO、株式会社モニクルフィナンシャル取締役COOも務める。東京科学大学大学院非常勤講師。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了(同研究科最優秀賞受賞)
1. 経歴
2013年に株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を原田慎司(現同社取締役)らとともに共同創業。2013年に個人投資家向け金融経済メディア「Longine(ロンジン)」を立ち上げ、編集長に就任。Longineの立ち上げの経緯はBloombergにおいて「体力勝負アナリスト辞めます、元外資マン個人に長期投資指南」として掲載され大きな反響を呼ぶ。投資情報のサブスクモデルを確立する。その後、株初心者向けネットメディア「株1」、2015年にはくらしとお金の経済メディア「LIMO」の前身となる「投信1」を立ち上げる。
それ以前は、日本生命・国際投資部で外国株式ファンドマネージャー、フィデリティ投信・調査部や運用部にて10年に渡ってインターネット、電機(半導体・民生・産業エレクトロニクス)、機械(ロボットやセンサー企業中心)といったテクノロジーセクターの証券アナリストや中小型株ファンドのアシスタント・ポートフォリオ・マネージャー(最年少で就任)として従事。
2. 専門・研究領域
慶応義塾大学商学部卒業。国際金融及びコーポレート・ガバナンスを専攻。アジア通貨危機、昭和金融恐慌などの金融パニックのメカニズムを金融政策や金融機関への規制の観点から研究。それらの内容は「昭和金融恐慌からの教訓 平成恐慌になにをどう生かすべきか」(三田商学研究学生論文集)として発表。
3. 著書
・『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資』(ダイヤモンド社)
・『テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図』(クロスメディア・パブリッシング)
・『銀行はこれからどうなるのか』(クロスメディア・パブリッシング)
・『Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない』(KADOKAWA)
・『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』(日本経済新聞出版社)
4. 寄稿や講演他
「日経BizGate」での連載「泉田良輔の新・産業鳥瞰図」や「現代ビジネス」、「東洋経済オンライン」、「プレジデント」などへの寄稿や対談も多数。対談記事例としては「【未来予想】ブロックチェーン革命が、「半沢直樹」の世界に終わりを告げる」や「【未来予想】アマゾンとビットコインが、次世代の「銀行」になる理由」(いずれもNewsPicks)、「米独に遅れる日本の自動運転、自動車も電機の二の舞に?」(週刊ダイヤモンド)。海外ジャーナリストからインタビューされることも多く、Financial TimesやThe Economist、Bloombergにおいて自動車や金融業界についての国内外産業動向コメントも発信している。
講演会や動画での情報発信も盛んに行っており、NewsPicksのTHE UPDATE、日経ビジネススクール、慶應丸の内キャンパス、慶應義塾SDM、アカデミーヒルズなどでも講義を行う。またNewsPicksのNewSchoolではプロジェクトリーダーとして「本当に初心者のための資産運用」を開催。
最終更新日:2026年2月21日