2. 売上も利益も20%超えの急成長!今期好決算の要因とは
泉田氏は、2026年1月期の通期決算短信を読み解きながら、山岡家の驚異的な成長力に迫ります。
今期の業績は、売上高が430億円(前期比プラス24.3%)、本業の儲けを示す営業利益が46億7800万円(同プラス26.2%)、最終的な手元に残る純利益が36億8800万円(同プラス30.2%)と、すべての主要指標で20%を超える見事な成長を記録しました。
泉田氏は、この「売上だけでなく利益もしっかり伸びている」という点に注目します。
「だいたい小売業って、売上伸びるんだけど原材料とか人件費の絡みで、売上の伸びほど利益伸びないっていうのがあった特徴かと思うんですけど、しっかり食らいついてるという感じですかね」
昨今、飲食業界は食材費の高騰や人手不足による人件費の上昇という厳しい逆風にさらされています。売上が増えてもコストがそれ以上に膨らみ、利益が圧迫される企業が少なくありません。しかし山岡家は、売上の伸び(24.3%)を上回るペースで営業利益(26.2%)と純利益(30.2%)を伸ばしており、コスト上昇の波を見事に乗りこなしていると言えます。
2.1 成長を牽引する「既存店売上」の驚異的な伸び
この力強い業績の背景には何があるのでしょうか。泉田氏が「小売業を分析する時に一番大事」と語るのが、「既存店売上」の動向です。
既存店売上とは、新規に出店したばかりの店舗を除き、一定期間以上営業を続けている店舗の売上を集計したものです。
新規出店を繰り返せば会社全体の売上は一時的に増えますが、既存店が衰退していれば、その成長は長続きしません。
山岡家の今期の既存店売上高は、通期で119.1%(前期比約19%増)という驚異的な数字を叩き出しました。泉田氏はこの数字の持つ意味を次のように解説します。
「売上20%超伸びてましたけど、そのほとんどが既存店の売上増でできてる」
さらに泉田氏は、この既存店売上を「客数」と「客単価」に分解して分析します。売上は「どれだけの人が来たか(客数)」と「一人あたりいくら使ったか(客単価)」の掛け算で決まります。
資料によると、山岡家は4月と10月に価格改定(値上げ)を実施しており、客単価は102.9%(約3%増)となっています。
しかし、特筆すべきは客数です。値上げをしたにもかかわらず、客数は通期で115.8%(約16%増)と大幅に伸びているのです。
【動画で解説】山岡家、なぜ「100倍株」に?元機関投資家が切り込む
通常、値上げをすると客離れが起きるリスクがあります。しかし山岡家の場合、前年よりも16%も多くの客が店舗を訪れています。これは、同社のラーメンが消費者に強く支持されており、リピーターの定着と新規顧客の獲得が同時に成功している証拠だと言えます。
著者
金融・経済YouTubeチャンネル「イズミダイズム」
「イズミダイズム」は、株式会社モニクルリサーチが運営する金融・経済YouTubeチャンネルです。フィデリティ投信や日本生命でポートフォリオマネージャーや証券アナリストとしての勤務経験のある元機関投資家の泉田良輔が、プロの視点で金融や経済に関する様々なニュースの解説や、資産形成に役立つトピックをお届けします。新NISAの開始やインフレを背景に、個人の資産運用への関心が高まる中、機関投資家と個人投資家の「視点の違い」や、経済ニュースの裏側にある「構造」をロジカルに解説します。(最新更新日:2026年1月30日)
監修者
株式会社モニクルリサーチ
代表取締役/日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
株式会社モニクルリサーチ代表取締役。その他に株式会社モニクル取締役COO、株式会社モニクルフィナンシャル取締役COOも務める。LIMO&ファイナンス編集長。東京科学大学大学院非常勤講師。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了(同研究科最優秀賞受賞)
1. 経歴
2013年に株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を原田慎司(現同社取締役)らとともに共同創業。2013年に個人投資家向け金融経済メディア「Longine(ロンジン)」を立ち上げ、編集長に就任。Longineの立ち上げの経緯はBloombergにおいて「体力勝負アナリスト辞めます、元外資マン個人に長期投資指南」として掲載され大きな反響を呼ぶ。投資情報のサブスクモデルを確立する。その後、株初心者向けネットメディア「株1」、2015年にはくらしとお金の経済メディア「LIMO」の前身となる「投信1」を立ち上げる。2026年6月に専門家と実務家が情報発信をする金融経済ニュースサイト「LIMO&ファイナンス」を立ち上げ編集長に就任。
それ以前は、日本生命・国際投資部で外国株式ファンドマネージャー、フィデリティ投信・調査部や運用部にて10年に渡ってインターネット、電機(半導体・民生・産業エレクトロニクス)、機械(ロボットやセンサー企業中心)といったテクノロジーセクターの証券アナリストや中小型株ファンドのアシスタント・ポートフォリオ・マネージャー(最年少で就任)として従事。
2. 専門・研究領域
慶応義塾大学商学部卒業。国際金融及びコーポレート・ガバナンスを専攻。アジア通貨危機、昭和金融恐慌などの金融パニックのメカニズムを金融政策や金融機関への規制の観点から研究。それらの内容は「昭和金融恐慌からの教訓 平成恐慌になにをどう生かすべきか」(三田商学研究学生論文集)として発表。
3. 著書
・『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資』(ダイヤモンド社)
・『テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図』(クロスメディア・パブリッシング)
・『銀行はこれからどうなるのか』(クロスメディア・パブリッシング)
・『Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない』(KADOKAWA)
・『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』(日本経済新聞出版社)
4. 寄稿や講演他
「日経BizGate」での連載「泉田良輔の新・産業鳥瞰図」や「現代ビジネス」、「東洋経済オンライン」、「プレジデント」などへの寄稿や対談も多数。対談記事例としては「【未来予想】ブロックチェーン革命が、「半沢直樹」の世界に終わりを告げる」や「【未来予想】アマゾンとビットコインが、次世代の「銀行」になる理由」(いずれもNewsPicks)、「米独に遅れる日本の自動運転、自動車も電機の二の舞に?」(週刊ダイヤモンド)。海外ジャーナリストからインタビューされることも多く、Financial TimesやThe Economist、Bloombergにおいて自動車や金融業界についての国内外産業動向コメントも発信している。
講演会や動画での情報発信も盛んに行っており、NewsPicksのTHE UPDATE、日経ビジネススクール、慶應丸の内キャンパス、慶應義塾SDM、アカデミーヒルズなどでも講義を行う。またNewsPicksのNewSchoolではプロジェクトリーダーとして「本当に初心者のための資産運用」を開催。
最終更新日:2026年6月26日