2026年3月も下旬となり、春の訪れとともに新年度の準備を進めている方も多いのではないでしょうか。

家計の見直しを行うこの時期、特に75歳以上の「後期高齢者」がいる世帯では、医療費が大きな関心事となります。

後期高齢者の医療費窓口負担は原則1割ですが、所得によっては「2割負担」となる場合があります。

この判定は、年金収入だけでなく他の所得も合算して行われ、単身か複数世帯かによって基準額も変わるため、仕組みが少し複雑です。

2025年秋に負担増を緩和する配慮措置が終了したこともあり、医療費負担への意識は高まっています。

この記事では、家計管理に役立つ知識として、後期高齢者の医療費が「2割負担」になる所得の具体的なボーダーラインをわかりやすく解説します。

ご自身やご家族がどの区分に当てはまるか、一緒に確認していきましょう。

1. 年代別の1人当たり医療費はいくら?シニア世代の平均額を確認

年齢階級別1人当たり医療費(令和4年度、医療保険制度分)1/7

年齢階級別1人当たり医療費(令和4年度、医療保険制度分)

出所:厚生労働省「年齢階級別1人当たり医療費(令和4年度、医療保険制度分)」

高齢になると、医療費は年齢とともに増加する傾向にあります。

厚生労働省が公表した「年齢階級別1人当たり医療費(令和4年度、医療保険制度分)」を基に、60歳以上の年代別に1人当たりの医療費合計と、そのうち「入院+食事・生活療養」が占める割合を確認していきます。

1.1 60歳以上における1人当たり医療費の推移

  • 60~64歳:38万円
    • 「入院+食事・生活療養」の割合:37%
  • 65~69歳:48万1000円
    • 「入院+食事・生活療養」の割合:40%
  • 70~74歳:61万6000円
    • 「入院+食事・生活療養」の割合:42%
  • 75~79歳:77万3000円
    • 「入院+食事・生活療養」の割合:45%
  • 80~84歳:92万2000円
    • 「入院+食事・生活療養」の割合:50%
  • 85~89歳:107万1000円
    • 「入院+食事・生活療養」の割合:58%
  • 90~94歳:117万9000円
    • 「入院+食事・生活療養」の割合:65%
  • 95~99歳:125万8000円
    • 「入院+食事・生活療養」の割合:69%
  • 100歳以上:123万2000円
    • 「入院+食事・生活療養」の割合:70%

データを見ると、医療費の合計額は60歳代前半の38万円から90歳代後半には125万円を超え、約3.3倍にまで増えています。

この増加の主な要因は「入院+食事・生活療養」に関連する費用です。

70歳代までは通院治療が中心ですが、80歳代になると医療費の半分以上を、90歳代では70%近くを「入院+食事・生活療養」の費用が占めるようになります。

国の高額療養費制度を利用したとしても、毎月の上限額までの自己負担は発生します。それに加えて、食事代や差額ベッド代(全額自己負担)などの費用もかかるため、注意が必要です。

また、介護費用も考慮する必要があります。生命保険文化センターの「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」によれば、介護のための一時的な費用の合計は平均で47万円、月々の費用は平均9万円となっています。

もちろん、実際に必要となる金額は、要介護度や介護を受ける場所によって個人差が生じます。

※1:住宅改造や介護用ベッドの購入費など
※2:いずれも公的介護保険サービスの自己負担費用を含む

厚生労働省の「令和6年簡易生命表」によると、日本の平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.13歳です。

長寿化が進む現代において、長期入院や介護にかかる費用を想定し、その間の生活をどう支えるかという視点を持ったライフプランニングが不可欠といえるでしょう。