4. 成長の天井が見える?プロの機関投資家が懸念する「期待の消失」
さらに泉田氏は、ANYCOLORの今後の成長スピードが「計算できてしまう」ことの恐ろしさを語ります。
売上を伸ばすためには、「VTuberの人数を増やす」か「1人当たりの収益を上げる」しかありません。
第3四半期のデータを見ると、VTuberの数は172人で、前年同期から7人(約4〜5%)しか増えていません。一方で、VTuber1人当たりの収益は2022年4月期の1.1億円から、2025年4月期には約2.5億円へと大きく伸びています。
この2つの要素を掛け合わせると、会社が目標として掲げる「10〜15%程度の成長」という数字の裏付けが見えてきます。しかし泉田氏は、プロの投資家からするとこれがマイナスに働くこともあると分析します。
「逆に言うとこれ読めちゃうのよ。逆に言うとこれ以上成長させるのってかなりストレッチした目標になるから、どっかに歪みが来るって話になっちゃうよね。」
4.1 キャピタルゲインを求める投資家の心理
将来の売上や利益が正確に予想できるようになると、投資家は「今の株価は3年後、5年後の成長をすでに織り込んでいる」と判断します。その結果、株価は一定の価格に固定され、動かなくなってしまいます。
「株価の期待はぶれてていい。かつ将来にかけてどんどん期待を持たせてくれっていうのが長期投資家の願いなんです」
泉田氏は、株式投資の醍醐味は「株価が大きく値上がりすること(キャピタルゲイン)」にあると強調します。
「一瞬で株価が織り込まれてグーッと株価が寝ちゃうと、期待できるのって配当しかないから。」
ベンチャー企業に投資する人々は、安定した配当よりも、未知の成長による株価の大幅な上昇を求めています。将来の成長の限界が透けて見え、さらに在庫問題というつまずきがあったことで、「もうこれ以上の大きな株価上昇は期待できないのではないか」と投資家が冷めてしまったことが、株価下落の根本的な要因だと言えます。
【動画で解説】ANYCOLOR、非常に高い利益率を誇る一方で株価が大きく下落
著者
金融・経済YouTubeチャンネル「イズミダイズム」
「イズミダイズム」は、株式会社モニクルリサーチが運営する金融・経済YouTubeチャンネルです。フィデリティ投信や日本生命でポートフォリオマネージャーや証券アナリストとしての勤務経験のある元機関投資家の泉田良輔が、プロの視点で金融や経済に関する様々なニュースの解説や、資産形成に役立つトピックをお届けします。新NISAの開始やインフレを背景に、個人の資産運用への関心が高まる中、機関投資家と個人投資家の「視点の違い」や、経済ニュースの裏側にある「構造」をロジカルに解説します。(最新更新日:2026年1月30日)
監修者
株式会社モニクルリサーチ
代表取締役/日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
株式会社モニクルリサーチ代表取締役。その他に株式会社モニクル取締役COO、株式会社モニクルフィナンシャル取締役COOも務める。LIMO&ファイナンス編集長。東京科学大学大学院非常勤講師。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了(同研究科最優秀賞受賞)
1. 経歴
2013年に株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を原田慎司(現同社取締役)らとともに共同創業。2013年に個人投資家向け金融経済メディア「Longine(ロンジン)」を立ち上げ、編集長に就任。Longineの立ち上げの経緯はBloombergにおいて「体力勝負アナリスト辞めます、元外資マン個人に長期投資指南」として掲載され大きな反響を呼ぶ。投資情報のサブスクモデルを確立する。その後、株初心者向けネットメディア「株1」、2015年にはくらしとお金の経済メディア「LIMO」の前身となる「投信1」を立ち上げる。2026年6月に専門家と実務家が情報発信をする金融経済ニュースサイト「LIMO&ファイナンス」を立ち上げ編集長に就任。
それ以前は、日本生命・国際投資部で外国株式ファンドマネージャー、フィデリティ投信・調査部や運用部にて10年に渡ってインターネット、電機(半導体・民生・産業エレクトロニクス)、機械(ロボットやセンサー企業中心)といったテクノロジーセクターの証券アナリストや中小型株ファンドのアシスタント・ポートフォリオ・マネージャー(最年少で就任)として従事。
2. 専門・研究領域
慶応義塾大学商学部卒業。国際金融及びコーポレート・ガバナンスを専攻。アジア通貨危機、昭和金融恐慌などの金融パニックのメカニズムを金融政策や金融機関への規制の観点から研究。それらの内容は「昭和金融恐慌からの教訓 平成恐慌になにをどう生かすべきか」(三田商学研究学生論文集)として発表。
3. 著書
・『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資』(ダイヤモンド社)
・『テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図』(クロスメディア・パブリッシング)
・『銀行はこれからどうなるのか』(クロスメディア・パブリッシング)
・『Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない』(KADOKAWA)
・『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』(日本経済新聞出版社)
4. 寄稿や講演他
「日経BizGate」での連載「泉田良輔の新・産業鳥瞰図」や「現代ビジネス」、「東洋経済オンライン」、「プレジデント」などへの寄稿や対談も多数。対談記事例としては「【未来予想】ブロックチェーン革命が、「半沢直樹」の世界に終わりを告げる」や「【未来予想】アマゾンとビットコインが、次世代の「銀行」になる理由」(いずれもNewsPicks)、「米独に遅れる日本の自動運転、自動車も電機の二の舞に?」(週刊ダイヤモンド)。海外ジャーナリストからインタビューされることも多く、Financial TimesやThe Economist、Bloombergにおいて自動車や金融業界についての国内外産業動向コメントも発信している。
講演会や動画での情報発信も盛んに行っており、NewsPicksのTHE UPDATE、日経ビジネススクール、慶應丸の内キャンパス、慶應義塾SDM、アカデミーヒルズなどでも講義を行う。またNewsPicksのNewSchoolではプロジェクトリーダーとして「本当に初心者のための資産運用」を開催。
最終更新日:2026年6月26日