新NISAが始まってから2年以上経過し、制度の全体像だけでなく、「自分ならどう使うか」を考える段階に入ってきました。
老後資金への備えが気になる50代にとっては、限られた時間のなかで非課税制度をどう活用するかが重要なテーマになっています。
新NISAには2つの非課税枠があり、積立を中心に着実な資産形成を目指す方法もあれば、投資対象を広げて運用の幅を持たせる方法もあります。
ただ、資産形成は「いくら積み立てるか」だけでなく、老後に入ってからどう取り崩すかまで含めて考えることが大切です。
本記事では、新NISAの2つの非課税枠の特徴をおさらいしたうえで、50歳から65歳まで積立投資を続けた場合の資産額の目安を紹介します。
あわせて、老後資産を長く持たせるための取り崩しの考え方も確認していきましょう。
1. 【新NISA】2つの非課税枠の特徴をおさらい
2024年1月に新設された「新NISA」では、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの非課税枠が設けられています。
1.1 つみたて投資枠
- 投資対象商品:金融庁の基準を満たした投資信託(手数料が低く、長期投資に適したもの)
- 年間投資枠:120万円まで
- 投資方法:積立
つみたて投資枠は、長期・分散・積立を前提とした非課税枠です。
投資対象は、金融庁の基準を満たした投資信託に限定されており、信託報酬などの手数料が低く、長期保有に適した商品が中心となっています。
年間の投資上限は120万円で、毎月コツコツ積み立てる運用が基本です。
価格変動を平準化しながら投資できるため、投資経験が浅い方や、老後資金づくりを目的とした資産形成に向いています。
相場のタイミングを細かく判断する必要がない点も、大きなメリットといえるでしょう。
1.2 成長投資枠
- 投資対象商品:上場株式、投資信託、ETF、REITなど(投資信託はつみたて投資枠対象外の商品も含む)
- 年間投資枠:240万円まで
- 投資方法:一括・積立
成長投資枠は、より幅広い商品に投資できる非課税枠です。
上場株式やETF、REITに加え、つみたて投資枠の対象外となる投資信託も購入できます。
年間の投資上限は240万円と大きく、一括投資と積立投資のどちらも選択可能です。
個別株に投資したい方や、相場環境を見ながら柔軟に投資したい方にとって使い勝手のよい枠といえます。
つみたて投資枠と比べると価格変動の影響が大きくなりやすいため、リスク管理を意識した運用が求められます。
1.3 2つの非課税枠は併用可能
新しいNISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠を同時に併用できます。
年間では合計360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)まで非課税で投資が可能です。
さらに、生涯にわたって投資できる非課税保有限度額は1800万円とされており、そのうち成長投資枠は最大1200万円まで利用できます。
「少額投資非課税制度」という名称ではあるものの、長期的に活用すれば、まとまった資産形成を目指すことも期待できます。
積立で安定的に資産を増やしつつ、成長投資枠で運用の幅を広げるなど、自身の投資経験や目的に応じた組み合わせを考えていきましょう。
2. 50歳→65歳まで積立投資|定年までいくら準備できる?
50歳から65歳までの15年間、毎月一定額を積み立てた場合の試算例を見てみましょう。
なお、想定利回りは「3%・5%・7%」の3パターンでシミュレーションします。
※金融庁「つみたてシミュレーター」を使用
※本シミュレーションは、実際の運用結果を保証するものではありません。
2.1 運用利回り3%の場合
- 積立額1万円:226万円
- 積立額2万円:452万円
- 積立額3万円:679万円
- 積立額4万円:905万円
- 積立額5万円:1131万円
比較的保守的な想定でも、毎月5万円の積立で1000万円超が見えてきます。
大きく増やすというより、着実に資産を積み上げるイメージです。
2.2 運用利回り5%の場合
- 積立額1万円:265万円
- 積立額2万円:530万円
- 積立額3万円:794万円
- 積立額4万円:1059万円
- 積立額5万円:1324万円
現実的なリターンを想定すると、同じ積立額でも差が広がります。
毎月3万円でも約800万円に届く点は一つの目安になるでしょう。
2.3 運用利回り7%の場合
- 積立額1万円:311万円
- 積立額2万円:622万円
- 積立額3万円:933万円
- 積立額4万円:1244万円
- 積立額5万円:1556万円
高い利回りが続いた場合、資産の伸びは大きくなります。
ただし変動も大きくなるため、リスクを踏まえたうえで現実的な前提を置くことが大切です。
3. 老後資産の「取り崩し方」も重要なポイント
資産形成と同じくらい重要なのが、老後に入ってからの「取り崩し方」です。
どれだけ資産を準備できたとしても、使い方を誤ると想定より早く資金が尽きてしまう可能性があります。
基本となる考え方は、資産を一度に大きく取り崩すのではなく、一定額を計画的に取り崩していくことです。
例えば、毎月の生活費の不足分だけを補う形で引き出していくことで、資産の減少ペースを緩やかにできます。
また、すべての資産を現金化するのではなく、一部は運用を続けながら取り崩す方法も有効です。
運用を継続することで、資産の目減りを抑えながら長期間にわたって資金を維持しやすくなります。
一方で、相場が下落している局面で取り崩しを続けると、資産の減少が加速する「取り崩しリスク」にも注意が必要です。
そのため、生活費の数年分は現金で確保しておくなど、取り崩しのタイミングを分散させる工夫も重要になります。
さらに、年齢や健康状態に応じて支出は変化していきます。
前半は旅行や趣味にお金を使い、後半は医療・介護費に備えるなど、ライフステージに応じた資金配分を考えておくことも大切です。
老後の資産管理は、「いくら増やすか」だけでなく「どう使うか」まで含めて設計していきましょう。
準備した資産を長く持たせるためにも、自分に合った取り崩しのルールをあらかじめ考えておくことが重要です。
4. まとめ
新しいNISAは、つみたて投資枠と成長投資枠を併用できるようになり、50代からでも老後資金づくりに活用しやすい制度となっています。
定年までの15年間でも、積立額や運用利回りによっては数百万円から1000万円超の資産形成を目指すことができ、限られた時間のなかでも準備を進める余地は十分にあります。
一方で、大切なのは「積み立てて終わり」ではないことです。
老後の生活では、資産をどのようなペースで取り崩すかによって、家計の安定感が大きく変わります。
相場の変動も踏まえながら、一部は運用を続けつつ、生活費に充てる資金は現金で確保するなど、使い方まで含めて考えておく必要があります。
老後資産を長く持たせるためにも、自分の収支や生活設計に合った活用法を考えていきましょう。
