2026年度(令和8年度)の年金額改定で、改定後の額が初めて支給されるのが6月です。年金額の通知書が届くこの時期は、家計の現在地を確かめるよい機会といえるでしょう。
同じ60歳代でも、おひとりさま(単身世帯)と夫婦のいる二人以上世帯では、貯蓄や年金のようすが異なります。
本記事では金融経済教育推進機構(J-FLEC)の調査をもとに、両世帯の貯蓄額(平均・中央値)を並べて確認し、単身と夫婦の備え方の違いも整理していきましょう。
1. 【60歳代】おひとりさまと夫婦世帯の貯蓄額(平均・中央値)はいくらか
金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、60歳代の単身世帯と二人以上世帯の金融資産保有額は次のとおりです。
※金融資産保有額とは、預貯金だけでなく株式、投資信託、生命保険などを含んだ金額です。ただし、日常的に使う普通預金の残高は含まれていません。
1.1 60歳代単身世帯(おひとりさま)の貯蓄額(平均・中央値)
- 平均:1364万円/中央値:300万円
- 「貯蓄ゼロ」(金融資産非保有):30.4%
- 「貯蓄2000万円以上」:21.1%
1.2 60歳代二人以上世帯(夫婦)の貯蓄額(平均・中央値)
- 平均:2683万円/中央値:1400万円
- 「貯蓄ゼロ」(金融資産非保有):12.8%
- 「貯蓄2000万円以上」:39.6%
単身世帯と二人以上世帯では、平均・中央値ともに差があります。単身世帯は平均が中央値の約4.5倍、二人以上世帯は約1.9倍となっています。
「貯蓄ゼロ」(金融資産非保有)は単身世帯で30.4%、二人以上世帯で12.8%。およそ単身は3世帯に1世帯、二人以上は8世帯に1世帯が貯蓄を手元に持たない結果となっています。
一方、「貯蓄2000万円以上」は単身世帯で21.1%、二人以上世帯で39.6%。このように世帯により貯蓄差があります。
2. 【60歳代の年金月額】おひとりさまと夫婦でどれくらい違う?
では、老後の生活の柱となる年金額はどれくらいでしょうか。
厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、年金の平均月額は次のとおりです。
2.1 国民年金と厚生年金の平均月額
- 国民年金(老齢基礎年金):全体5万9310円(男性6万1595円/女性5万7582円)
- 厚生年金(老齢厚生年金):全体15万289円(男性16万9967円/女性11万1413円)※国民年金分を含む
あくまで平均にはなりますが、単身世帯ではこの月額に近い額が世帯の主な収入になります。一方、夫婦のいる二人以上世帯ではそれぞれの加入状況により、2人分で世帯収入を考えることが大切です。
たとえば令和8年度の年金額改定後では、夫婦2人の標準的な厚生年金額は月23万7279円とされています。
3. おひとりさまと夫婦、それぞれの備え方の違い
60歳代から先を考えるとき、おひとりさまと夫婦では家計の組み立て方が少しずつ違ってきます。世帯のかたちに合わせて、収入と支出の見直しのポイントを整理しましょう。
3.1 おひとりさまは固定費の見直しを丁寧に
単身世帯は、住居費・通信費・保険料といった固定費が、世帯人員1人にすべてかかります。逆にいえば、固定費を1つでも下げれば、その分が家計にそのまま残ります。光熱費や通信費、保険の見直しなどを定期的に行い、毎月の支出を点検しておきたいところです。
3.2 夫婦は世帯収入を合算して見える化する
夫婦の場合、年金や貯蓄を「個人ごと」ではなく「世帯」で見ると、家計の輪郭がはっきりします。どちらに何の年金がいくら入る予定なのか。貯蓄は合計でいくらか。世帯のキャッシュフローを書き出すと、これからの暮らしの設計図が見えやすくなります。また、どちらかが1人となったときの家計についても考えたり、制度を調べたりもしておきたいものです。
3.3 どちらの世帯にも有効な制度を活用する
新NISAなどの税制優遇制度は、単身か夫婦かを問わず、長期・積立・分散で活用でき貯蓄を増やす選択肢のひとつになります。ただし、運用には元本割れのリスクがあるため、日常の生活資金は預貯金で確保しておくのが基本となります。
4. まとめにかえて
おひとりさまと夫婦では、60歳代の貯蓄額にも年金月額にも違いが見られました。
世帯のかたちに合わせて固定費・年金・税制優遇制度などを組み合わせ、自分の家計の現在地から少しずつ整えていく。また最近では長く働く方もいるので、仕事による収入も検討する。このように選択肢を複数持って都度確認し、対策をしていく積み重ねが、これからの暮らしを支えていくことでしょう。

