4. ソニーの奇跡の復活劇はホンダの未来図か?

「主力事業を捨てる」という痛みを伴う決断。実は、日本企業の中に、それを実行して見事に復活を遂げたロールモデルが存在します。それが「ソニー」です。

4.1 ソニーとホンダの意外な共通点

泉田氏は、ホンダの現状と過去のソニーには驚くほどの共通点があると指摘します。両社とも技術者が創業し、圧倒的な「ものづくり」へのこだわりで世界的な企業へと成長しました。

かつてのソニーにとって、テレビやビデオカメラなどの「家電」は絶対的なコア事業でした。しかし、スマートフォンの台頭や韓国・中国メーカーとの価格競争に敗れ、業績はどん底に落ち込みます。

そこでソニーが下した決断は、祖業である家電事業の大規模なリストラでした。長年にわたる痛みを伴う構造改革を経て、現在のソニーは「ゲーム・音楽・映画」といったエンターテインメント領域や、画像センサーなどの高収益事業で過去最高益を更新するまでに復活しています。

このソニーの軌跡を踏まえ、泉田氏はホンダの経営陣に対しても覚悟を求めます。

「一気にはリストラできないかもしれないけど、収益改善しないなら大きな決断が必要。整理が終わった後にそれ以外の事業が伸びていたら株主にとっていい。」

ソニーとホンダの「コア事業転換」の類似性4/5

ソニーとホンダの「コア事業転換」の類似性

出所:泉田氏の解説を基にイズミダイズム作成

4.2 統合より「自社の強み」を活かすべき

自動車業界では現在、生き残りをかけた再編の動きがあり、ホンダと日産自動車の協業も話題になっています。しかし、泉田氏はこの動きに対しては次の見方をしています。

「自動車同士、とくに赤字と赤字の会社がくっついてもあまり強み出ない。大きく発想を広げた方がいい。」

弱者同士が手を組んで自動車事業の延命を図るよりも、ソニーのように「自社が本当に勝てる領域」を見極め、事業構造そのものを転換するアプローチの方が、本質的な企業価値の向上につながるという分析です。