3. 元機関投資家が提案する「2つの経営改革」
本業の四輪事業が赤字となり、販売台数の低迷もデータから読み取れる中、ホンダは今期、6700億円規模の自社株買いなどの株主還元を行っています。
しかし泉田氏は、「自社株買い・配当をするよりも、研究開発に突っ込むべきでは。成長する領域に投資してない。成長機会を見出せてない」と、未来への投資不足に警鐘を鳴らします。
では、現状を打破するためにはどうすればよいのでしょうか。「泉田さんがホンダを経営するならどういう手を打つか」と問われると、泉田氏は極めて大胆な2つの改革案を提示しました。
3.1 改革案1:AI・自動運転企業への積極投資
1つ目の提案は、次世代の競争の要となる「AI」への大規模な投資です。
「大きく2つ。1つは自動運転強化のためにAIの会社に出資・提携。OpenAIとかAnthropicに出資して、自分たちに最適化したアプリケーションや車を作ることです。」
今後の自動車産業は、単なる「移動する鉄の箱」を作る競争から、ソフトウェアや自動運転技術の競争へとシフトしていきます。
泉田氏は、自社だけで技術を囲い込むのではなく、世界トップクラスのAI企業(OpenAIやAnthropicなど)と手を組み、ホンダ独自の強力な自動運転システムや車載アプリを開発すべきだと主張しています。
3.2 改革案2:大胆な「四輪事業の整理」
そして2つ目の提案にも注目です。
なんと、赤字の元凶となっている「四輪事業」を思い切って整理し、稼ぎ頭である「二輪事業」や、HondaJet(小型ビジネスジェット機)のような「インフラ領域」に経営資源を集中させるというのです。
自動車メーカーに「自動車をやめろ」というのは極論に聞こえるかもしれません。しかし、ビジネスの観点から見れば、赤字の事業にしがみつくよりも、すでに世界的な競争力を持っている分野(二輪や航空機など)を伸ばす方が、企業としての生き残り確率は高まります。
【動画で解説】ホンダの決算から見えた「稼ぎ頭」の実態
著者
金融・経済YouTubeチャンネル「イズミダイズム」
「イズミダイズム」は、株式会社モニクルリサーチが運営する金融・経済YouTubeチャンネルです。フィデリティ投信や日本生命でポートフォリオマネージャーや証券アナリストとしての勤務経験のある元機関投資家の泉田良輔が、プロの視点で金融や経済に関する様々なニュースの解説や、資産形成に役立つトピックをお届けします。新NISAの開始やインフレを背景に、個人の資産運用への関心が高まる中、機関投資家と個人投資家の「視点の違い」や、経済ニュースの裏側にある「構造」をロジカルに解説します。(最新更新日:2026年1月30日)
監修者
株式会社モニクルリサーチ
代表取締役/日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
株式会社モニクルリサーチ代表取締役。その他に株式会社モニクル取締役COO、株式会社モニクルフィナンシャル取締役COOも務める。LIMO&ファイナンス編集長。東京科学大学大学院非常勤講師。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了(同研究科最優秀賞受賞)
1. 経歴
2013年に株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を原田慎司(現同社取締役)らとともに共同創業。2013年に個人投資家向け金融経済メディア「Longine(ロンジン)」を立ち上げ、編集長に就任。Longineの立ち上げの経緯はBloombergにおいて「体力勝負アナリスト辞めます、元外資マン個人に長期投資指南」として掲載され大きな反響を呼ぶ。投資情報のサブスクモデルを確立する。その後、株初心者向けネットメディア「株1」、2015年にはくらしとお金の経済メディア「LIMO」の前身となる「投信1」を立ち上げる。2026年6月に専門家と実務家が情報発信をする金融経済ニュースサイト「LIMO&ファイナンス」を立ち上げ編集長に就任。
それ以前は、日本生命・国際投資部で外国株式ファンドマネージャー、フィデリティ投信・調査部や運用部にて10年に渡ってインターネット、電機(半導体・民生・産業エレクトロニクス)、機械(ロボットやセンサー企業中心)といったテクノロジーセクターの証券アナリストや中小型株ファンドのアシスタント・ポートフォリオ・マネージャー(最年少で就任)として従事。
2. 専門・研究領域
慶応義塾大学商学部卒業。国際金融及びコーポレート・ガバナンスを専攻。アジア通貨危機、昭和金融恐慌などの金融パニックのメカニズムを金融政策や金融機関への規制の観点から研究。それらの内容は「昭和金融恐慌からの教訓 平成恐慌になにをどう生かすべきか」(三田商学研究学生論文集)として発表。
3. 著書
・『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資』(ダイヤモンド社)
・『テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図』(クロスメディア・パブリッシング)
・『銀行はこれからどうなるのか』(クロスメディア・パブリッシング)
・『Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない』(KADOKAWA)
・『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』(日本経済新聞出版社)
4. 寄稿や講演他
「日経BizGate」での連載「泉田良輔の新・産業鳥瞰図」や「現代ビジネス」、「東洋経済オンライン」、「プレジデント」などへの寄稿や対談も多数。対談記事例としては「【未来予想】ブロックチェーン革命が、「半沢直樹」の世界に終わりを告げる」や「【未来予想】アマゾンとビットコインが、次世代の「銀行」になる理由」(いずれもNewsPicks)、「米独に遅れる日本の自動運転、自動車も電機の二の舞に?」(週刊ダイヤモンド)。海外ジャーナリストからインタビューされることも多く、Financial TimesやThe Economist、Bloombergにおいて自動車や金融業界についての国内外産業動向コメントも発信している。
講演会や動画での情報発信も盛んに行っており、NewsPicksのTHE UPDATE、日経ビジネススクール、慶應丸の内キャンパス、慶應義塾SDM、アカデミーヒルズなどでも講義を行う。またNewsPicksのNewSchoolではプロジェクトリーダーとして「本当に初心者のための資産運用」を開催。
最終更新日:2026年6月26日