5. 老後資金の目安は「家計の赤字×老後期間」
ここまで見てきたように、70歳代以降の家計では年金収入だけでは生活費を賄えず、毎月2万~3万円程度の赤字となるケースが平均的とされています。
この赤字は、多くの世帯で貯蓄の取り崩しによって補われています。
老後資金を考える際の一つの目安は、「毎月の赤字額 × 老後の生活期間」です。例えば、毎月3万円の赤字が続く場合を想定すると、以下のようになります。
- 月3万円の不足 × 12カ月 = 年36万円
- 年36万円 × 20年 = 約720万円
あくまで単純な試算ではありますが、平均的な家計収支から考えると、老後生活を支えるために数百万円から1000万円前後の資金が必要になる可能性が見えてきます。
ただし、この試算はあくまで「平均的な生活費」をもとにした目安にすぎません。
実際の老後生活では、予想外の支出が発生することも少なくありません。
5.1 老後にはまとまった支出が発生することも
老後の家計では、日常生活費とは別にまとまった支出が発生するケースもあります。
例えば次のような支出です。
- 医療費や入院費
- 介護サービスの利用費
- 自宅の修繕やリフォーム費
- 子や孫への援助
- 葬儀費用などの終活費用
これらは毎月の生活費には表れにくいものの、一度に数十万円から数百万円規模の支出になることもあります。
そのため、老後資金を考える際には、平均的な家計収支だけでなく、こうした臨時支出も視野に入れておく必要があります。
5.2 資産寿命を延ばすために意識したいポイント
長寿化が進むなかで重要になるのが、金融資産をできるだけ長く持たせる「資産寿命」という考え方。
資産寿命を延ばすためには、次のような視点を持つことが重要になります。
- 支出を把握し、生活費のバランスを見直す
- 必要な貯蓄額を早い段階で把握する
- 余裕資金の範囲で資産運用を取り入れる
- 公的制度(年金・医療制度など)を正しく理解する
老後の生活は20年、場合によっては30年以上続くこともあります。
年金収入だけでは不足する可能性がある以上、貯蓄・資産運用・支出管理を組み合わせながら、資産を長く持たせる視点が重要になるでしょう。