1.2 稼ぎ頭は「北米のHRテクノロジー」
リクルートの事業は大きく3つのセグメントに分かれています。
- 求人検索エンジン「Indeed」などを展開する『HRテクノロジー』
- リクルートスタッフィングなどの『人材派遣』
- SUUMOやゼクシィなどの『マーケティングマッチングテクノロジー(MMT)』
売上規模が最も大きいのは人材派遣(約1.2兆円)ですが、利益の源泉は全く異なります。
動画内で泉田氏が言及した利益額(※EBITDA+S:営業利益に減価償却費等を加えた利益指標)を見ると、HRテクノロジーが3949億円と圧倒的で、次いでMMTが1392億円、人材派遣は約851億円にとどまります。
つまり、リクルートの業績を左右する最大の柱はHRテクノロジー事業なのです。
さらに、泉田氏はHRテクノロジー事業を分析する上で「地域」に注目します。第3四半期の同事業の売上2342百万米ドルのうち、半分以上を占める1303百万米ドルが「北米」から生み出されています。
【動画で解説】リクルート、好決算なのになぜ株価下落?
泉田氏はこの構造について、次のように解説しています。
「リクルートっていうと日本ですごい大きな会社で頑張ってる会社だって思うかもしれないけど、世界の投資家から見たらそれは大事なパーツではあるんだけど、最初に見るべきポイントではない。」
日本の売上が前年比マイナス5.4%と縮小している一方で、北米は10.1%増としっかり成長しています。世界の投資家にとって、リクルートの成長ドライバーは日本市場ではなく、パイが大きく伸びている北米市場の動向に他ならないのです。
1.3 アナリストのコンセンサス予想も切り上がる
足元の業績が好調に推移していることを受けて、証券会社のアナリストたちが算出する「コンセンサス予想(市場の平均的な業績予想)」も徐々に切り上がっています。
会社側が発表している通期の営業利益予想は5906億円ですが、アナリストのコンセンサス予想はそれを上回る水準で推移しており、決算発表の前後でも上方修正の動きが見られました。
つまり、専門家たちもリクルートの業績に対して強気の見方をしているということです。
著者
金融・経済YouTubeチャンネル「イズミダイズム」
「イズミダイズム」は、株式会社モニクルリサーチが運営する金融・経済YouTubeチャンネルです。フィデリティ投信や日本生命でポートフォリオマネージャーや証券アナリストとしての勤務経験のある元機関投資家の泉田良輔が、プロの視点で金融や経済に関する様々なニュースの解説や、資産形成に役立つトピックをお届けします。新NISAの開始やインフレを背景に、個人の資産運用への関心が高まる中、機関投資家と個人投資家の「視点の違い」や、経済ニュースの裏側にある「構造」をロジカルに解説します。(最新更新日:2026年1月30日)
監修者
株式会社モニクルリサーチ
代表取締役/日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
株式会社モニクルリサーチ代表取締役。その他に株式会社モニクル取締役COO、株式会社モニクルフィナンシャル取締役COOも務める。LIMO&ファイナンス編集長。東京科学大学大学院非常勤講師。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了(同研究科最優秀賞受賞)
1. 経歴
2013年に株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を原田慎司(現同社取締役)らとともに共同創業。2013年に個人投資家向け金融経済メディア「Longine(ロンジン)」を立ち上げ、編集長に就任。Longineの立ち上げの経緯はBloombergにおいて「体力勝負アナリスト辞めます、元外資マン個人に長期投資指南」として掲載され大きな反響を呼ぶ。投資情報のサブスクモデルを確立する。その後、株初心者向けネットメディア「株1」、2015年にはくらしとお金の経済メディア「LIMO」の前身となる「投信1」を立ち上げる。2026年6月に専門家と実務家が情報発信をする金融経済ニュースサイト「LIMO&ファイナンス」を立ち上げ編集長に就任。
それ以前は、日本生命・国際投資部で外国株式ファンドマネージャー、フィデリティ投信・調査部や運用部にて10年に渡ってインターネット、電機(半導体・民生・産業エレクトロニクス)、機械(ロボットやセンサー企業中心)といったテクノロジーセクターの証券アナリストや中小型株ファンドのアシスタント・ポートフォリオ・マネージャー(最年少で就任)として従事。
2. 専門・研究領域
慶応義塾大学商学部卒業。国際金融及びコーポレート・ガバナンスを専攻。アジア通貨危機、昭和金融恐慌などの金融パニックのメカニズムを金融政策や金融機関への規制の観点から研究。それらの内容は「昭和金融恐慌からの教訓 平成恐慌になにをどう生かすべきか」(三田商学研究学生論文集)として発表。
3. 著書
・『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資』(ダイヤモンド社)
・『テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図』(クロスメディア・パブリッシング)
・『銀行はこれからどうなるのか』(クロスメディア・パブリッシング)
・『Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない』(KADOKAWA)
・『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』(日本経済新聞出版社)
4. 寄稿や講演他
「日経BizGate」での連載「泉田良輔の新・産業鳥瞰図」や「現代ビジネス」、「東洋経済オンライン」、「プレジデント」などへの寄稿や対談も多数。対談記事例としては「【未来予想】ブロックチェーン革命が、「半沢直樹」の世界に終わりを告げる」や「【未来予想】アマゾンとビットコインが、次世代の「銀行」になる理由」(いずれもNewsPicks)、「米独に遅れる日本の自動運転、自動車も電機の二の舞に?」(週刊ダイヤモンド)。海外ジャーナリストからインタビューされることも多く、Financial TimesやThe Economist、Bloombergにおいて自動車や金融業界についての国内外産業動向コメントも発信している。
講演会や動画での情報発信も盛んに行っており、NewsPicksのTHE UPDATE、日経ビジネススクール、慶應丸の内キャンパス、慶應義塾SDM、アカデミーヒルズなどでも講義を行う。またNewsPicksのNewSchoolではプロジェクトリーダーとして「本当に初心者のための資産運用」を開催。
最終更新日:2026年6月26日