2. 口座凍結前にATMで出金する「3つの大きなリスク」
銀行に黙って預金を引き出す行為には、以下の法的な落とし穴があります。
2.1 「単純承認」とみなされ、借金の相続放棄ができなくなる
これが最も恐ろしいリスクです。故人の財産(預金)を引き出すことで、法律上「すべての財産を引き継ぐ意思がある(単純承認)」とみなされます。
後から「実は多額の借金があった」と判明しても、相続放棄が一切認められなくなる恐れがあります。
2.2 他の相続人からの「使い込み」疑惑
ATMの出金履歴は数十年分残ります。葬儀費用に使ったとしても、領収書が不透明であれば、ほかの親族から「勝手に遺産を使った」と疑われ、遺産分割協議が泥沼化する原因になります。
2.3 税務署による「相続税の調査」
亡くなる直前や直後の多額の出金は、税務署が最も厳しくチェックするポイントです。
相続税の計算において、亡くなる前に贈与された財産を相続財産に加算する期間が、従来の「3年前まで」から「7年前まで」へと段階的に延長されています。生前の引き出しについても、より厳格な管理が求められるようになっています。
著者
株式会社モニクルリサーチ メディア編集本部
元銀行員/一種外務員資格(証券外務員一種)/LIMOマネー編集部金融ライター
一種外務員資格(証券外務員一種)。大学卒業後、株式会社三菱UFJ銀行にて後方事務や法人営業部門のアシスタント事務を経験。その後、三井住友信託銀行に転職し、資産運用アドバイザー業務に約10年間従事。
15年以上にわたり金融機関に在籍し、現役世代からシニア層、富裕層まで延べ1000名以上の個人顧客に対し、資産運用コンサルティングや承継対策を提案。表彰歴多数。現在は、株式会社モニクルリサーチが運営する、くらしとお金の経済メディア『LIMO(リーモ)』、専門家と実務家が発信する金融経済ニュースサイト『LIMO&ファイナンス』にて企画・執筆・編集・監修を幅広く担当。
15年以上の金融機関キャリアに加え、自身も20年以上の投資経験(投資信託・株式・FX・金など)を持つ。金融のプロ・現役投資家・生活者(出産・育児経験)の3つの視点から、年金制度の仕組み、社会保障、NISAや住宅ローン、相続まで分かりやすく解説。Yahoo!ニュース経済カテゴリでアクセスランキング1位を多数獲得。【2026年6月29日更新】