2. 【おひとりさま】貯蓄傾向と単身世帯増加の現状
単身世帯の貯蓄データを詳しく見ていくと、平均値と中央値の差が示す資産状況の実態、そして単身高齢者の増加という社会的な変化が浮かび上がってきます。
今後の老後準備を考える際には、単に数字の大きさを見るだけでなく、その内側にある実態をどう読み取るかが重要になります。
2.1 貯蓄額は増えているように見えるが…中央値から分かる現実とは?
平均値だけを見ると、年齢が上がるにつれて貯蓄額は増えているように見えます。とくに50歳代から60歳代にかけて伸びが大きくなっている背景には、退職金の受け取りが影響していると考えられます。
しかし中央値に目を向けると印象は大きく変わります。60歳代に入るまで中央値は100万円台にとどまっており、平均値との差が大きいことが分かります。これは、一部の高額資産層が平均値を押し上げている一方で、多くの人はそれほど大きな貯蓄を持っていないことを示しています。
中央値も50歳代から60歳代にかけて上昇していますが、その伸びには退職金の影響が色濃く表れているとみられます。老後資金を考えるうえでは、現役時代の資産形成に加え、退職金をどのように受け取り、どのように活用するかまで含めた計画が重要になります。
2.2 単身高齢者は増加傾向に――これから求められる備え
こうした資産状況とあわせて注目したいのが、「おひとりさま」の増加です。内閣府「令和7年版高齢社会白書」によると、65歳以上で一人暮らしをしている人の割合は年々高まっており、高齢期を単身で過ごす人は今後も増えていくと見込まれています。
単身世帯の場合、配偶者の収入や年金に頼ることはできず、生活の基盤は自分自身の資産に大きく依存することになります。医療や介護といった将来のリスクについても、一人で備えておく必要があります。
そのため、積立投資や私的年金の活用、働き続けることによる収入の確保、生活費の見直しなど、複数の手段を組み合わせた備えが重要になります。平均値ではなく中央値を基準に自分の位置を把握し、早い段階から現実的な準備を進めていくことが、これからの老後を支える大きなポイントになるでしょう。
