6. 夫婦世帯「二人ならなんとかなる」の落とし穴。想定外に備える資金計画
ここまで、70歳代・二人以上世帯の資産や収入の状況を見てきました。平均値だけでなく中央値や分布を確認することで、世帯ごとの格差や「貯蓄の取り崩し」という現実が見えてきたのではないでしょうか。
「人生100年時代」といわれる今、インフレや予期せぬ支出に備えるためには、まず「ねんきんネット」などを活用して、自分たちが将来受け取れる年金額を正確に把握することが不可欠です。
そのうえで、想定される生活費とのギャップを早期に認識し、貯蓄や資産運用で補填する計画を立てることが、老後の安心に直結します。
6.1 夫婦世帯こそ意識したい「収入構造の変化」
さらに、夫婦世帯が忘れてはならないのが、「パートナーとの死別」によって家計の前提が根底から覆るリスクです。
どちらかが亡くなった場合、それまで受給していた2人分の年金は、1人分の老齢年金と遺族年金へと切り替わります。一般的に、世帯全体の年金収入は大きく減少するケースがほとんどです。一方で、住居費や光熱費などの固定費は、世帯人数が1人になっても半分にはなりません。
「2人ならなんとかなる」という計画だけでなく、「おひとり様になったときに家計は回るのか」という想定外の事態をあらかじめシミュレーションしておくことが、真に安定した老後生活を送るための鍵となります。
物価高という目先の不安だけでなく、長いスパンで起こり得るライフイベントを見据えた、多角的な資金計画を検討してみましょう。
参考資料
マネー編集部貯蓄班
著者
マネー編集部貯蓄班は株式会社モニクルリサーチが運営する『くらしとお金の経済メディア ~LIMO(リーモ)~』において、大手証券会社やメガバンク等の金融機関にて勤務経験のある編集者が中心となり、金融庁や総務省など官公庁の公開情報等をもとにお金の課題に寄り添う専門チームです。
主なメンバーは野村證券株式会社出身の宮野茉莉子、SMBC日興証券株式会社出身の安達さやか、地方自治体職員出身の太田彩子、株式会社三菱UFJ銀行と三井住友信託銀行株式会社出身の和田直子、株式会社三菱UFJ銀行出身の中本智恵、日本生命保険相互会社出身の村岸理美など。
編集者の多くは、金融機関にて個人リテール業務を経験。若年層からシニア層、富裕層に至るまで、幅広い顧客に対し、投資信託・保険を中心とした総合的なライフプランニングを実行してきた。なかには、リテール営業で社内トップの実績を持ち、行内で表彰された実力者も。人材育成や社内教育にも携わるなど、金融知識と実務経験の両面で信頼される編集者が在籍しています。
CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、一種外務員資格(証券外務員一種)などの資格保有者も多数在籍。(最新更新日:2025年6月23日)
監修者
二種外務員資格(証券外務員二種)記者/編集者/校閲者/
【保有資格】
ニ種外務員資格(証券外務員二種)・相続診断士・認知症介助士・終活ガイド資格1級保有。
【経歴】
二種外務員資格や相続診断士などの資格を保有し、「お金とくらし」にまつわる情報を専門的かつ丁寧に発信する金融メディア編集者・ライター。
早稲田大学第一文学部史学科卒。人文・社会系一般書籍、中学・高校社会科教材、就職試験問題の制作関連業務で15年以上の経験を持つ。また、大手人材派遣会社における採用管理業務などの実務経験もある。
現在は株式会社モニクルリサーチが運営する『くらしとお金の経済メディア~LIMO(リーモ)~』において、金融系メディアの編集者兼執筆者として、コンテンツ制作や編集を担当。
総務省「家計調査」・厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況」・J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査」などの一次資料に基づくデータ記事の執筆に強み。
専門家と実務家が発信する金融経済ニュースサイト『LIMO&ファイナンス』でも記事執筆をおこなう。紙媒体での経験に加え、家族の介護を通じて得た知見を生かしながら、「お金とくらし」にまつわる情報を丁寧に発信している。(2026年7月9日更新)