5. 【75歳以上】医療費に不安を感じる人の割合と実態
老後資金というと、生活費や年金額の不足が話題になりがちですが、実際には医療費への不安を抱えている人も少なくありません。
5.1 約3割の世帯が医療費の負担増を不安視
J-FLEC(金融経済教育推進機構)の「家計の金融行動に関する世論調査2025年」によると、70歳代の二人以上世帯の30.0%が「医療費の自己負担増」を将来の不安として挙げています。
老後資金の不安というと生活費不足が注目されやすいものの、医療費も家計を考えるうえで無視できないテーマとなっていることがうかがえます。
5.2 老後の医療費は「通院と薬代」が大きい?
老後の医療費というと、入院や手術といった高額医療を思い浮かべる人も多いかもしれません。しかし、公的統計を見ると医療費の内訳はそれだけではありません。
厚生労働省が公表している「国民医療費の概況」では、通院(外来)や薬局での薬代も医療費の大きな割合を占めていることが分かります。
医療費の内訳は次のような構成になっています。
- 入院医療費:37.1%
- 入院外(外来・通院)医療費:34.7%
- 薬局調剤医療費(薬代):17.6%
通院(外来)と薬代を合わせると、医療費全体の約5割を占める計算になります。つまり、医療費は入院だけでなく、通院や服薬といった日常的な医療利用によっても多く発生していることが分かります。
5.3 高齢期は通院や服薬が増える傾向
高齢期の医療費は、一度の大きな入院だけで発生するとは限りません。年齢を重ねると、
- 定期的な通院
- 複数の診療科の受診
- 継続的な服薬
といった医療利用が増える傾向があります。その結果、医療費は一度の高額支出というよりも、通院費や薬代が継続的に積み重なる形で家計に影響するケースも少なくありません。
5.4 医療費は「日常的な支出」として考える
老後資金を考える際には、入院などの大きな医療費だけでなく、通院や薬代のような日常的な医療費も視野に入れておくことが重要です。
通院や服薬が長く続く場合、1回あたりの金額は小さくても年間では大きな負担になります。とくに注意したいのが、一定の所得があり窓口負担が「2割」となる方です。 これまで、2割負担の方には「1か月の外来医療の負担増加額を3,000円までに抑える」という配慮措置がありましたが、この特例は2025年(令和7年)9月末で終了しました。
現在は高額療養費制度による外来の上限額(月18,000円、年間14万4,000円まで)が適用されるため、通院が重なると家計への影響が大きくなる可能性があります。
こうした医療費の特徴を踏まえ、老後家計において医療費は突発的な出費というよりも、年齢とともに水準が切り上がり、その後も続きやすい「継続的支出」として捉える視点が重要です。

