春の訪れを感じられる時期になってきましたが、引き続き物価の高騰が家計を苦しめています。
目先の生活費のやりくりでさえ大変な状況であるため、将来のお金について不安を抱えているという方も多いのではないでしょうか。
特に、女性は出産や育児などに伴うキャリアの選択により、将来受給する年金額にも影響が生じます。
「老後にどのくらいの年金をもらえるのか」を把握し、計画的に準備していくことが大切です。
今回は、厚生労働省が発表した年金受給目安額のモデルケースを紹介していきます。
年金受給額に男女差が生じている理由や老後に向けた資産形成のポイントも解説していくので、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
1. 【厚生労働省発表】年金受給目安額の5つのモデルケース
はじめに、2026年度(令和8年度)の年金額改定とともに厚生労働省から発表された「多様なライフコースに応じた年金額」をもとに、年金の受給目安額をご紹介します。
5つのパターンに分けて受給目安額を紹介していくので、ぜひご自身のライフコースに近いものを参考にしてみてください。
1.1 パターン①:厚生年金中心の男性
- 概算の年金月額:17万6793円
- 平均厚生年金期間:39.8年
- 平均収入:50.9万円(賞与含む月給換算)
- 基礎年金:6万9951円
- 厚生年金:10万6842円
定年まで会社員・公務員などで長く勤め、厚生年金保険への加入期間が長い男性は、月額17万6793円が年金の受給目安額となります。
ただし、厚生年金の受給額は「加入期間」と「期間中の報酬」によって決まる仕組みであるため、必ずしも上記の金額をもらえるわけではありません。
賞与を含めた平均月給が50.9万円、つまり平均の年収が約610万円であれば毎月約17万6000円ほどの年金を受け取れるということです。
1.2 パターン②:国民年金(第1号被保険者)中心の男性
- 概算の年金月額:6万3513円
- 平均厚生年金期間:7.6年
- 平均収入:36.4万円(賞与含む月給換算)
- 基礎年金:4万8896円
- 厚生年金:1万4617円
自営業や農業・漁業に従事していた期間が長く、国民年金の第1号被保険者の期間が長い男性は、月額6万3513円が年金の受給目安額となります。
厚生年金による上乗せ分が少なく、受給額全体がパターン①よりも少なくなっています。
国民年金のみの加入期間が長い方は、老後の資産準備の重要性がより高いと言えるでしょう。
1.3 パターン③:厚生年金中心の女性
- 概算の年金月額:13万4640円
- 平均厚生年金期間:33.4年
- 平均収入:35.6万円
- 基礎年金:7万1881円
- 厚生年金:6万2759円
厚生年金保険への加入期間が長い女性は、月額13万4640円が年金の受給目安額となります。
同じ厚生年金中心ですが、パターン①の男性に比べて受給額は少なくなっています。
1.4 パターン④:国民年金(第1号被保険者)中心の女性
- 概算の年金月額:6万1771円
- 平均厚生年金期間:6.5年
- 平均収入:25.1万円
- 基礎年金:5万3119円
- 厚生年金:8652円
国民年金の第1号被保険者の期間が長い女性は、月額6万1771円が年金の受給目安額となります。
やはり厚生年金の上乗せ分がないことで受給額が少なく、パターン②の男性と大きな差はありません。
1.5 パターン⑤:国民年金(第3号被保険者)中心の女性
- 概算の年金月額:7万8249円
- 平均厚生年金期間:6.7年
- 平均収入:26.3万円
- 基礎年金:6万9016円
- 厚生年金:9234円
第3号被保険者とは、第2号被保険者(厚生年金保険等の加入者)に扶養されている配偶者のことです。
国民年金の第3号被保険者の期間が長い女性は、月額7万8249円が年金の受給目安額となります。
具体的には、結婚・出産などを機に仕事を辞め、パートナーに扶養されている期間が長かった場合などが当てはまります。
2. 年金受給額に男女差が生じているのはなぜ?
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先ほどご紹介したモデルケースでは、男女で受給額に差がありました。
女性の方が受給額が少ない傾向にある理由は主に以下の2点です。
- 出産・育児などで就業期間が短くなるため
- 女性の方が平均の賃金が低いため
国民年金は納付月数によって受給額が決まるため、満額なら男女差は生じません。
しかし厚生年金は「加入期間」と「報酬」によって受給額が決まるため、男女で差が生まれる仕組みとなっているのです。
女性は男性に比べ、出産や育児による離職などで厚生年金への加入期間が短くなりやすいです。
さらに時短勤務や非正規雇用などを選択する女性も少なくないため、平均的な賃金が男性と比べて低くなっています。
こうした理由により、女性の方が平均的な受給額が低くなっているのです。
裏を返せば、平均的な男性と同程度の期間にわたって厚生年金に加入し、同程度の収入を得ていれば、同じくらいの年金を得られる仕組みになっています。
年金受給額への影響やご自身のライフプランを総合的に踏まえて、キャリアを選択していくことが大切です。
3. 老後に向けた資産運用のポイント
キャリアの選択の影響で年金受給額が少なくなる場合、自分自身で老後資金をしっかりと準備する必要があります。
老後に向けた資産運用を始める際、以下の3つのポイントを押さえておくと良いでしょう。
- 給料からの先取りで貯蓄・運用を自動化させる
- 時間を味方に付ける
- NISA・iDeCoを活用する
それぞれのポイントを解説します。
3.1 給料からの先取りで貯蓄・運用を自動化させる
貯蓄が上手くいかない人に多いのが「給料から生活費等を使い、残った分を貯蓄に回そう」とするパターンです。
手元にお金があるとつい使ってしまい、結局貯蓄に回す分が残らないというケースは少なくありません。
そこで「給料が入ったら先に一定額を貯蓄・運用に回してしまう」というやり方がおすすめです。
先に貯蓄に回すことで着実な資産形成を目指すことができ、残ったお金で生活費をやりくりすれば無駄遣いが減ります。
給料日に自動で引き落とされる設定にしておけば、強制的に貯蓄・運用できます。
貯蓄が苦手な人は、自動でお金が貯まる仕組みを作ってしまうと良いでしょう。
3.2 時間を味方に付ける
投資を活用して資産運用を行う際は、時間を味方に付けることも大切です。
長期間にわたって投資を続けることで、以下のメリットが期待できます。
- 価格変動リスクが抑えられる
- 複利効果が得られる
短期間で投資する場合は価格変動が大きくなりやすいですが、長期間投資を続けると価格変動が平均化される傾向にあります。
価格変動のリスクを抑えながら運用を目指せるのが長期投資の利点です。
また、投資で得られる利益を再び投資に回すことで、元本が雪だるま式に膨らむ「複利効果」が期待できるというメリットもあります。
複利効果は年数を重ねるほど威力を増し、資産が効率よく増えていく効果が期待できます。
老後までの時間を最大限に活かし、じっくりと長期運用を続けていきましょう。
3.3 NISA・iDeCoを活用する
NISA・iDeCoといった税制優遇制度の活用もポイントとして挙げられます。
いずれも税金面でのメリットを得ながら老後に向けた資産運用を行えることが特徴です。
NISAは、年間一定額までの投資で得られる利益が非課税になる制度です。
利益の非課税は無期限となっているため、生涯にわたって投資を続けても税金がかかりません。
iDeCoは、自分で掛金を拠出・運用して老後に受け取る「私的年金」です。
「運用益が非課税で再投資される」「掛金が全額所得控除になる」「受取時にも控除が適用される」といった利点があります。
税金の負担を軽減できるため、効率的に老後資金を準備できます。
資産運用を始めるのであれば、NISA・iDeCoの活用を検討してみるのもよいでしょう。
※投資には元本割れ等のリスクがあり、iDeCoは原則60歳まで資産を引き出せない点にご留意ください。
4. 年金目安額を参考に資金計画を立てましょう
今回は、厚生労働省から発表されたモデルケースをもとに、ライフコース別の年金受給目安額をご紹介しました。
目安額を見ると男女差が生じていましたが、これは就業期間や賃金水準の違いが反映されているためです。
近年は共働きの世帯も多く、正社員として長く働く女性も増えてきています。
こうした働き方の変化が今後も広まっていけば、年金受給額の男女差は今後縮まっていくと考えられます。
また、老後に向けて資産を運用する際には「給料からの先取りで自動化させる」「時間を味方に付ける」「NISA・iDeCoを活用する」といったポイントが挙げられます。
今回ご紹介した年金目安額を参考に、老後に向けた資金計画を立ててみてはいかがでしょうか。
参考資料
丸山 大輝