物価高が続くなか、公的年金だけでの生活に不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。

2026年2月時点では、年金額の改定が物価の上昇に追いついていないと感じる場面もあるかもしれません。

そうした状況において、年金受給者の生活をサポートする「年金生活者支援給付金」という制度があります。

本記事では、この給付金の対象者、具体的な支給額、そして申請方法について、わかりやすく解説します。

1. 公的年金の受給額は人それぞれ!知っておきたい実情

厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、公的年金の平均月額は、国民年金(老齢基礎年金)で約5万円、厚生年金(国民年金部分を含む)で約15万円となっています。

しかし、これはあくまで平均の数字です。実際のデータを見ると、受給額には個人差が大きく、厚生年金を月30万円以上受け取る方がいる一方で、国民年金・厚生年金ともに月額3万円に届かない方もいます。

年金収入とその他の所得を合計しても、所得が一定の基準を下回る場合には、「年金生活者支援給付金」の支給対象になる可能性があります。

2. 【年金生活者支援給付金】制度の概要と支給額を解説!

年金生活者支援給付金は、年金収入やその他の所得が一定基準額に満たない年金受給者を支援するために、2019年から始まった制度です。この給付金は、2カ月に一度、公的年金に上乗せして支給されます。

現在受け取っている年金の種類によって、以下の3つの給付金が用意されており、それぞれ支給要件や金額が異なります。

  • 老齢年金生活者支援給付金
  • 障害年金生活者支援給付金
  • 遺族年金生活者支援給付金

2.1 2026年度の支給額はいくら?3.2%の引き上げ内容

2026年度の年金生活者支援給付金の額は、前年度から3.2%引き上げられました。

【2026年度の基準額】

  • 老齢年金生活者支援給付基準額(月額):5620円
  • 障害年金生活者支援給付金(月額):1級7025円・2級5620円
  • 遺族年金生活者支援給付金(月額):5620円

老齢年金生活者支援給付金については、この基準額をもとに、保険料の納付状況などに応じて個別の支給額が計算されます。

上記の金額はすべて月額です。支給される際は2カ月分がまとめて年金に加算されます。仮に基準額を満額受け取れる場合、1回の支給で約1万1000円、年間で約6万7000円の収入増が見込めます。

なお、厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、2025年3月時点での平均給付月額(※)は、老齢年金生活者支援給付金で4146円、障害年金生活者支援給付金で5727円、遺族年金生活者支援給付金で5228円という実績でした。

※2025年3月時点で認定されていた方の平均給付月額の実績値です。

3. 年金生活者支援給付金の対象者は?具体的な支給要件を確認

ここでは、年金生活者支援給付金を受け取るための具体的な条件について見ていきましょう。

「障害年金生活者支援給付金」と「遺族年金生活者支援給付金」は、それぞれ障害基礎年金または遺族基礎年金の受給者で、前年の所得が479万4000円以下の人が対象です。

この所得の計算には、障害年金や遺族年金のような非課税収入は含まれません。また、扶養している親族の人数に応じて、所得の基準額は上がります。

一方、「老齢年金生活者支援給付金」は、本人の所得に加えて、いくつかの要件を満たす必要があります。

3.1 「老齢年金生活者支援給付金」の対象となる3つの条件

老齢年金生活者支援給付金は、以下の3つの要件をすべて満たす方が対象となります。

  • 65歳以上で老齢基礎年金を受給中であること
  • 同じ世帯の全員が市町村民税非課税であること
  • 前年の公的年金などの収入とその他の所得(給与所得や利子所得など)の合計が、昭和31年4月2日以降生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれの方は80万6700円以下であること

老齢年金生活者支援給付金の所得を判定する際も、障害年金や遺族年金などの非課税収入は合計額に含まれません。

また、所得が基準額を少しだけ超えたために給付対象から外れてしまう方との公平性を図るため、「補足的老齢年金生活者支援給付金」という制度も設けられています。

補足的老齢年金生活者支援給付金とは?

昭和31年4月2日以降に生まれた方で所得が80万9000円を超え90万9000円以下の場合、また昭和31年4月1日以前に生まれた方で所得が80万6700円を超え90万6700円以下の場合には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されることがあります。

この給付金は、所得額が上がるにつれて支給額が緩やかに減少していく設計になっています。

4. 【申請必須】年金生活者支援給付金の手続きと流れを解説

年金生活者支援給付金は、自動で支給が始まるものではなく、受け取るためには請求の手続きが必要です。

すでに年金を受給中の方で、所得が下がるなどして新たに給付金の対象者となった場合、毎年9月1日以降に「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が送られてきます。

4.1 9月頃に届く「緑の封筒」が手続き開始の合図

※すでに年金を受給している方でも、繰上げ受給をしている場合は書類の形式が異なるケースがあります。

これから65歳を迎える方には、誕生日の約3カ月前に、老齢基礎年金の請求書とセットで給付金の請求書が届きます。同封の請求書に必要事項を記入し、老齢基礎年金の請求書とあわせて提出しましょう。

4.2 申請は初回のみ?2年目以降の手続きについて

年金生活者支援給付金は、一度請求手続きを済ませれば、支給要件を満たしている限り、2年目以降は改めて手続きをしなくても継続して受け取れます。

継続して支給されるかの判定は前年の所得をもとに行われ、その結果は毎年10月分(12月支給)から1年間適用されます。もし支給対象から外れた場合は、「年金生活者支援給付金不該当通知書」が届きます。

また、毎年度(4月分から)の具体的な支給額については、毎年6月上旬頃に送付される「年金生活者支援給付金 支給金額(改定)通知書」および「年金生活者支援給付金 振込通知書」で確認することが可能です。

5. 日本の平均寿命の推移から考える老後設計の重要性

私たちが日常的に使う「平均寿命」という言葉は、0歳時点での平均余命を指すのが正確な定義です。

厚生労働省が2025年7月25日に公表した「令和6年簡易生命表の概況」によると、最新の平均寿命は男性が81.09年、女性が87.13年でした。

この数字は前年と比べると、男性は横ばい(▲0.00年)、女性はごくわずかに短縮(▲0.01年)しています。男女間の平均寿命の差は6.03年で、前年より0.01年縮まりました。

過去からの推移も確認してみましょう。

  • 昭和22年:男性50.06年 女性53.96年 男女差3.90年
  • 昭和25-27年:男性59.57年 女性62.97年 男女差3.40年
  • 昭和30年:男性63.60年 女性67.75年 男女差4.15年
  • 昭和35年:男性65.32年 女性70.19年 男女差4.87年
  • 昭和40年:男性67.74年 女性72.92年 男女差5.18年
  • 昭和45年:男性69.31年 女性74.66年 男女差5.35年
  • 昭和50年:男性71.73年 女性76.89年 男女差5.16年
  • 昭和55年:男性73.35年 女性78.76年 男女差5.41年
  • 昭和60年:男性74.78年 女性80.48年 男女差5.70年
  • 平成2年:男性75.92年 女性81.90年 男女差5.98年
  • 平成7年:男性76.38年 女性82.85年 男女差6.47年
  • 平成12年:男性77.72年 女性84.60年 男女差6.88年
  • 平成17年:男性78.56年 女性85.52年 男女差6.96年
  • 平成22年:男性79.55年 女性86.30年 男女差6.75年
  • 平成27年:男性80.75年 女性86.99年 男女差6.24年
  • 令和2年:男性81.56年 女性87.71年 男女差6.15年
  • 令和3年:男性81.47年 女性87.57年 男女差6.10年
  • 令和4年:男性81.05年 女性87.09年 男女差6.03年
  • 令和5年:男性81.09年 女性87.14年 男女差6.05年
  • 令和6年:男性81.09年 女性87.13年 男女差6.03年

長期的なデータを見ると、男女ともに平均寿命が大きく延びていることがわかります。「人生100年時代」という言葉が、より現実味を帯びてきていると言えるでしょう。

長くなった老後の生活を安心して送るためには、現役のうちから計画的に資産を形成したり、公的年金制度について深く理解したりすることが、ますます大切になります。

6. まとめ:物価高に備えるために利用できる制度を確認しよう

この記事では、年金生活者支援給付金について詳しく見てきました。この給付金を受け取るには申請が必要なため、ご自身が対象かどうかを確認してみてはいかがでしょうか。

今後も物価の上昇が続くと、日々の暮らしはさらに厳しくなるかもしれません。物価の変動にあわせて年金額も改定されますが、上昇率に届かず、実質的な価値が下がってしまう可能性も考えられます。

公的な年金や給付金制度に頼るだけでなく、自分自身の力で老後の資金を準備していくことの重要性は、これからさらに高まるでしょう。将来を見据えて、早めに準備を始めることが肝心です。

※当記事は再編集記事です。

参考資料