物価や教育費、介護費用など、家計を取り巻く負担が変化するなかで、「使える制度を知らずに過ごしていないか」と感じている方も多いのではないでしょうか。

実は、教育・子育てから介護、雇用、住まいまで、暮らしを支える公的制度は数多く用意されていますが、条件や申請方法が分かりにくく、活用できていないケースも少なくありません。

本記事では、いま押さえておきたい支援制度を分野別に整理し、対象者や給付内容のポイントをわかりやすくまとめました。

自分や家族のライフステージに合う制度がないか、確認するきっかけとしてチェックしてみましょう。

1. 「教育・子育て」に関する支援制度3選

まずは、「教育・子育て」に関する支援制度から見ていきましょう。

1.1 高等学校等就学支援金・高校生等臨時支援金

高校生の授業料を支援する制度として「高等学校等就学支援金」があります。

さらに、2025年度は新たに「高校生等臨時支援金」が創設され、課税世帯の中間~高所得層も対象になります。

【支給額】

  • 就学支援金:年額11万8800円~39万6000円
  • 臨時支援金:年額11万8800円

【対象者】

  • 就学支援金:年収約910万円未満の世帯
  • 臨時支援金:年収約910万円以上の世帯

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高等学校等就学支援金および高校生等臨時支援金

出所:文部科学省「高等学校等就学支援金・高校生等臨時支援金リーフレット(概要版)」

 

1.2 児童手当

児童手当は、0歳から高校生までの子どもを養育している保護者に支給される手当です。

児童手当2/9

児童手当

出所:こども家庭庁「児童手当制度のご案内」をもとにLIMO編集部作成

【支給額】

  • 0~3歳未満:月1万5000円(第3子以降は3万円)
  • 3歳以上高校生年代まで:月1万円(第3子以降は3万円)

【対象者】

  • 子を養育する保護者(住民税課税世帯も含む)

1.3 高等教育の修学支援新制度(大学・専門学校の無償化)

世帯年収や扶養する子どもの数の状況に応じて、返還不要の給付型奨学金や授業料・入学金の減額・免除が受けられます。

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高等教育の修学支援

出所:文部科学省「高等教育の修学支援新制度」

【対象となる学生】

  • 世帯収入などの要件を満たしていること
  • 進学先で学ぶ意欲がある学生であること

【対象となる学校】

一定の要件を満たすことを国等が確認した大学、短期大学、高等専門学校(4年・5年)、専門学校

【支援額】

世帯収入・扶養する子どもの数に応じて異なる

2. 「介護・福祉」に関する支援制度3選

続いて、「介護・福祉」に関する支援制度です。

2.1 介護休業給付金

介護休業給付金は、家族の介護のために仕事を休業する際に、 賃金の67%が保証される制度です。

【受給資格】

介護休業を開始した日前2年間に被保険者期間が12ヵ月以上あること

【給付額】

休業開始時賃金日額×支給日数×67%(上限あり)

2.2 高額介護サービス費

1ヵ月に支払った介護サービス費(利用者負担)の合計が負担限度額を超えた場合に、超過分が払い戻される制度です。

【負担限度額】

  • 市町村民税課税~課税所得380万円(年収約770万円)未満:4万4400円
  • 課税所得380万円(年収約770万円)~課税所得690万円(年収約1160万円)未満:9万3000円
  • 課税所得690万円(年収約1160万円)以上:14万100円

2.3 家族介護慰労金

要介護者が1年間介護保険制度で提供されるサービスを利用していないなど、要件を満たした方に年額10万円が支給される制度です(※自治体独自の制度のため、地域によっては支給されません)。

【対象者(大阪市の場合)】

次の1から5までの要件をすべて満たしている方

  • 要介護者および介護者が1年以上継続して大阪市内に居住している(住所を有する)こと。
  • 介護者は、要介護者と同居または同一敷地内もしくは隣地に居住して介護を行っている家族、または要介護者と1年以上同居し、現に要介護者の介護を行っている方であること。
  • 要介護者が、介護保険の要介護認定を受け、1年以上要介護4または5に該当すること。
  • 要介護者が、要介護4または5に該当する期間に、すべての介護保険サービスを1年以上継続して利用していないこと。(1年間で7日間以内の短期入所(ショートステイ)の利用は差し支えありません。) ただし、医療機関に入院した場合は、入院期間を除いて1年以上であること。
  • 介護保険サービスを利用していない期間に、要介護者および介護者の世帯が市民税非課税であること。

3. 「雇用」に関する支援制度2選

続いて、雇用に関する支援制度を見てみましょう。

3.1 失業手当(雇用保険の基本手当)

失業した方が、1 日も早く再就職できるよう求職活動を支援するための給付です。

【受給資格】

  • 原則として、離職の日以前2年間に12ヵ月以上被保険者期間があること
  • 倒産・解雇等による離職の場合(特定受給資格者に該当)、期間の定めのある労働契約が更新され
    なかったことその他やむを得ない理由による離職の場合(特定理由離職者に該当)は、離職の日以前1年間に6ヵ月以上被保険者期間があること

【1日当たりの給付額】

原則として、離職の日以前の6ヵ月に毎月決まって支払われた賃金の合計を180で割って算出
した金額(賃金日額)のおよそ5~8割

【給付日数】

90~360日

3.2 教育訓練給付金

厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した際に、教育訓練経費の一部が支給される制度です。

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教育訓練給付制度の概要

出所:厚生労働省「教育訓練給付金」

【教育訓練の種類】

レベル等に応じて、専門実践教育訓練、特定一般教育訓練、一般教育訓練の3種類

【支給内容】

  • 専門実践教育訓練:教育訓練経費の50%(年間上限40万円)
    資格取得等をし、かつ訓練修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合は、教育訓練経費の70%
    上記の支給の要件を満たしたうえで、訓練修了後の賃金が受講開始前と比較して5%以上上昇した場合は、教育訓練経費の80%
  • 特定一般教育訓練:教育訓練経費の40%(上限20万円)
    上記に加え、資格取得等をし、かつ訓練修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合は、教育訓練経費の50%
  • 一般教育訓練:教育訓練経費の20%(上限10万円)

4. 「住居・暮らし」に関する支援制度3選

最後に、住居・暮らしに関する支援制度です。

4.1 住居確保給付金

一定の要件を満たした場合、市区町村ごとに定める額を上限に実際の家賃額を原則3ヵ月間(延長は2回まで最大9ヵ月間)支給する制度です。

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住居確保給付金

出所:厚生労働省「住居確保給付金」

【対象要件】

  • 主たる生計維持者が①離職・廃業後2年以内である場合もしくは②個人の責任・都合によらず給与等を得る機会が、離職・廃業と同程度まで減少している場合
  • 直近の月の世帯収入合計額が、市町村民税の均等割が非課税となる額の1/12と、家賃の合計額を超えていないこと
  • 現在の世帯の預貯金合計額が、各市区町村で定める額(基準額の6月分。ただし、100万円を超えない額)を超えていないこと
  • 求職活動等要件としてハローワーク等に求職の申込をし、誠実かつ熱心に求職活動を行うこと

次は、自治体独自の支援制度を見ていきましょう。

4.2 物価高騰対策給付金(自治体独自)

物価高騰対策として国から支給される金額に上乗せし、自治体独自に給付するケースがあります。

自治体のホームページなどで、お住まいの地域の最新情報を確認しましょう。

たとえば「さいたま市」や「北九州市」では、次のような給付金があります。

令和7年度さいたま市子育て世帯への応援給付金

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令和7年度さいたま市子育て世帯への応援給付金

出所:さいたま市「令和7年度さいたま市子育て世帯への応援給付金を支給します」

対象要件

  • 2025年7月31日において本市に居住し、2007年4月2日~2025年7月31日までに出生した児童(18歳以下の高校生年代までの児童 ) を養育している方
  • 2025年8月1日~2026年3月31日までに本市で出生した新生児を養育している方

支給額

  • 対象児童1人あたり現金1万円※児童1人につき、1回分のみの支給。

申請受付期間

  • 2025年9月22日~2026年2月27日まで

※2026年1月1日~1月31日までに出生した新生児については、2026年3月16日まで
※2026年2月1日~3月31日までに出生した新生児については、2026年4月30日まで

令和7年度北九州市くらし応援手当(1万円)について

北九州市「令和7年度北九州市くらし応援手当(1万円)について」9/9

北九州市「令和7年度北九州市くらし応援手当(1万円)について」

出所:北九州市「令和7年度北九州市くらし応援手当(1万円)について」

支給の対象となる世帯

次の支給要件を、すべて満たす世帯が対象になります。

  • 基準日(2025年12月12日)時点で、北九州市に住民票がある世帯。
  • 世帯全員が令和7年度分の住民税均等割(令和6年中の収入を基に算定)が非課税。

(租税条約などによって非課税となった方のいる世帯などは支給対象外)

支給額

  • 1世帯あたり1万円(原則、世帯主名義の金融機関の口座に振り込み)

申請期限

  • 2026年5月29日まで

5. まとめ

教育や子育て、介護、働き方、住まい、暮らしの場面ごとに公的制度は数多く用意されていますが、「自分には関係ないかもしれない」と思い込んで見過ごしてしまうことも少なくありません。

制度の名前だけを見ると難しく感じますが、内容をひとつずつ見ていくと、家計の負担を和らげるヒントが身近なところにあることに気づく方も多いのではないでしょうか。

支援制度は、ライフステージの変化とともに利用できるものが入れ替わっていきます。子育て世代には教育費のサポート、働き方が変わったときには雇用関連の給付、介護が始まれば福祉制度など、その時々の状況に応じて選択肢が広がります。

いざという時に慌てないためにも、普段から「どんな制度があるのか」を知っておくことが大切です。

参考資料

加藤 聖人