3.3 国民年金の平均受給月額と男女差・分布状況
続いて、国民年金(老齢基礎年金)の平均受給額を見てみましょう。
厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、平均年金月額は以下の通りです。
- 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
- 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
- 〈女性〉平均年金月額:5万7582円
3.4 国民年金受給額の分布(1万円単位)
同資料より、受給額の分布は以下のようになっています。
- 1万円未満:5万1828人
- 1万円以上~2万円未満:21万3583人
- 2万円以上~3万円未満:68万4559人
- 3万円以上~4万円未満:206万1539人
- 4万円以上~5万円未満:388万83人
- 5万円以上~6万円未満:641万228人
- 6万円以上~7万円未満:1715万5059人
- 7万円以上:299万7738人
国民年金の平均月額は、全体・男女別ともに5万円台となっています。
受給額の分布を見ると「月額1万円未満から7万円以上」まで幅がありますが、厚生年金ほど大きなばらつきは見られません。
これは、国民年金の満額が制度上決まっているためです。
最も人数の多いボリュームゾーンは「6万円以上~7万円未満」であり、多くの人が満額に近い年金を受け取れていることがうかがえます。
4. 働き方でどう変わる?ライフコース別の年金受給額モデル
年金の受給額は個人差が大きいため、平均額だけでは実態が見えにくい部分があります。
「将来、自分はいくらくらい年金をもらえるのだろう」という疑問を解消する一助として、ここでは働き方の違いに応じた年金額の目安を紹介します。
厚生労働省が2026年1月23日に公表した資料「多様なライフコースに応じた年金額の例」から、具体的なケースを見ていきましょう。
この資料では、年金の加入経歴を5つのパターン(男性2つ、女性3つ)に分け、それぞれの年金額の概算が示されています。
ケース1:厚生年金への加入期間が中心の男性
《年金月額》17万6793円
- 平均厚生年金期間:39.8年
- 平均収入:50万9000円※賞与を含んだ月額換算額
- 基礎年金:6万9951円
- 厚生年金:10万6842円
ケース2:国民年金(第1号被保険者)期間が中心の男性
《年金月額》6万3513円
- 平均厚生年金期間:7.6年
- 平均収入:36万4000円
- 基礎年金:4万8896円
- 厚生年金:1万4617円
ケース3:厚生年金への加入期間が中心の女性
《年金月額》13万4640円
- 平均厚生年金期間:33.4年
- 平均収入:35万6000円
- 基礎年金:7万1881円
- 厚生年金:6万2759円
ケース4:国民年金(第1号被保険者)期間が中心の女性
《年金月額》6万1771円
- 平均厚生年金期間:6.5年
- 平均収入:25万1000円
- 基礎年金:5万3119円
- 厚生年金:8652円
ケース5:国民年金(第3号被保険者)期間が中心の女性
《年金月額》7万8249円
- 平均厚生年金期間:6.7年
- 平均収入:26万3000円
- 基礎年金:6万9016円
- 厚生年金:9234円
これらのモデルケースから、厚生年金への加入期間の長さや現役時代の平均収入が、将来の年金月額に大きく影響することがわかります。
特に、現役時代に国民年金と厚生年金のどちらに主として加入していたかによって、老後の受給額に大きな差が生まれることが見て取れます。
5. 年金受給者の確定申告:「確定申告不要制度」とマイナンバーカード活用法
年金受給者の中には、一定の条件を満たすことで「確定申告不要制度」が適用される方がいます。
この制度に該当する場合、毎年確定申告を行う必要がなくなります。
5.1 確定申告が不要になる具体的な条件
確定申告が不要となるのは、以下の両方の条件を満たす場合です。
- 公的年金等(※1)の収入合計額が400万円以下で、かつ、その公的年金等のすべてが源泉徴収の対象となっていること
- 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額(※2)が20万円以下であること
※1 国民年金、厚生年金、共済組合から支給される老齢年金や恩給、過去の勤務先から支給される年金、確定給付企業年金などが該当します。
※2 生命保険契約などに基づく個人年金、給与所得、生命保険の満期返戻金などが該当します。
ただし、確定申告不要制度の対象者であっても、確定申告を行うことで所得税の還付を受けられる場合があります(※3)。
また、所得税の確定申告が不要な場合でも、源泉徴収票に記載されていない生命保険料控除や地震保険料控除などを適用したい場合や、公的年金以外の所得があり住民税の申告が必要となる場合があります(※4)。
※3 医療費控除や雑損控除などを適用し、公的年金から源泉徴収された所得税の還付を受けたい場合などです。
※4 所得税の確定申告を行えば、その内容が市区町村に連携されるため、別途住民税の申告をする必要はありません。
5.2 スマートフォンとマイナンバーカードで手軽に確定申告
近年、スマートフォンとマイナンバーカードの連携機能が拡充し、令和7年(2025年)分の確定申告はさらに便利になっています。
マイナンバーカードをスマートフォンで読み取ることで、申告書の作成からe-Taxによる送信までを完結させることが可能です。
国税庁のウェブサイトにある「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、画面の案内に従って入力するだけで申告書が完成し、自動計算機能により計算間違いも防げます。
さらに、マイナポータル連携機能を使えば、保険料控除証明書や源泉徴収票といった必要書類の情報を自動で取得し、申告書に反映させることができます。
これにより、書類を一つひとつ集めて手入力する手間が省け、確定申告にかかる時間を大幅に短縮できるでしょう。
6. まとめ
今回は、公的年金の基本的な仕組みから、平均的な受給額、そして働き方による違いまで、さまざまな角度から年金について解説しました。
データを見ると、特に厚生年金は現役時代の収入や加入期間によって受給額に大きな差が出ることがお分かりいただけたかと思います。
平均額はあくまで一つの目安であり、ご自身の老後の生活を具体的に計画するためには、自分自身の年金見込額を正確に把握することが何よりも大切です。
年に一度送られてくる「ねんきん定期便」や、いつでも最新の情報を確認できる「ねんきんネット」を活用して、ご自身の年金記録を確認してみてはいかがでしょうか。
まずは現状を把握することから始め、ゆとりあるセカンドライフに向けた準備を進めていきましょう。
参考資料
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 政府広報オンライン「ご存じですか?年金受給者の確定申告不要制度」
石津 大希


