三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXISシリーズ」が人気です。特に「オルカン」と「S&P500」はいずれも純資産総額が一時10兆円を突破するなど、投資信託の代表格となっています。

しかし、気になるのは米国株式への偏重です。「S&P500」はもちろん、「オルカン」も6割が米国株式です。銘柄は分散されているとはいえ、特定資産への集中的な投資に懸念を抱く人は多いでしょう。

MSCI全世界株式指数の構成(2026年1月末)1/4

MSCI全世界株式指数の構成(2026年1月末)

出所:MSCI MSCI ACWI Index (USD)より著者作成

分散投資を目指すなら、銘柄の分散だけでなく「地域の分散」と「資産の分散」を心がけましょう。それぞれの視点で検討したいリスク分散先を紹介します。

1. 地域の分散:日本株式 為替リスクからの解放もポイント

「地域の分散」で候補になるのが日本株式です。先述の全世界株式指数でも、日本は米国に次いで2番目に大きい地域です。米国が圧倒的で印象が薄いかもしれませんが、実は国内にも多くの世界的な企業があります。

例えば、国内最大の上場企業であるトヨタ自動車は自動車販売台数で世界トップクラスです。また、送配電設備で世界シェア首位の日立製作所や、半導体デバイスの製造装置でシェアをほぼ独占する東京エレクトロン、製造アパレルで世界3位のファーストリテイリング(ユニクロ)など、国内には海外企業に負けない大企業が多数上場しています。

さらに、日本株式への投資で見逃せないのが為替リスクからの解放です。日本円で生活をする私たちにとって、海外投資に伴う為替リスクはハードルの1つといえます。為替と投資対象の値動きが相殺されることもあれば、双方が下落し二重に値下がりするケースもあり得ます。

日本株式なら円建ての取引であり、為替リスクはありません。地域の分散を考えるなら、日本株式へ目を向けてみるといいでしょう。

2. 資産の分散:先進国債券 利下げ期待も後押し

株式中心のポートフォリオで「資産の分散」を目指すなら債券が典型的です。

債券と株式は、どちらも企業が発行する有価証券(債券は国も発行)ですが、発行体は原則として株式より債券を優先して支払いを行います。また、発行体が破綻しない限り利回りが確定的ということも株式にない特徴です。

この仕組みから、債券のリスクは基本的に株式よりも小さくなります。資産に組み入れれば、株式100%のポートフォリオよりも通常はリスクが低下します。

債券は国内もいいですが、海外も検討したいところです。日本は利上げフェーズにあり、今後は金利の上昇が想定されます。金利が上昇するということは、利回りの高い債券が新しく市場に出るということで、金利が低いときに発行された既存の債券は価値が下落します。

海外債券なら先進国の方が取り組みやすいでしょう。新興国は一般に為替リスクが大きく、ハードルは高めです。また、先進国は日本に先んじて金利を引き上げていたこともあり、今後は利下げが予想されることもポイントです。

3. リターン重視なら金(ゴールド)への分散投資もアリ

最後に金(ゴールド)も紹介します。金は特にリスクを維持したまま「資産の分散」を進めたい人に向いています。

先述のとおり、株式との分散は債券が定番です。しかし、債券は比較的リスクが低い一方でリターンも小さく、通常は組み入れを増やすとポートフォリオ全体の期待リターンも低下します。

そこで金が候補となります。安全なイメージが強い金ですが、実は値動きが大きい資産です。金価格への連動を目指すETF(上場投資信託)で確認すると、標準偏差(※)は15%~20%前後と、株式と同水準かそれ以上の値動きが生じています。

※標準偏差…値動きの大きさを測る指標。15%なら平時で年±15%程度の値動きが予想される

主なETFの標準偏差(2026年1月末)2/4

主なETFの標準偏差(2026年1月末)

出所:投資信託協会 投信総合検索ライブラリーより著者作成

リターンは基本的にリスクに比例します。「資産の分散」を行いつつリターンを追求したいなら、金の組み入れも検討しましょう。

3.1 参考:オルカンのチャート

S&P500:基準価額と純資産総額の推移4/4

S&P500:基準価額と純資産総額の推移

出所:三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS S&P500インデックス 」をもとにLIMO編集部作成

参考資料

若山 卓也