先週は、今年最初の年金支給日がありました。年金は日々の暮らしを支える重要な社会保障制度ですが、厚生労働省からの発表により、2026年度は4月分から年金額が引き上げられることになっています。年金制度は「基礎年金」と「厚生年金」の2階建て構造となっており、障害年金も同様の仕組みです。

障害年金は2階建て

障害年金は2階建て

LIMO編集部作成

 

今回は障害年金について最新の改定額とあわせて、知っておかないと損をする可能性もある「最大5年分の遡及認定」の仕組みについて、公表資料をもとに分かりやすく解説します。

1. 【障害年金】2026年度4月分から「1級は月8万8260円」←対前年度+1600円アップ

2026年度4月分から適用される改定後の年金額を確認しましょう。

令和8年度の年金額の例

令和8年度の年金額の例

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」

 

障害基礎年金の月額は2級が7万608円、1級はその1.25倍にあたる8万8260円(+子の加算)になります。1級の月額は2025年度からおよそ1600円ほど引上げられることになります。障害厚生年金は「2階建て」の2階部分にあたるため、1級・2級の方は厚生年金に加えて、基礎年金もあわせて受け取れる点が大きな特徴です。

2026年度の障害年金「年金月額」1/4

2026年度の障害年金「年金月額」

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」をもとにLIMO編集部作成

また、「1級は2級の1.25倍」という考え方は障害厚生年金の報酬比例部分にも同様に適用されます。さらに配偶者がいる場合には加給年金が加算されるケースもあります。
このように、1級・2級は基礎年金と厚生年金の両方が支給対象となる一方で、障害厚生年金には独自の3級も設けられており、障害の状態やこれまでの保険料納付状況に応じたきめ細かな保障が用意されています。

2. 【障害年金】遡及認定は5年分が限度!障害基礎年金1級の場合「520万円弱」もらえることも

障害年金(障害基礎年金・障害厚生年金)は、障害の状態に該当した時期に応じて「障害認定日による請求」と「事後重症による請求」の2つの方法があります。

2.1 障害認定日による請求

障害認定日の時点で障害等級に該当していれば、その翌月分から受給権が発生します。これは、いわゆる「遡及認定」と呼ばれるもので、過去にさかのぼって年金を受け取れる可能性がありますが、実際に支給されるのは原則5年分までに限られます。

障害基礎年金の年金額(令和7年4月分から)2/4

障害基礎年金の年金額(令和7年4月分から)

出所:日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」

例えば、1級の方で5年分の遡及が認められた場合、2025年度の障害基礎年金1級は年額103万9625円のため、単純計算では5年分で約519万8125円となります。

遡及認定が認められると、このように本来受け取れたはずの年金をまとめて受給できる可能性があります。ただし、加算(子の加算など)の有無や等級、厚生年金の報酬比例部分によって実際の金額は変わる点に注意が必要です。

2.2 事後重症による請求

一方、認定日時点では該当しなかったものの、その後症状が重くなった場合には、請求した翌月分から受給が開始されます。ただし、事後重症による請求は65歳の誕生日の前々日までに手続きを行う必要があります。いずれの場合も、請求が遅れるほど受給開始時期も遅くなるため、早めの手続きが大切です。

3. 【障害年金】申請で大切な「初診日」とは?対象となる「病気やケガ」

障害年金は、病気やけがによって仕事や生活が制限されるようになった現役世代を支える重要な社会保障制度です。

対象となるのは視覚・聴覚・手足の不自由だけでなく、がんや糖尿病などの内部疾患、うつ病や統合失調症といった精神疾患など幅広く、障害者手帳の有無は問いません。

3.1 「初診日」がいつか覚えていますか

受給のための大きなポイントは「初診日」「保険料の納付」「障がいの状態」の3点です。

障害年金の受給要件4/4

障害年金の受給要件

出所:日本年金機構「障害年金ガイド」

まず、障害の原因となった病気で初めて医師の診察を受けた「初診日」において、国民年金または厚生年金に加入している必要があります。次に、初診日までの期間に一定以上の保険料を納めている(または免除されている)ことが必要ですが、20歳前の傷病であれば納付要件は問われません。最後に、初診日から1年6カ月を経過した「障害認定日」などの時点で、法令に定める障害等級(1級〜3級)に該当していることが条件となります。

4. まとめにかえて

今回は障害年金について解説しました。2026年度からの年金額の改定は、物価の上昇が続くなかで、受給者の生活を支えるうえでも大切なポイントになります。

「障害年金」は、決して特別な人だけのものではありません。うつ病などの精神疾患や、がん・糖尿病といった内部疾患により、仕事や日常生活に著しい制限を受けている方であれば、どなたでも受給を検討できる正当な権利です。

また、過去にさかのぼって病状が重かった時期が認められれば、5年を限度として本来受け取れるはずだった年金が支払われることもあります。ただし、そのためには初診日の証明や当時の病状を示す資料など、しっかりとした準備が必要になります。

「自分は対象ではないかも」と思ってしまう前に、まずはこれまでの通院歴を整理し、制度の仕組みを確認してみることが大切です。年金事務所の窓口や社会保険労務士などの専門家に相談しながら進めていくことで、将来の安心につながる可能性があります。

参考資料

村岸 理美