「久しぶりに吉野家に行ったら、牛丼並盛がほぼ500円になっていて驚いた」そんな日常の驚きから始まった今回のYoutubeチャンネル『イズミダイズム』。
「牛丼屋ってずっと同じことをしているイメージだけど、決算を見る意味はあるの?」という素朴な疑問に対し、元機関投資家で証券アナリストの泉田良輔氏が、吉野家ホールディングスの最新決算(2026年2月期 第3四半期)を徹底解説しました。
動画内で泉田氏が語ったのは、「吉野家はもはや単なる牛丼屋ではない」という衝撃の事実でした。
1. 「増収減益」の裏側にある“コメ騒動”と人件費
まず泉田氏が注目したのは、吉野家の足元の業績です。最新の決算(2025年3月~11月)を見ると、売上高は前年同期比で9.8%増(1666億円)と大きく伸びています。
「みんなめっちゃ牛丼食べてる」と泉田氏も表現した通り、売上自体は絶好調です。
しかし、本業の儲けを示す「営業利益」は2.1%減(55億円)と、わずかながら前年を下回りました。
売上が増えているのに、なぜ利益が減ってしまったのでしょうか。
泉田氏はその最大の要因として、昨今の「原材料費の高騰」と「人件費の上昇」を挙げました。
特に牛丼にとって命とも言える「お米」の価格上昇が、利益を圧迫していると指摘します。
吉野屋の決算資料を解説する泉田氏1/4
出所:各種データをもとにイズミダイズム作成
泉田氏は、おにぎり1個ですら200円近くする今の時代に、温かくて美味しい牛丼を500円以下で提供し続けている企業努力に対し、「消費者としてはありがたい、リスペクトしている」と語りました。
しかし投資家の視点で見ると、やはり「牛丼一本足」ではコスト高の波を吸収しきれない厳しい現状も浮き彫りになっています。
2. 【吉野屋】実は「うどん」と「ラーメン」が稼いでいた!?
では、吉野家に未来はないのでしょうか? 泉田氏は「そうではない」と断言します。
実は今、吉野家ホールディングスの利益を支えているのは「牛丼以外の事業」なのです。
動画内で紹介された決算の内訳を見ると、主力の「吉野家」事業が減益(前年同期比▲7億4400万円)となる一方で、他の事業がしっかりと利益を伸ばしていることが分かります。
- はなまる(うどん):利益 +1億4600万円(前年比108.0%)
- 海外事業:利益 +3億5000万円(前年比130.5%)
- その他(ラーメン等):利益 +2億500万円(前年比185.2%)
「吉野家はもはや単なる牛丼屋ではない」衝撃事実の理由を動画で見る
ご存知の方も多いかもしれませんが、讃岐うどんの「はなまるうどん」は吉野家グループの一員です。
さらに泉田氏が最も注目したのが「その他」セグメントに含まれるラーメン事業の急成長でした。
吉野屋の決算資料を解説する泉田氏2/4
出所:各種データをもとにイズミダイズム作成
3. なぜ今、吉野家が「ラーメン」なのか?
「吉野家でラーメン?」と意外に思うかもしれませんが、実は吉野家ホールディングスは「せたが屋」や「ウィズリンク(ばり馬)」といった有力なラーメンチェーンを傘下に収めています。
さらに、スープやタレを製造する「宝産業」もグループ化し、製造から販売までを一貫して行える体制を整えているのです。
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泉田氏は、吉野家がラーメンに注力する理由を「効率と単価」の観点から解説しました。
- 単価の壁:牛丼の値上げは消費者の反発を招きやすいが、ラーメンは1杯1000円を超えても受け入れられやすい土壌がある。
- 海外での勝機:海外ではラーメンは高級食であり、1杯2000円〜3000円(20〜30ドル)で売れることも珍しくない。
- インバウンド需要:訪日外国人の行列ができるのは、牛丼屋よりも圧倒的にラーメン屋が多い。
日本国内では少子高齢化で「胃袋の数」が減っていく中、インバウンドや海外市場を取り込むためには、世界的に人気のある「ラーメン」が強力な武器になると泉田氏は分析しています。
吉野屋の決算資料を解説する泉田氏3/4
出所:各種データをもとにイズミダイズム作成
4. 「牛丼屋」から「グローバル麺チェーン」へ
動画の終盤、泉田氏は吉野家の今後の戦略について「ポートフォリオの転換」というキーワードで締めくくりました。
これまでのように牛丼だけに頼るのではなく、うどんやラーメンといった「麺」の比率を高め、さらに海外展開を加速させる。
2029年度にはラーメン事業の売上を現在の4倍近い規模(構成比13%)まで引き上げる計画も発表されています。
泉田氏は「株を見る時はラーメン(の成長)を見て、自分が食べる時は浮気せずに牛丼を食べる」とユーモアを交えて語りましたが、その言葉の裏には、老舗企業が生き残りをかけて挑む構造改革への評価が見え隠れします。
私たちが普段何気なく食べている一杯の牛丼。その向こう側には、世界を見据えた企業の戦略が隠されているのかもしれません。
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5. イズミダイズムとは
イズミダイズムは、元機関投資家である泉田良輔の個人YouTubeチャンネルです。プロの視点で金融や経済に関する様々なニュースの解説や、資産形成に役立つトピックをお届けします。
新NISAの開始やインフレを背景に、個人の資産運用への関心が高まる中、機関投資家と個人投資家の「視点の違い」や、経済ニュースの裏側にある「構造」をロジカルに解説します。
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