2.3 ポイント3:消費税が持つ「逆進性」の課題を緩和する効果が期待されるため

一律の現金給付は、短期的に家計を支える効果は期待できますが、消費税の「逆進性」という根本的な課題の解決にはつながりません。

「逆進性」とは、所得に関係なく同じ税率が適用される消費税の性質により、所得が低いほど収入に占める税負担の割合が高くなる現象を指します。

たとえば、次のようなケースで考えてみましょう。

  • 年収1000万円の人が生活費で100万円を消費し10万円の消費税を納めた場合、税負担は年収の1%です。
  • 他方で、年収300万円の人が同様に100万円を消費し10万円の消費税を納めた場合、税負担は年収の約3.3%となり、負担割合がより重くなります。

このように、同じ金額を支出していても、所得が低いほど収入に占める税負担の割合が高くなります。

これが、消費税における「逆進性」という課題です。

この不公平感を和らげ、格差の是正につなげる手段として注目されているのが、今回の「給付付き税額控除」です。

この制度は、低所得者層に対して「納めた消費税の一部を実質的に払い戻す(還付する)」ような効果を持つ仕組みとして期待されています。

現金給付という形で直接家計を支えることで、自由に使えるお金(可処分所得)を増やし、生活の安定を後押しします。

つまり、給付付き税額控除は、これまでの減税策では十分に支援が届かなかった非課税世帯にも手厚い支援を行える、「税の再分配機能」を補う有効な仕組みといえるでしょう。

3. まとめ

ここまで給付付き税額控除について解説しました。

給付付き税額控除は、アメリカ、イギリス、カナダ、フランス、オランダなど、すでに10カ国以上で導入されている仕組みです。

子育て世帯の支援や就労の促進、あるいは消費税(付加価値税)の負担軽減など、国によってその目的や詳細な運用ルールはさまざまです。

日本で検討されている形は、所得税の減税を行い、所得が低いために減税しきれない分については現金で補填するという「減税と給付の組み合わせ」になる見通しです。

この制度を実際に運用し始めるにはシステム整備などの準備が必要なため、その期間の対応として、自民党が衆院選の公約で掲げた「食料品の消費税率を0%にする」措置が検討されています。

高市総理は、今後「国民会議」を立ち上げ、給付付き税額控除の制度設計と、食料品への非課税措置について並行して議論を進める意向を示しています。

※個別のケースに関するご相談は受け付けておりませんので、ご了承ください。

参考資料

筒井 亮鳳