給付金や補助金は「住民税非課税世帯向けの制度」というイメージが強く、住民税課税世帯である現役世代は、最初から「自分は対象外だろう」と考えてしまいがちです。しかし実際には、課税・非課税という区分が要件になっていない制度や、住民税課税世帯でも十分に対象となる支援は数多く存在します。

こうした制度の多くは、税金の還付や自己負担の調整とは異なり、条件を満たしたうえで申請することで新たに受け取れる給付・補助・手当です。制度を知らなければ本来受け取れる支援を逃してしまうことも少なくありません。

そこで本記事では、仕事・子育て・学び直し・住まいといったライフイベントに関連し、住民税課税世帯でも対象になり得る「給付金・補助金・手当」を、制度の性質ごとに整理して紹介します。

※本記事では、申請により受け取れる公的支援を、便宜的に「給付金・補助金・手当」とまとめて紹介しています。

1. 申請したら受け取れる給付金・補助金・手当10選

1.1 就労・休業時に受け取れる「手当」

1. 失業給付(基本手当)

雇用保険に加入していた人が離職した際、一定期間、生活費を補う目的で支給される手当です。自己都合退職でも、所定の条件を満たせば対象になります。

離職前に雇用保険へ一定期間加入していたことが前提となり、受給期間や金額は離職理由や被保険者期間によって異なります。

受給にはハローワークでの申請が必須で、離職票の提出や求職活動の実績報告が必要です。退職すれば自動的に支給されるものではありません。

2. 再就職手当

失業給付の受給資格がある人が、給付日数を一定以上残して早期に再就職した場合に支給される手当です。基本手当の支給残日数が一定以上ある状態で安定した職に就いた場合、残日数に応じた一時金が支給されます。

「早く就職すると損」という誤解がありますが、実際には早期再就職を後押しする制度です。申請は、原則として就職した日の翌日から1カ月以内に行う必要があります。

3. 傷病手当金

病気やけがで働けず、会社を連続して休んだ場合に健康保険から支給される手当です。健康保険の被保険者が対象で、業務外の病気やけがによる就労不能が支給要件となります。

給与の代替として位置づけられ、有給休暇が尽きた後の生活を支える重要な制度です。支給を受けるには、医師の診断書や意見書が必要で、健康保険組合に提出する必要があります。会社が自動的に手続きする制度ではありません。

※会社員等が加入する健康保険の制度であり、国民健康保険のみ加入している場合は原則対象外です。

4. 出産手当金

会社員などが産前産後に休業した際、健康保険から支給される手当です。産前42日前から、産後56日間を対象に、給与が出ない期間の生活費補填として支給されます。

支給額は、1日につき被保険者の標準報酬日額の3分の2に相当する額で、本人が加入する健康保険組合等に申請が必要です。(※傷病手当金と同様、国民健康保険のみに加入している自営業者等は原則対象外となります)

5. 育児休業給付金

育児休業中の生活を支えるため、雇用保険から支給される手当です。育児休業開始前の賃金を基準に支給額が算定され、原則として最初の180日間は67%、それ以降は50%が支給されます。

出産後の支援については続々と拡充されており、2025年には出生後休業支援給付金などが新たに創設されています。共働き世帯への生活サポートとなる制度です。※給付には、一定の条件があります。

1.2 支出を条件に受け取れる「補助金」

6. 教育訓練給付金

厚生労働大臣が指定する講座を修了した場合、受講費用の一部が支給される制度です。雇用保険の加入期間などの要件を満たしたうえで、国が指定する講座を修了した場合に支給されます

一般教育訓練、特定一般教育訓練、専門実践教育訓練の区分があり、特定一般・専門実践では受講前の受給資格確認手続きが必要です。

7. 住宅省エネ系補助制度(住宅省エネキャンペーン等)

省エネ性能の高い住宅設備の導入やリフォームを行った場合に、補助金が支給される国の施策です。対象設備や補助額などの要件は、年度ごとに定められています。

多くの事業では登録事業者が申請を行い、対象期間内の契約・着工などの条件を満たす必要があります。※制度名称・要件は年度ごとに変更されます。

1.3 税を原資とする「給付金・支援金」

8. 高等学校等就学支援金制度

高校生がいる世帯を対象に、授業料相当額が支給される国の制度です。世帯収入に応じて支給額が決まり、授業料の全部または一部が公費で支援される仕組みです。

公立高校では実質無償、私立高校でも世帯年収に応じて支援があります。学校を通じた申請が必要で、申請しないと支援は受けられません。課税世帯でも対象になるケースが多い制度です。

9. 高等教育の修学支援新制度

高等教育の修学支援新制度2/2

高等教育の修学支援新制度

出所:文部科学省「高等教育の修学支援新制度」

大学・短大・専門学校(対象校)に通う学生を支援する制度で、授業料等の減免と給付型奨学金を組み合わせたものです。世帯の収入の状況や学業要件などを満たす学生が支援の対象となります。

当初は住民税非課税世帯等が中心でしたが、制度改正により多子世帯については一定の課税世帯にも対象が拡大しています。※多子世帯への拡充は年度ごとの制度改正によるため、申請時は最新要件の確認が必要です。

10. 移住支援金

東京23区在住者または東京圏から23区へ通勤していた方が東京圏外(東京圏内の条件不利地域を含む)へ移住し、対象となる就業・起業等の要件を満たした場合に支給される制度です。支給額は単身で最大60万円、世帯で最大100万円です。子育て加算が付く場合もあります。

自治体によってはさらに上乗せをするケースなどもあるので、事前確認は不可欠です。移住前の在住・通勤要件や就業条件など、細かな要件も合わせて確認しておきましょう。

1.4 補足:自治体・健保・共済の独自給付

国の制度とは別に、自治体や健康保険組合、共済組合が独自に給付金を設けている場合があります。

結婚祝い金、出産祝い金、入院見舞金などが代表例で、原則として自分で調べて申請する必要があります。

2. まとめ

給付金・補助金・手当は、「非課税世帯向け」と思い込まれがちですが、実際には住民税課税世帯でも対象になる制度が多く存在します。

本記事で紹介した制度はいずれも

  • 課税世帯でも対象になり得る
  • 申請しないと受け取れない
  • 30〜50代の生活に直結しやすい

という共通点があります。

ライフイベントに直面したとき、最初から自分は対象にならないと判断せず、一度立ち止まって確認することが、家計を守る第一歩になります。

制度の名称や支給要件は年度ごとに変更されることがあります。申請前には必ず国・自治体・加入先の公式情報を確認してください。

参考資料