ゴールデンウィークの連休が明け、日常のペースを取り戻しつつあるこの時期。連休中のレジャーや外食などを通じて、昨年度をしのぐ勢いの物価高を改めて実感した方も多いのではないでしょうか。
身近な食卓への影響を測る指標として、帝国データバンクが独自に算出している「カレーライス物価指数」というものがあります。これは、カレーライスの調理に必要な原材料費(肉や野菜など)や水道光熱費の推移をもとに、家庭の物価高の実態を可視化したデータです。
同データによれば、2026年2月時点のカレーライス物価は1食364円となり、前年同月比で8.0%の上昇を記録しています。10年前(255円)と比べると約4割高にもなっており、私たちの生活には依然として深刻なインフレの波が押し寄せています。
例年、新年度のスタートに合わせて年金額の改定が行われますが、物価の上昇ペースに年金の伸びが追いつかない実態は、年金を中心とした生活を送るシニア層にとって大きな不安要素と言えるでしょう。
今回は、単身シニアの家計収支データや最新の年金事情を紹介しながら、物価高時代を生き抜く「老後のお金」について考えていきます。
1. 65歳以上のリタイア単身世帯「標準的なひとり暮らしの生活費」ひと月いくら必要?
総務省統計局の「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」をもとに、65歳以上の単身無職世帯のひと月の家計収支を確認します。
毎月の実収入:13万1456円
■うち社会保障給付(主に年金):12万212円
毎月の支出(実支出):16万1435円
■うち消費支出:14万8445円
- 食料:4万2545円
- 住居:1万1416円
- 光熱・水道:1万5565円
- 家具・家事用品:6069円
- 被服及び履物:3049円
- 保健医療:8388円
- 交通・通信:1万3601円
- 教育:0円
- 教養娯楽:1万6132円
- その他の消費支出:3万1681円
- うち諸雑費:1万4052円
- うち交際費:1万6956円
- うち仕送り金:591円
■うち非消費支出:1万2990円
- 直接税:7072円
- 社会保険料:5912円
65歳以上《単身》無職世帯の家計は…
- ひと月の赤字:2万9980円
- エンゲル係数(消費支出に占める食料費の割合):28.7%
- 平均消費性向(可処分所得に対する消費支出の割合):125.3%
この世帯の月間支出は16万1435円で、内訳は税金や社会保険料などの「非消費支出」が1万2990円、食費や住居費などの「消費支出」が14万8445円です。 一方、月間収入は13万1456円で、その約9割(12万212円)が主に公的年金となっています。
エンゲル係数は28.7%、平均消費性向は125.3%で、結果としてこの単身世帯は毎月2万9980円の赤字を抱えています。
ただし、この家計収支データには注意点があります。
支出には「介護費用」が含まれておらず、住居費も1万円台と低めに設定されています。健康状態や住居環境によっては、これらの費用がさらに上乗せされる可能性もあるでしょう。
また、「非消費支出」が示すとおり、老後に年金生活を始めても税金や社会保険料の支払いは生涯続きます。 多くのシニアがこれらを年金から天引きで納めている現状を踏まえると、年金収入と日常生活費に加え、固定費も含めた生活設計が重要であることがわかります。
2. 【最新資料】2026年度の年金額例はいくら?
2026年度の年金額例について見ていきましょう。
厚生労働省の発表によると、2026年度の年金額のモデルケースは次のように示されています。
- 国民年金(老齢基礎年金(満額)):7万608円(1人分※1)
- 厚生年金:23万7279円(夫婦2人分※1)
※1昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額7万408円(対前年度比+1300円)です。このように年齢により受給額が異なります。
※2男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。
国民年金は「満額」を受給した場合の金額で、厚生年金はモデルとなる夫婦2人分を合算した額です。
国民年金の保険料は全員一律ですが、厚生年金は会社員や公務員などが加入し、収入に応じて保険料を納めるため、個人ごとに差が出やすくなっています。
3. 【家計調査コラム】二人以上世帯の家族の食費は、ひと月平均いくら?
家計管理の中で日常的に意識しやすく、工夫次第で節約しやすい支出のひとつが「食費」です。
総務省統計局「家計調査 家計収支編(2024年)」によると、二人以上世帯のひと月の食費平均は、50歳代で約8万円とピークを迎え、その後60歳以降は徐々に減少し、85歳以上では6万3347円に落ち着きます。
全体平均 7万5258円
- ~29歳 5万2413円
- 30~39歳 6万9433円
- 40~49歳 7万9900円
- 50~59歳 8万1051円
- 60~64歳 7万9831円
- 65~69歳 7万7405円
- 70~74歳 7万4322円
- 75~79歳 6万8274円
- 80~84歳 6万6257円
- 85歳~ 6万3347円
食費は家族の年齢やライフステージによって大きく変動しますが、所得が低めの世帯では「家計に占める食費の割合(エンゲル係数)」が高くなりがちです。
物価上昇が続く中、食料品の値動きを見ながら、食生活と家計全体を上手に管理することが求められるでしょう。
4. まとめにかえて
今回は、65歳以上の単身無職世帯における家計のリアルな収支と、最新の年金改定内容について解説しました。
データが示す通り、65歳以上の老齢年金シニア世代のうち、標準的な単身世帯の場合「ひと月約3万円(2万9980円)」の不足を貯蓄の取り崩しなどで補うのが現状です。不測の事態に備え、貯蓄をしっかり準備しておくことが大切ですね。
また、それと同じくらい、額面だけでなく税金・社会保険料が引かれた「手取り額」で家計を回す視点も欠かせません。物価高が続く今だからこそ、早い段階からの堅実な備えが将来の安心に直結します。
新緑の季節を迎え、生活のペースも落ち着くこの時期。まずは毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」などでご自身の年金見込額を把握し、未来の暮らしに向けた資金計画をスタートさせてみてはいかがでしょうか。


