5. 個人向け国債と定期預金、どちらを選んだらいい?判断のポイントとは

資産形成を考える際、「個人向け国債」と「定期預金」のどちらを選ぶべきか迷う方もいるかもしれません。

ここでは、それぞれの特徴を踏まえ、資金の使い道や目的、何を重視するかによってどちらが適しているかの判断ポイントを解説します。

5.1 個人向け国債が有利になる3つのケース

個人向け国債の最大のメリットは、国が元本と利子の支払いを保証しているため安全性が非常に高い点です。

ケース1:資産形成で「守り」と「安心感」を重視したい場合

一つの判断基準は、「元本割れのリスクをどれだけ避けたいか」という点です。

一般的な資産運用には価格変動リスクが伴いますが、国債は元本割れの可能性が極めて低いという特徴があります。

そのため、「できるだけ資産を減らしたくない」と考える方や、退職金などまとまった資金の運用先として有力な選択肢となるでしょう。

また、資産運用に慣れていない方が、価格変動リスクを抑えつつ資産形成を始めたい場合にも向いていると考えられます。

ケース2:将来的な「金利上昇」を見込んでいる場合

「今後の金利上昇を期待しているか」どうかも重要な判断ポイントです。

変動10年型の個人向け国債は、半年ごとに利率が見直される仕組みになっています。

したがって、今後日本の金利が上昇していくと考える場合、受け取る利息が増える可能性があり、有利に働くことが期待できます。

一方で、定期預金は原則として満期まで金利が固定されるため、市場金利が上昇しても途中で利息が増えることはありません。

個人向け国債であれば、金利動向に応じて受取利息が増加する可能性があります。

なお、金融機関によっては変動金利型の定期預金も提供されているため、適用利率の推移なども含めて比較検討することが大切です。

ケース3:分散投資で「安全性を重視した資産」も確保したい場合

「ポートフォリオ全体のバランス」という視点も大切になります。

株式や投資信託といった価格変動リスクのある資産を保有している場合、資産の一部に安全性の高い個人向け国債を組み入れることで、ポートフォリオ全体の安定性を高める効果が期待できます。

分散投資において、リスク資産と安全資産をバランス良く組み合わせるための一つの手段として、個人向け国債の活用は有効な選択肢と言えるでしょう。

5.2 定期預金が有利になる2つのケース

個人向け国債は、国が元本と利息の支払いを保証するため安全性の高さが魅力ですが、いくつか注意点もあります。

目的や資金の用途によっては、個人向け国債よりも定期預金や他の金融商品が適している場合も考えられますので、事前に確認しておきましょう。

ケース1:短期間で「資金が必要になる可能性がある」場合

ここでの判断ポイントは「解約時の条件」と「資金の流動性」です。

個人向け国債は、原則として購入から1年間は中途換金ができません。

さらに、1年経過後に解約する場合でも、直近2回分の利子相当額が差し引かれるペナルティがあります。

一方、定期預金は中途解約しても元本は保証されます。

定期預金の解約時には所定の中途解約利率が適用されるなどの条件はありますが、個人向け国債のように利息分が差し引かれる形ではないことが一般的です。

近い将来に資金を使う可能性がある場合は、定期預金の方が柔軟に対応しやすいと言えます。

ケース2:市場金利が急激な上昇期となっている場合

「金利がどれだけ早く反映されるか」という点も、判断材料になります。

変動10年型の個人向け国債は、適用利率の見直しが半年ごとに行われるのが特徴です。

そのため、市場金利が急上昇したとしても、その変動がすぐに個人向け国債の利率に反映されるわけではありません。

このタイムラグがあるため、より金利の高い新商品へすぐに預け替えができる定期預金などと比較すると、金利上昇局面での収益機会を逃してしまう可能性があります。